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迷宮突入

 


「セツはどんな使い魔と契約したの!?」


 早く見たい僕はセツに詰め寄る。


「……ん、でてきてリュー」


 セツがそう言うとポンッという音とともになにかが宙に現れる。

 僕は現れた金色に光るソレをよく観察し始める。

 蛇のように長い胴体、小さな前足、大きな牙、そして長いヒゲ。これは――


「ドラゴン? ……いや、龍か!!」


 昔一度だけ本で見たことがある。東方にいるとされる伝説的な動物だ。なんとも神々しい。

 そしてその龍の名前がリューか……安直すぎるよセツ……


「それにしても……なんかちっちゃくない?」

「……さあ?」


 リューの体長はピンと伸ばしても1メートルもないだろう。想像してたのとはちょっと違う気がする。


「まあそういうものなのかな。

 そうだ! それでどんな異能が使えるようになったの!?」


 使い魔と契約することで誰にでも異能が発現する。これは使い魔の魔素が自分の魔素と混ざり合うことで起こる現象といわれている。僕にはなぜか発現してないけど。

 発現したときにはその瞬間に異能の発動条件、効果などが自分で理解できるらしい。これは使い魔から自分の脳に信号が送られきていると考えられている。


「……ん、じゃあ今から見せる、ね?」

「え? ここで使っても大丈夫なのかい?」

「……平気。それじゃあいく、よ?

 ――『憑依装備 龍刀顎門』」


 セツが右手を前にかざして発動するための鍵言葉を綴ると、シュッという音を鳴らしてリューが消える。そして次の瞬間セツの右手に黄金に輝く刀が現れ、それを握った。


「……どう?」

「か、かっこいい……」


 ちょっと得意気な、今にもフフンとでも言い出しそうな顔のセツ。


「他にもなにか異能はあるの?」


 異能が発現するのはひとつだけとは限らない。


「……ん、あるけど、ここでは使えない」

「そっかぁ、じゃあ迷宮に行ってからのお楽しみだね!」


 ここでは使えないということは放出型の、いわゆる必殺技ということなんだろうか。今ここで聞いてもいいがやっぱり実際に見てみたときの衝撃が薄れるしね!




「そろそろ時間だね。それじゃあ行こうか」

「……ん、楽しみ」


 リューを不可視化にして僕たちは迷宮の入り口へと向かう。使い魔は通常不可視化させておくのが常識だ。可視化させておくと微量だけど魔素を消費するしね。

 おっと、迷宮に行く前に出席簿に印をしないといけないな。学園玄関にあるギルド風カウンターで印をすませる。


 普段一人の僕が美少女を連れているため、いつもより周りが騒がしいな。でもまだセツに対しては警戒しているだけだから大丈夫かな。



「じゃあそろそろ迷宮攻略といこうか」


 聖魔学園の探索者過程は実に雑というか、簡単なつくりになっている。探索者過程は戦闘技術と採取技術の向上が主とされている。そしてそれを目指す為に毎日することといえば迷宮に潜ってカイブツを倒したり、迷宮で拾える薬草や落とし物を採取するのみ。

 つまり、一日に割り当てられる授業の時間を全て迷宮攻略という名の実習にしてしまっているのだ。


「腕輪の使い方は教えてもらったね?」

「……うん」


 迷宮はカイブツが蔓延っている。カイブツに攻撃を喰らえば当然痛いし怪我もする。最悪の場合死ぬことだって考えられるわけだ。いくら適当な学園だからって生徒が死ぬのを良しとできるはずがない。

 そこでこの腕輪が使われる。腕輪には赤と青のボタンがついていて青は防御障壁の展開、赤は学園への緊急連絡ができるようになっている。

 防御障壁というのはその名の通り自分の周囲に障壁を貼りいかなる攻撃も防ぐことができる優れものだ。自分のほうからも攻撃できなくなるけど。

 この腕輪が開発されてから迷宮での死亡者は激減した。といっても年に二、三人はいるけれど。

 あと、腕輪は学園が所有している迷宮でしか使えないので学園を卒業してからは死と隣り合わせになるだろう。



 僕たちは腕輪に触れて防御障壁を展開し、迷宮に踏み込む。学園の迷宮では、カイブツと遭遇するまで防御障壁を展開しておくのが定石だ。僕たちの場合生徒に襲われる可能性もあるから特にね。


 っと、先のほうにゴブリンが三体見えるな。


「さあいくよセツ。僕たちの初戦闘だ!」

「……うん」










やっとだ……

やっと戦闘に入れる……

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