表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
48/55

47話

「やあ。」


自宅近くの公園を散歩をしている増渕の前に、高島が急に現れた。


「俊ちゃん。」


「疲れてるね。ちゃんと眠れてる?」


「なん、何なの?」


彼女は歩き出した。高島の事を無視して。そんな彼女の後ろを、高島は歩いた。 


「元気ないね、奈々さん。」


「⋯何処かに行って。」


「心配で様子を見に来たのに。」


「いい加減にしないと、警察呼ぶよ!?」


「彼、痛そうだった?」


そう言われると、増渕は足を止めた。


「えっ?」


「どんな感じだった?指でこう⋯両目を突き刺すのって。」


高島はいつもと変わらない笑顔で尋ねてきた。


「何で⋯。」


「舌も噛み切ったでしょ?痛そうだね、どっちも。」


「何で⋯知ってるの?」


増渕は唖然とした表情を浮かべながら、涙を浮かべた。


「だから言ったじゃない。心配だから来たんだって。」


「だから何で知ってるの!?」


「婚約者が自殺して可哀想に。奈々さんもこれでお母さんと同じ、シングルマザーの仲間入りだね。」


増渕は一気に血の気が引いた。何故、妊娠している事を知られているのか。


「どうして⋯。」


「孕んだんでしょ?あの男の子供を。良かったね、夢が叶って。」


「うぅ⋯うぅぅ⋯!何で⋯何で⋯俊ちゃんが⋯知ってるの⋯!?何で!?」


「ずっと見てたよ。このヤリマンが。」


高島はそう言うと彼女の元を去っていった。残された増渕はその場に泣き崩れ、自らの腹部に手を当てた。


「なーんてね。帰ると思った?」


彼女の耳元で高島が囁いた。公園には誰もいなくなっていた。




『明日、実行する。』


紺野のスマートフォンに彼からのメッセージが入る。紺野は返信を躊躇ったが、無駄だと悟っていた。


『分かった。今日の夜、そっちに行く。』


返信すると、紺野は診察室で大きな溜め息をついた。もはや、彼を止める術はない。ただ彼に従うほかなかった。




夜の20時頃、紺野は高島の家に着いた。


「いらっしゃい。」


「やるのね?」


「話が早いね、姉さん。」


「そのために来たのよ。」


「夕飯まだでしょう?何か食べる?」


「いらない。」


「仕事終わりでしょ?ちゃんと食べた方が⋯。」


「俊輔。本当にやるの?」


「やるよ。」


「上手く出来るの?」


「自信はある。準備もしてきた。」


「彼女は?」


「上にいるよ。」


紺野は2階を見上げた。


「心配?」


「当然でしょう。あなたがしようとしている事は、これまでに類を見ない強大な呪術行使よ。」


「ご先祖様はやった事がある。」


「でも失敗した。そして大惨事になった。」


「僕は失敗しない。姉さんもいるし。」


「私は⋯。」


「嫌なんでしょ?手伝うの。」


「⋯嫌よ。」


「子供に手を出すから?」


「そうよ。」


「じゃあ何で手伝うの?」


「断ったら私を殺すでしょ?」


「酷いな。そんな事しないよ。」


「⋯。」


「でも、協力した方がいいね。悪い事は言わないから。」




2階の一室。ベッドに増渕が眠っていた。


「この女ね。俊輔を捨てた女は。」


「そう。美人さんでしょう?」


「中身がクソってわけね。」


「姉さんも汚い言葉使うんだね。」


「時と場合による。」


紺野は増渕の顔を覗き込んだ。


「この女をさっさと殺してしまえばいいのに。」


「僕は殺したい訳じゃない。」


「でも、この女の恋人は殺したじゃない。」


「殺してない。彼は自殺だよ。」


高島は眠る増渕の腹部に手を当てた。


「子供か。良かったねぇ、奈々さん。」


「分からない。」


「何が?」


「子供よ。何故そんなに欲しがるの。」


「姉さんも、やっぱりいずれ欲しくなるんじゃない?」


「いらない。自分で自分の面倒を見るのが精一杯よ。」


紺野は腕を組み、軽蔑の目で増渕を睨みつけた。


「で、計画を教えて。失敗は許されない。」


「わかったよ。じゃあ兄妹仲良く、【高島魂犠魔生】について語り合おうか。」




時は2015年7月23日(木)、夜。


翌日、世間を揺るがす前代未聞の未解決事件、【光星小学校 児童集団失踪事件】が起こる事になる。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ