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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

社会に溶ける

作者: Xyst

まさかこれ実体験なんて事ないよな?

何が悲しくて俺はこんな事をしているんだろう。

何が楽しくて俺は毎日心をキャベピーマックスしているんだろう。

ふとそう思った。

社会人2年目の夏の事である。


昨年、成人式で再開した元カノと復縁した。卒業後はフリーターのつもりだったが、とにかく彼女を困らせたくはなかったし、いいところを見せたいという思いが俺を突き動かした。

卒業間近の2月にギリギリで内定を貰い、まだ家も決まらない内から入社式を受けた。

そのまま流れるように本社での研修を終えて、現場配属になった。

入社式の後契約した俺のNew家は、安い以外メリットのないものになった。



現場の先輩からは

「何でそんなとこから来てるの?」

と言われたが、

(配属先ぐらい事前に教えておけよ!)

と思いつつ、

「いやーなんか自然が恋しくて。」

とテキトーな事を言って流した。


そんな風に現場での研修も続々とこなし、ついでにジム行って、資格の勉強も始めて、特に辛いこともなく気づけば年を越していた。

夏のボーナスはLOEWEのtシャツ半額以下だったが、冬はLOEWEのtシャツ3枚分くらいもらった。一枚も買った事ないが。

こんなに金あって嬉しい〜!さいこー!

とはならず、奨学金やら引越し時の借金とかで、口座の方から白旗が振られてた。投降など許さぬ!とATMを叩いていたが、紙切れ一枚寄越すばかりで何とも失礼な対応だった。


そして日々をタバコの如く消費(14本/1日)していくと、新年度を迎え、後輩が入ってきた。

おお、こんな中小にも新人来るんだと思った。

一応顔合わせ会なので会話をしつつ、うちの現場に来るでしょうと聞かされていた後輩にはサボり方を教えておいた。

「タバコとか吸わないの?」

「吸いませんよ、今時吸ってる人の方が少ないと思います。」

「あーそっか…。まあ吸わなくてもいいからさ、俺がタバコ持って離席したら一緒に出てもいいよ。」

「吸ってるとか思われたくないのでいいです。それに先輩の現場緩めですよね?吸わなくても休めるんじゃないですか?」

「…まあ、そうだね……。」

「そっち行くかもまだ分からないですしね。」

「そうね…。ちょっと早とちりだったか。研修頑張ってね。」

「ありがとうございます。あとめちゃくちゃタバコ臭いんで、せめて臭い対策ぐらいするべきです。スメハラで人事部から連絡行きますよ。」

「ぁ、うん、、気をつけるよ。ありがと。」

何なんだこいつは。


ほんでダラダラ生きていたら青天の霹靂。

彼女に振られた。

理由が全く分からないんだなこれが。

復縁したというように俺と彼女の仲は随分と長く、

お互いの色々を知ったつもりでいた。

だがどうやら彼女は未来の引き出しを開けたようで、

そこに俺はいなかったらしい。

彼氏なら楽しい、それが最後の言葉だった。


涙が止まらなかったね正直。身体は震えてたし、動悸も激しい。過呼吸にはならなかったけど、どうすればいいのか分からなくなって廊下とベッドの間を往復してた。狭い家でよかった。疲れたらそのまま眠れる。


目が覚めた。振られてから3時間後くらい。彷徨うゾンビタイムがあったから大体1時間くらいか。

震えや動悸は治っていたけど、今度は吐き気に襲われた。夕飯前に飲んだプロテインが出てきた。

ああそういえば飯食ってないんだった。

15g勿体ねえ〜なんてね。

とりあえずトイレを綺麗にして親友に電話した。


「振られた。今後の人生何を目標に生きればいいか分からない。」

「とりあえず飲むべ、新宿来いよ。」


本当いい友達もったな俺は。

幸い今日は華の金曜日。明日仕事はないからいくらでも酔える。


……。のみすぐts。きこどこだy。


翌朝、小田原にいた。誰だかわからないけど起こしてくれたようで、そのまま乗る事はできないので一度降りた。初めて降りる駅だ。そうそうここ乗り換えまで遠いんだよね。…地元までの乗り換えじゃん。


家に着くと疲労感からか玄関で寝た。

初夏だったので床の冷たさが最高だった。

ーーニキビできてた。



こういう暮らしを続けた。何日も何週間も。

逃避を続けた。目の前の現実はあまりに俺を苦しめる。来年のために貯めていた金。あらゆる娯楽を封じ貯めていた金。2人の家の初期費用。

ドブネズミたちのエサになった。

積んであった本たちは無事本棚に戻ったし、黒tシャツは脱ぎやすくなっていた。


どれだけ経っても

俺の目の前は未だ黒く澱んでいて、月並みな言葉だけが溢れていく。誰にでも起こりうる当たり前の絶望に

俺は挫けそうになっている。

長い人生の一瞬の愛。たかが20数年生きただけのクソガキが絶望するにはまだ早いのだろうか。

あの恋は、大人たちから見てどうだったんだろうか。

20年後の俺が見て何というだろうか。

真剣に人を愛するとはどういう事なんだろうか。


でもやっぱり答えなんて出てこない。

客観的に見たら低収入、中身長、中顔面のやつが、

高収入、可愛い、頭いい子に振られただけだ。

思春期の亡霊があの子を繋ぎ止めていただけで、

そいつを振り払うだけの強さがやっと彼女に芽生えただけ。俺は成仏できず、ひたすらあの子を探し続ける、愚かな亡者のままだった。


もうやめよう。考えるのは。

どうせ考えても仕方ない。


自堕落な生活をしてたけど、仕事は全然行ってたし。てか行かなきゃ生きてけねえし。

死ぬのも怖いし。

とりあえず働いておこう。やけになっちゃダメだよな。そんで運命の相手が来るまで、積み上げておこう。亡者らしく崩されても積み上げておこう。

いつか、一緒に石を積んでくれる人が現れたなら、

その時はきっと幸せになれるはずだから。














駄文失礼しました。こういうのあってもいいと思うんですよ。

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