秒で心残り
「父さん、、、!!」
「おじいちゃん!!」
「みんな、、、ありがとう、、、。」
医者は家族に静かに伝えた。
「今夜が山場です、、、。」
「そんな、、、、、。」
家族はショックを隠せなかった。
「父さん、、、しっかりしてくれよ!!100歳まで長生きするって言ってたじゃないか!!」
「すまない、、、。父さんは、、、母さんのところへ行く時が来たのかもしれない、、、。
今まで色々ありがとうな、、、。みんな、、、、
幸せにな、、、。」
「父さん!!」「おじいちゃーん!!」
家族は涙を流しながら最後の時を静かに過ごした。
「あ、、、り、、、が、、、と、、、う。」
「父さん、、、?!」「おじいちゃーん!!」
(ピーーーーーーーーーーッ!)
心電図の音が病室に響き渡り家族は、、、
「ちょっと待って!!なんか納得いかないなぁー。」
「はい!!カーーーット!!」
これはドラマの撮影シーンのようです。
「とっても良い感じでしたよ。何か問題でも?」
「なんか最後のセリフが、、、。監督はこれで本当に良いと思ってんの?僕が死んじゃったら数字下がるんじゃない?ここから奇跡の回復とかの方がドラマ的には面白いと思うんだけどなー!!」
「え、、、?!原作もここでお父様がって言う設定になってますので、、、今更設定を変える訳には、、。脚本ももう出来上がってますし、、、。しかももうこれ50テイク目ですよね?さすがに他の役者さんやスタッフも疲労が出て来てまして、、、」
「分かってる!!分かってるよそんなことー!!
でも、、、でも!!10年ぶりにドラマのオファーが来て、、、ちゃんとした役もらえて、、、セリフがあって、、。こうやってみんなと何ヶ月も一緒に過ごして、、、本当に毎日が楽しくて、、、
ここに居たいのー!!!
帰りたくないのー!!!」
「落ち着いて!!落ち着いてください!!」
「家に帰っても奥さんや娘たちからはウザがられるし、、無視されるし、、、俺には居場所なんてないんだ!!
あーー!!!お願いだー!!!
あと、、、あと、、もう少しだけーー!!
爪痕を残したいんだー!!
これで、、これで終わるなんて、、、
役者として心残りがあるんだー!!!」
あぁー。もう涙と鼻水でベットのシーツもぐちゃぐちゃですよ、、、。
(パチパチパチパチパチパチッ!)
どこからともなくたまたま現場を通りかかった映画監督が拍手をしながら現れましたよ。
「ブラボー!!素晴らしい!!こんな人間の感情剥き出しの演技は初めて見ましたよ!!これは、、、きっと、、、沢山の人の心に訴えかけるものになるに違いない!!良かったら今度僕の映画に出てみませんか?」
「え?!本当ですか?!ぜひ!!ぜひよろしくお願いします!!」
私たちはすごい奇跡を目の当たりにしたようですね!!
次の現場ではただこねないで下さいねー!!
現場から笛鳴ことりがお伝えしましたー!!




