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タマちゃんも大興奮です!

今私は校舎を出て訓練場に向かっています。

あの後他の部も見て回りましたが、何処も個性的な所でした。

細工部では何故かお米に絵を描いていて、それを見学に来た新入生にもやらせようとしますし。細工ってこう言う事ですか?と聞きたくなりました。取り敢えずタマちゃんを描いてみました。

調薬部では何処の魔女?と言いたくなる様なやり方で、調薬してますし。出来た物が普通の回復薬である事にびっくりしました。

見ている分には面白そうですけど、入部はちょっと。という感じの部でした。

と言う訳で、今度は武技関係の部活動を見に行こうと思います。



随分、盛り上がってますね。

訓練場までやって来た私の耳に届いたのは、沢山の歓声でした。

訓練場の中心を囲む様に人だかりが出来ていて、中は見えませんが周りの人が熱狂しています。

何をやってるんでしょうか?


周りの方の一人に訊いて見ましょう。


「すみません、これ何が行われているんですか?」

「ん?ああ、これは……」


部活動説明会の時は毎年武技関係の部対抗トーナメント戦が行われている様です。

先鋒、中堅、大将に別れ三対三の団体戦。

優勝しても賞品等はありませんが、負ければ後は観戦しか出来なくなりますので、勝てば新入生にアピール出来る機会が増え、武技の強さもアピール出来ます。

新入生獲得と自分達の部の武技の強さの証明を目的にやっているみたいです。


今さっき盛り上がっていたのは、槍技部対刀技部の準決勝戦の決着が着いた所だったそうです。

学校長との話から始まり、魔法系、生産系の部活で時間を食っている間に、もうトーナメント戦も佳境に入っていた様ですね。

先に勝ち上がった剣技部とさっき準決勝を勝ち抜いた刀技部の決勝戦がこれから行われるらしいです。


「でも、決勝が剣技部と刀技部になるとは面白いな。因縁の対決だな」

「因縁の対決ですか?」

「ああ……うーんと、新入生だよな?剣技部と刀技部は代々仲が悪いんだけどそれは知ってるか?」

「いえ、知りません。何故です?」

「剣技部にはな貴族が多いんだ。基本的に貴族は剣技を習うからな、よっぽど他の武技に適正があったりしない限り、貴族の殆どが剣を使う。で、武技をやる貴族は剣技部に入る。まあ、剣技部には平民も多いけどな。

逆に刀技部に貴族は居ない。この国で刀技を使う奴は殆どいないからな、別の国の者か、まあ居たとしても市井の道場で習った平民だ。別の国の貴族がこの学校に通う事なんて滅多に無いから、刀技部に貴族は居ない。

で、剣技と刀技って似てるだろ?それで対抗意識が強い上に、貴族と平民の対立意識まである。

まあ、貴族と平民だったら当然貴族の方が上になるし、人数の差でも剣技の方が上になるんだが……」


へえ、どの程度かはわかりませんが、そんな風に対立しているなんて、セツナは大丈夫でしょうか?


そろそろ決勝戦が始まるようで右と左から三人ずつが人垣の輪の中心に進み出ます。


「今日は負けないぞ!勝負だ、カムイ!」


剣を持つ三人の中心に立つ男が剣を突きつけ宣戦布告します。

それに合わせて、六人がそれぞれ自分の相手と睨み合います。


「あれが剣技部の部長のミハエル=アレフロードだ。四年なんだが武技のみならこの学校の一、二を争う男だな。で、剣突きつけられてるのがカムイ、刀技部部長でこっちも四年で武技のみなら学校の一、二を争う男だ。

一年の時から二人はライバル同士でな、良く張り合ってるんだ。勝率の方は今の所、カムイの方が一歩リードと言う所なんだが」


へえ、三年もお兄ちゃんとその友達で競ってるみたいですし、よくある事なんですかね。


「その上、手前の方の二人なんだが、二年で剣技部、刀技部それぞれ期待の新鋭ってやつでな。こっちも学年トップのライバル関係ときたもんだ。去年一年はあちこちでぶつかってたな」


やっぱり良くある事なんですね。

セツナも剣技部にライバルとか出来たりするんでしょうか?

あっ、でもセツナはDクラスですしね、こういうトップ同士のライバル関係は難しいでしょうか。


「ってことで因縁の対決って事だ。面白くなりそうだろ?」

「そうですね、楽しみです」

「フィリア遅かったね」


声の方に目をやるとセツナ達でした。ロロとセルジュも居ます。


「あっ、セツナ此処に居たんですね」

「うん、最初に訓練場に見に来て、試合が面白かったからずっと見てるよ」


そうですか、セツナ達はこのトーナメントをずっと見てたんですね。

他の色んな武技の部が戦う所は私も見たかったですのでちょっと羨ましいですけど、でも魔法系と生産系の部活動を見学していないのは勿体無いですね。

セルジュは魔法系の部活動を見なくても良かったんでしょうか?


「どうでした、先輩方の武技は?」

「うん、やっぱり凄いね。特にカムイ先輩は私と同じ刀技使いだけど、その技には圧倒されたよ」


セツナ達にトーナメントの話を聞き、私もこれまで見てきた部の話をしていると、遂に決勝戦が始まりました。


先鋒戦、剣技部二年アルフレッド=ロータム対刀技部二年ロイド


この二人は静と動という感じで、動のアルフレッド先輩の勢いのある剣を、静のロイド先輩が刀で受け流すという戦いでした。

最後はアルフレッド先輩の渾身の一撃をロイド先輩が受け流しきれず、アルフレッド先輩の勝利。


中堅戦は三年同士の戦いで、結果は引き分けでした。


そして大将戦、ミハエル先輩は正統派の剣技で、力も技も速さも高水準な剣と盾を使う剣士。カムイ先輩は力に優れた一撃必殺を旨とする侍でした。

勝負はカムイ先輩の威力ある刀が、ミハエル先輩の盾を弾き飛ばし、剣毎押し込めてカムイ先輩が勝利しました。


ですが、一勝一敗一分けになりましたのでミハエル先輩とカムイ先輩が再戦。

今度はカムイ先輩の刀を上手く盾で受け流し剣を繰り出したミハエル先輩が勝利しました。


結果、剣技部の優勝で部対抗のトーナメント戦は幕を下ろしました。


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