風刺詩『心なき屍人』
文学は死んだ!
読み手はもちろん
書き手も死んでいる
死屍累々の荒野には
マナの雫は潤わない
「わたしは山田太郎
17歳の高校生です」
禁じ手の書き出し
意味不明な会話文
表現を棄てた擬音語の羅列
ライトノベルが堕胎され
ライト文芸がもて囃され
詩は憤怒を吐く道具となり
Xの地獄かと見まごうばかり
文学は窒息しかかっている
憤怒の炎に焼かれて
社会は病み
人間を蝕み
そしてまた
その心が
死んでいる
個人主義と商業主義の
レールを暴走するのは
他者の存在を抹殺した
自意識だけの亡者たち
金と欲望を喰らう屍人
そんな屍人に共感するか
そんな詩人に傾倒するのか?
他者に媚び諂い、言い訳し
機嫌を伺い仮面を愛する
欠片ほども自信なき偽神
そんな偽神を崇めるか
そんな偶像を崇拝するのか?
再生の径は
歩くことでしか
叶わない
文学は癌に罹っている
災厄が無限に増殖して
me,me,me,me !!!
その絶叫が聞こえぬか?
破滅を呼ぶ声が
再生の径はある?
夢など見るな!
その径を歩みたいなら
己が心で、己が体で
心を耕して生みだせ!
生半可な批評や
あらすじもどきの感想は
癌細胞を増殖させる
己の思いさえ批評できぬ輩が
作品を批評できるとでも?
己の心すら知らぬまま
常見ありと宣言するか?