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タマちゃんの好きなお菓子はアップルパイです!

昨日の放課後はまた魔力相殺をやろうとしたんですけど、セツナとロロは直ぐに飽きちゃって武技の訓練をしたがりました。ロロは魔法もやりたいみたいですけど、新しい魔法を覚えるとかなら良くても地味な魔力相殺はやりたくないみたいです。

ただ、セツナは動体視力と思考速度、ロロは重心制御の訓練がしたいみたいですけど、どうしたら良いか全くわからないみたいでした。

それで私の出番となった訳ですが、ただ私も別にそういう知識に優れている訳じゃないんですよね。


そして、少しの間悩んだ結果、適当に思いついた訓練をする事にしました。

セツナは動体視力と思考速度という事で、数字を刻んだ『石弾』をセツナに対して放ち、その数字を判別する事で動体視力を鍛えます。

そして、その数字が1なら斬る、2なら防ぐ、3なら避ける事にして思考速度の強化にも繋げる事にしました。

ボクシングの漫画かなんかでそういうのをやってた気がします。

慣れてきたら、『石弾』の速度を上げたり、回転させたり、数字を計算問題にしたり、数字を増やして選択肢を増やしたりする事にします。

とは言え、まだ訓練は最低レベルです。そのレベルでも数字読めなかったり、数字読むのに集中し過ぎて身体に当たったりしてますので。

結果、今日のセツナは身体中に痣があるんですけど……やり過ぎですかね?


ロロの訓練はタマちゃんに手伝って貰う事にしました。

タマちゃん車の再登場です。

タマちゃん車の上に立ってバランスを取るだけの訓練です。私が乗るときはタマちゃんがバランスを取ってくれますけど、今回は訓練なのでタマちゃんは逆にバランスを崩そうとします。

重心の制御とかよくわかりませんので、まあ、バランスを崩さず安定出来る様になればいいかなと思いました。

結果、今日のロロも身体中に痣があります……何度も落ちてましたので。


セルジュは昼休みに引き続き魔力相殺の訓練です。

私がお相手してるんですが、まだまだですね。

セルジュはやっぱり魔法力の制御が凄く苦手の様で、先ず魔法力の把握に時間がかかり、魔法力の調整に時間が掛かると共に上げ過ぎたりしてしまい、時間を掛けて調整出来ても安定出来ません。

だめだめですね。

次のステップに行けるのはいつになるやら。


そして、私なんですが。

セルジュのお相手をしているのですけど、無駄な消費の多いセルジュは私より早く魔力が無くなります。セルジュの方が魔力量は多いんですけどね。

その魔力回復の間暇なんですよね。

タマちゃんをモフモフしたり、肉球をプニプ二してれば暇は潰せますがロロに取られちゃってますし。

パーティーメンバーが三人共訓練しているので、私も訓練したいんですけど。

ただ、その事を三人に話すと、フィリアは訓練しなくても良いと言われました。

その反応が思ったよりも真剣だったので、昨日は見学してましたけど……暇でした。


これらの訓練は暫く続きそうですし、私も何か見付けないとなぁとか考えてたんですけど、それが必要無くなりそうです。

何故なら今日は部活動説明会なんです。

どの学年も授業は無く、一日中部活動を行います。

新入生及びまだ部活に入っていない者は今日一日色んな部活を見学して、部活動を決めます。帰宅部もありですけど。

高学年の帰宅部の人は今日はサボってそうな気がしますね。

セルジュとロロはわかりませんが、セツナは刀技部に入ると言ってましたし、放課後に集まるのも偶に都合が合った時だけになりそうですね。


私はどの部活に入りましょうか。

取り敢えず色々見て回ろうとは思っていますけど、裁縫部は一番私に合ってそうですし、鍛冶部とか興味ありますし、迷宮探索部もちょっと惹かれるんですよね。

それと、合成魔法部という別の属性を組み合わせた魔法を研究、訓練する部活にお兄ちゃんは入ってるらしいんですよ。そこに入るのも悪くは無いかもしれません。

さて、どの部活から見て回りましょうか?


何て事を考えていたんですけど……何故でしょう?


「はじめまして、フィリア」

「はあ、はじめまして」


何故か、今私は校長室で学校長と挨拶していたりします。


部活動説明会が始まって直ぐにドローグ先生に呼び止められた私は、そのまま校長室まで連れてこられました。

うーん、何か悪い事でもしましたかね?セツナ達に対する訓練が虐待に見えたとか?

とか、ちょっと不安になりましたけど、入ってみると学校長には笑顔で迎えられ、ソファーに向かい合います。

ただ、これまた何故か連れてきたドローグ先生は中には入って来ず、学校長と二人っきりです。

いや、二人っきりではありませんでした。タマちゃんとおそらく学校長の使い魔と思われる者が居ます。


学校長は四十代位のおば……お姉さんで、お綺麗な方です。

そしてその使い魔は、虎と人間の中間の、人虎ワータイガー?と言えば良いんでしょうか。

白虎の顔に人の身体、楽に動けそうで防御力もありそうな服を着ています。


「何ジロジロ見てんだよ」


学校長の使い魔を観察していると、険のある話し方で威嚇されました。

でも、全然怖くありません。

何故ならその人虎の体格は子供だからです。

私より身体は小さく、虎の顔も柔らかい感じで猫にも見える位です。

そんな子に威嚇されても、生意気そうな感じが逆に可愛いです。


「ふん、こっち見んなよブス!」


威嚇が私に通じなかったのが面白くなかったのか、不機嫌そうに顔を背けながら文句を言ってきます。

そういうのも可愛くはあるんですが、私としては出来れば仲良くしたいんですけど……


「んー……これ、食べる?」


餌付けしてみます。


「なっ、要るかそんなの!」


直ぐに否定の言葉が返ってきましたが、背けていた顔がこちらを向き、目が私が持ってるお菓子を凝視しています。

このお菓子はタマちゃんの好物でお菓子の中では一番、食べ物の中で卵焼きの次に好きなものです。

同じ猫科だし好きかな?と思ったんです。

私がそれを人虎の子に差し出した時、タマちゃんがガーン!?って感じでショックを受けてました。ごめんね。

でも、これはいつもある程度の数をタマちゃんの中に入れていますから、タマちゃんはいつでも好きな時に取り出して食べれるんですけど。


私がお菓子を左右に動かすと人虎の子とタマちゃんの視線がそれを追います。

でも一度断ったからか手を出そうとはしません。


「要りませんか、仕方ありません、じゃあタマちゃん食べます?」


人虎の子の顔が焦り、タマちゃんが嬉しそうにします。


「あっ、ちょっ、待って」

「はい?」

「いや、俺がそれ食べてやってもいいぞ」

「いえ、無理はしなくてもいいですよ」

「そんな事は……」


そこからは、ちゃんと「ください」とはっきり言うまで、のらりくらりと躱してあげました。

さっきまでちょっと泣きそうになってましたけど、今は美味しいお菓子を嬉しそうに頬張っています。

タマちゃんも羨ましそうにしていたので、もう一個取り出して食べさせて上げています。


「あははっ!はははっ……ユベールをここまで手玉に取るとは、面白い子だね」


あっ、そういえば学校長に呼ばれて来たんでした。すっかり忘れてました。

私がお菓子を出した辺りから笑って見てたんですけど、拙かったでしょうか?



避わして→躱して

修正しました。9/27

指摘ありがとうございます。


訓練しなくてもいいは、フィリア視点なので詳しく心情までは書きません。

という、いいわけでごめんなさい。


タマちゃんは現在端役でちょこちょこ出ていますが、少し後にタマちゃん大活躍!の場面を書く予定です。

そこでタマちゃん視点を書く……かも?

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