俺の高校の野球部は死ぬほど弱い1
一度でもいいからスポーツ類の小説書いてみたかったので書いてみました。
俺の通う五月雨高校は最弱だ。
まあ、最弱なのは野球部だけでそれ以外では優秀だ。
高校の偏差値はトップレベルでスポーツも野球部以外毎年全国大会の出場の切符を手にしている。
それに引き換え野球部は予選を毎年一回戦で敗退。
今年は一年生は俺含め3人。
部員全員合わせて9人とギリギリで1チームできる程の人数である。
そして、今日夏予選の大会一回戦。
相手は強豪の道光高校だ。
勝てるわけがない。
案の定、6-0でウチが負けている。
いや、強豪相手に善戦したかもしれない。
現在、9回裏でウチの最後の攻撃である。
同級生の一年の二人、7番岸本と8番中山が凡退に倒れ、ツーアウト。
もう終わりだ。
俺はそう思っていた。
「あれあれ?どうしたのかな?お通夜みたいな顔して」
俺に声をかけてきたのは鷺沼先輩だった。負けているのにへらへらと笑っている。
この人は俺よりバッティングが下手だ。それは確信できる。バットを変な風に振り回すだけでかすりもしない。おまけに今日の試合で5失策している。
とんだ足を引っ張る先輩だ。
「別に何でもないですよ」
俺は静かに答える。鷺沼先輩はうざったい笑顔を崩さず、へらへらとし続ける。
「いやー、ピンチだねー。やばいねー。僕ちん漏らしそうだよー」
俺でもわかるぐらいに棒読みで言った。
一発殴りたい。本気で思った。
「僕を一発殴るのは構わないさ」
俺の心が読まれたかのように鷺沼先輩は目を細める。気が付いたら、鷺沼先輩の笑いは薄ら笑いに変わっていた。
「でもさ、それは負けてからやろうね」
ケラケラと笑い、バットを手に取る。
9番鷺沼先輩。アナウンスが鷺沼先輩の名前を呼ぶ。
その時の鷺沼先輩はもう笑っていなかった。
「すまんな。竹寺」
俺の名前が呼ばれる。声の主は五月雨高校の部長である渋先輩だった。
「あいつはああいう奴なんだ。許してやってくれ」
「全然気にしてませんよ」
俺は心にもないことを言う。本当はお前のせいで負けたと言ってやりたい気分だ。
「あいつはリトルリーグで全国にいった経験者なんだ」
部長が予想外なことを言いだし、俺は目を丸くする。
「そ、それは本当ですか!?は、初耳です」
「ああ。それでなあいつに二つ名があったんだ」
どうせ汚名に違いないと思っていたが、部長はかすかに微笑む。
「予兆の鷺沼。そう呼ばれていたよ」
ピッチャーの二球目の球をファールにした鷺沼先輩を見つめながら、
「あいつはいつもへらへらしてるだろ。だけどな、あいつの顔が真剣な表情になったら試合がひっくり返るんだ。必ずな」
俺はそんな馬鹿なと思った。俺も部長の視線を追いながら、鷺沼先輩の方へと見る。
鷺沼先輩は三球目を見送りボール。
カウントはツーストライク、ワンボール。
やっぱり、無理だな。そう思った。
「さあ、そろそろ点を取りに行くかな」
部長は立ち上がり、ストレッチをする。
「・・・無理ですよ」
ボソッと小声で言ってしまっていた。俺は我に返り、部長の表情を見た。
てっきり怒っているかと思ったが、部長はにやりと笑う。
そして、カキーンと快音が響いた。
鷺沼先輩がセンター前にヒットを打ったのだ。ようやく、ウチのチームの初安打だ。
「さて、お前ら逆転するぞ!」
部長の掛け声で一年生以外の先輩が「オー」と力強い返事をする。
「竹寺。お前、6番だろ準備しときな」
訳が分からない。何でこんなに先輩たちは余裕なんだ。戸惑いを覚えつつも、それを全部飲み込んで。
そして、俺は先輩に負けない声で、
「はい!」
と叫んだ。
続編を作りたいと考えています。
どうか、私にやる気の種である感想や評価をー(笑)