タマちゃんのドヤ顔は最高です!
びっくりしました!驚愕です!
なんと、私は悪魔だったんです!
……すみません、少し取り乱しました。
いや、でも私、今十歳なんですけど、実は人間じゃなくて悪魔だったなんて。今の今まで気付きませんでした。
実は私前世の記憶がある転生者なんです。日本で二十年位は暮らしてた記憶があってですね、生まれた直後からそんな記憶を持ってたもんだから恥ずかしいったら無かったですけど。
まあ、それでも優しくてのんびり屋の母と、厳しくも優しい父に、優しくて格好良い兄という最高の家族がいて、幸せに暮らしてきました。
村の周りには魔獣とかいたり、村の人達が魔法とか使ったりしているのを見て、多分異世界なんだろうなぁとは思ってましたけど、私どころか村の人全員悪魔だったなんて。
顔色が悪いってレベルじゃなく肌の色が青かったり、流した血が紫っぽかったり、頭から角が生えてたり、ちょっと変だなと思う事はあったけど、今まで気付きませんでした。
……いや、人間じゃないのはわかってましたよ?さすがに。
でも、自分の種族なんて普通気にしませんよね?
……私だけですか?
まあ、とはいえ何故今気付いたかと言うと、今履歴書みたいな感じの物を書いているからです。
入学願書ですね。そう私、学校に通うんです。
それで母に手伝って貰って書いている所なんですが、
名前 フィリア
種族 悪魔族 年齢 十歳 性別 女
魔法属性 土 取得魔法 『土壁』『石弾』『硬化』『軟化』『湧水』『着火』
得意武器 布 流派 なし
使い魔 玉猫族 原石玉猫
こんな感じです。突っ込み所あるかも知れませんが後で説明しますね。多分。
ちなみに得意武器とか訊かれるのは、戦闘技術を主に教える学校に通うからです。
さてさて、やってきました、試験当日。
先ずは学科試験。ただ、この世界識字率とか低くて、十歳で入る学校の試験が小学校一年生レベルの問題なんですよ。いや、それ以下ですね。戦闘系の学校というのもあるでしょうが。当然満点です。
次の日、実技試験です。魔法試験と武技試験ですね。後使い魔が居る人はそれの能力も見せるようです。
先ずは魔法試験です。
ふむふむ……あれっ?ほとんどが初級の魔法ばかりです。
今使える最高の魔法を見せてくださいって試験官の人言ってたんですけど。
「はっはっは、皆さんこの程度なのかね?私の魔法を見せてあげよう」
何か凄く偉そうな方が前に出ました。使う魔法は『炎球』のようです。球形の炎が的に向かって飛んでいきます。
びっくりです。こんなに何の工夫も無い魔法を自信有り気に見せる事にびっくりです。
どうしましょう?周りが驚きながら感心しているのが凄く不思議です。私にだけ違う魔法が見えていたりしませんよね?
それから再び初級魔法が続きます。ちなみに初級魔法は『着火』『湧水』『送風』『土壁』です。『炎球』は一応その上の下級魔法ですが、あの『炎球』であれば私の『土壁』で余裕で防げます。
私の番が来ました。『土壁』を使います。私の前の土が盛り上がり私の身長位の高さの立方体が出来ます。
これをただの厚いだけの『土壁』だと思ってはいけません。なんとこれは[タマちゃんハウス]なのです。なんと中にはタマちゃん用のベッドやお風呂、ちゃぶ台等があるのです。
凄いでしょ!
……私の最高傑作なのに、皆の反応はいまいちでした。中を見てくれる人は居らず、直ぐに試験官さんに元に戻すよう言われました。残念です。
そしてまた続く初級魔法。普通の十歳はこんなものなのでしょうかね?
魔法のレベル的には私とそう変わりありませんけど、何の工夫もされていないんですけど。
私が悩んでいると、少し毛色の違う人の番になりました。
将来かなりのイケメンになるだろうなぁと思える少年ですが、かなりみすぼらしい格好です。孤児とかでしょうか?
この学校はどんな者でも入学出来ます。入学金や授業料等は後払いに出来るのでお金が無くても入学出来ますし(途中退学になったり卒業後五年以内に払わないと奴隷にされたりしますが)、私みたいな悪魔族等の異種族でも入学出来ます。他にも獣人族や森人族、山人族等もちらほら見えます。
少年が魔法を放ちます。
あれは『風刃』、風の下級魔法です。しかも四つを同時に生み出しました。
これは凄いですね。しかも彼は全然疲れていません。魔力残量も余裕の様です。
周りは唖然という顔。試験官さん達もザワザワしています。
そしてその状態のまま気にせず出て来る女の子。この子もかなりの美人さんになるでしょう。
そして繰り出される『氷槍』、水の中級魔法です。氷の槍が数本まとめて的に突き刺さります。
騒ぎが凄く大きくなりました。ちなみに一番騒いでいるのは『炎球』の少年です。
その後は初級魔法のみで、目立つ子も居らず魔法試験が終わりました。
次は武技試験です。
周りを見ると剣を使う人が多いようですね。今回の試験では自分の武器は使えず、学校からの借り物を使います。
試験が始まりました。内容は試験官との一騎打ちです。後衛の武器に関しては一騎打ちというより見て貰うだけという感じですが。
武技試験は魔法とは違い、何人も目を瞠る人がいました。五グループに別れて行われたので全員見れたわけじゃありませんが、短剣二刀流の素早い獣人さんや両手斧を片手で振り回す山人さんや弓で凄い早撃ちの森人さん、それから剣と盾を使う盾捌きが巧みな騎士さんや凄く早い突きを放つ槍使いさん等、強い人が何人か居ました。『炎球』の人もそこそこ強かったです。
そして私の番がやってきました。
私の得意武器は布です。これは私の前世での記憶が影響してるんですよ。
まあ、漫画で布で戦うキャラが好きだったってだけですけどね。
このファンタジーな世界ならありかな?と思って小さい頃から練習しました。
見た目的には構えは風神様や天女様の様な感じを目指しました。
とはいえ、布が学校からの借り物の中には無くてですね、どうしましょうか?
結果剣にした私は、直ぐに負けちゃいました。
そして、試験も終盤、再び彼等の出番がやってきました。
先ずは『風刃』の少年。彼は長剣の二刀流でした。
その二本の剣で繰り出す嵐のような連続の剣撃で、なんと試験官さんを倒してしまいました。
そして続いて『氷槍』の少女も、細剣を操り試験官と良い勝負をします。
本当にあの二人は規格外の様です。
武技試験も終わり、最後に使い魔の試験です。
魔獣とは契約を結ぶ事で使役出来るようになり、契約した魔獣を使い魔と呼びます。魔獣の他にも精霊や死霊、竜や神獣等とも使い魔契約は出来ます。竜や神獣と契約出来た人は滅多にいませんが。
私の使い魔は原石玉猫のタマちゃんです。ぽっちゃりな猫です、二足歩行ですが転がる方が速いです。大きさは三十センチ位です、縦も横も奥行きも。頭と手足を引っ込めると球になります。額に宝石の原石の様な微かに光る石があります。
そんなタマちゃんは抱き心地が最高です。
今回の試験ではタマちゃんのファッションショーをしました。なんとタマちゃんは早着替えが得意なのです。私の趣味は裁縫です。タマちゃんにはマントやマフラー、帽子に靴下等色々プレゼントしていますが、それらを一瞬で付け替えします。
試験の評価がどうなるかはわかりませんが、私としては大満足のショーでした。
タマちゃんのドヤ顔は最高です!
この試験で目立ってたのはまたまたあの二人で、少年はまだ子供でしたが竜を使い魔にしていて、少女は精霊を使い魔にしていました。
幼竜は可愛く、精霊は綺麗でした。
まあ、私のタマちゃんには敵いませんがね。