第2話 緋色魔法の継承者
「スカーレット一族の者? この僕が?」
空気が瞬時に張り詰め、澪音の顔は疑心暗鬼の色を帯びる。それは数秒前、アデルの勝手な言辞に対する、極めて自然な反応だ。
「私も驚いた。なんで最後のスカーレットが五百年後のシルファスに……」
「本当に、笑えない冗談だね。根拠もないし、ただの空論でしょう」
「いいえ、証拠ならちゃんとある。よく見てて」
アデルが左手をゆっくりと掲げると、一つの水晶球が上方に顕現し、空中で漂った。
薄紅い光がアデルの掌から飛び出し、結晶面に吸い付いた瞬間、無数の正方形スクリーンが立体映像のように投影され、二人をふんわりと包み込む。
「これは、君とのこの時空を超えた対話のために発動された禁術、<夢遊>」
「で? それをどうやって証明するんだ?」
「名の通り、使用者が過去、現在、あるいは未来から対象となるスカーレットを選び、その者の夢に侵入する魔法だ。同時に、選ばれた人物は強制的に眠りに落ちる」
アデルは詳しい説明を続けながら、そっと手首をひと振りした。すると、なスクリーンが緩やかに回転し始め、それぞれが異なる光景を映し出す――文学と芸術に彩られた社会、工業が発展を遂げた都市、そして息吹あふれる郊外の風景。
どの景色も、中世と二十一世紀の間を行き来しているかのような、不思議なシーンだった。
「私は意識が過去から解き放たれて以来、ずっと未来の時間軸を渡り歩き、スカーレットを探し求めてきた。そして、この先五百年の範囲内で見つかったのは、君だけ。魔法は嘘をつかない」
「それって、ちょっとこじつけすぎじゃないか? 他に検証方法はないの?」
澪音の顔には複雑な表情が浮かんだ。
期待していたのは、遺伝子レベル――少なくとも科学的根拠に基づく証明だったから。
「うん……確かに、一つだけある」
顎に手をやり、アデルは瞳を閉じて思索に耽った後、澪音へ視線を戻す。
「親のどちらか一方がスカーレットであれば、その子は必ず家系の血を受け継ぎ、緋色魔法使いとなる。では問おう、澪音少年、君の両親のうち、どちらかはスカーレっト?」
その質問に。
「……」
泣所を突かれたように、澪音は思わず拳を握り締めた。自分でも気づかなかった、涙腺が緩むことを。
――答えたくない。したいても、できない。
前傾した身体と共に、澪音の毛先が垂れ下がる。前髪は赤黒い瞳孔を隠したが、内面からの物悲しいオーラが抑止られない。
「えっ? 何で泣くの?」
「……っ……いえ、平気……ごめん。悪気がないとわかってるけど、どういうわけか、こんな話をするたびに、気が重くなって……」
必死に首を横に振り、噦り上げた澪音が振り向くと。潤んだ瞳に二本の涙跡ができた。
「両親は七年前、突然の交通事故で亡くなった。彼らはスカーレットところか、魔法使いでもない普通の人間だった……」
これまでの人生を回視して、家族を亡くしてから、自暴自棄な生活を持続した。
狭くとも暮らすには困らない家。両親の遺した金も大学まではやりくりできる。
だが、放課後に帰宅しても、迎えてくれるのは薄暗く静かな部屋だけ。胸に灯った小さな火花すら、すぐ消えてしまう。
もし運命がもう自分を慈しまないと決めているのなら、努力というものに、いったい何の価値があるのだろうか。
――だから、ゲームをやるんだ。
代償なく現実から離れ、世界を忘れられる居場所が心の慰めになった。
ただ、まだ現実を放棄しなかったのは、幼馴染が二人いるから。
「ごめん……そんな質問をしちゃって、私の不覚だ」
罪悪感を覚えたアデルは本能的に両手を伸ばし、この悲しい少年を抱擁しようとするが、動作は突然止まり、微苦笑をする。
「君の気持ちはよくわかる、少年。私たちは、闇の中を這いつくばって進み、光を求める者。生活にほんのわずかな希望を見つけると、全力で手を伸ばして掴もうとする――それでも、いつもすり抜けていってしまう。美しい人生を思い描き、より良い明日を祈ることこそが、命が私たちに与えてくれた存在の意味なのだ。大切な人たちとずっと一緒にいられること。平和と幸福。素晴らしいじゃないか、そんな世界!」
彼女の発言に、燦然たれ未来への憧憬を聴こえる。
ただ澪音は見逃さなかった。アデルの表情の裏に、本心が隠されたようだった。
自分に似た――平然たる外見で作った偽装。
「そう、だね。そんな世界に生まれたらいいなぁ」
「……でも、現実は残酷なものだ。人を成功させ、意志の弱い者を簡単に打ち砕く。彷徨って倒れた人が再起を図るには、徹底的に破壊するしかない。そしてゼロから――」
言って、淡々しい緋色光が合掌したアデルの輪郭を浮かび上がり、力の集積点――掌に流れていく。
形成した半透明の立方体を一気に圧縮する。
一度ダメなら二度。それでも足りなければ三度と。
そして一分後、作り出したルビーが降りてきた。
「もし、人生を修正する機会をあげると言ったら、どうする?」
人生を直すチャンス――バッドエンドを迎え、『リスタート』を押して二週目を開くこと。
酷い一週目をしているプレイヤーとして、「はい」と答えるのが条件反射。
だけど、相手の弱気な口調に秘密を感じた澪音は、素早く返事をしなかった。
「知ってるよ、物事には常に二面性があるって。だから隠す必要はない。再開の代償は?」
「やはり気づいたんだね……このルビーにはスカーレットの魔法が含まれてる。君なら使いこなせるはず。この力を受け継いだら、君の運命が劇的に変える……けど、うまく行けるかどうかは保証できない。いや、逆に、今よりも長く苦しめていくことはほぼ確実、終点につくまで」
やっぱりそうだった、と心の中で嘆いて、澪音はそれ以上話す必要がないと思った。
滅茶苦茶な人生の上に、余計な迷惑をかける方が死より切ない。
百歩譲って考えてみると、スカーレットの身分を置いて、凡人としての生活――仕事、恋愛、結婚を過ごしたら、純粋で美しい人生と言える。
ならば――、
「……もういいよ。これ以上の話は、時間の無駄だ」
アデルの期待に応えられないことを自覚した澪音は、憂鬱そうに天井を見上げ、
「簡単で、平安で。僕の望む物語はずっとこうなんだ。だから、魔法の継承はお断りさせて、いただきます……」
アデルの表情はあまり変わらない、というか、この場でどんな表情をすればいいのかわからない。
家族子孫の境遇に同情を惜しみ、彼が苦しむのを見たくない。
一方で、少年に引き受けてほしいと我儘を言いたい。
「少年、幸せなの?」
「え? いきなり何を――」
「心から幸せそうに笑えるの?」
「……」
言葉に詰まる澪音。
このような哲学的なことは何年も考えたことがなかった。
幸せの基準は人それぞれ。
澪音の記憶には、喜怒哀楽――人間の複雑な感情があったが、自分は幸せなのかというと、心に何かが欠けているような気がする。
「できない、かも……」
突破口を見つけたかのように口角を上げたアデルが指を振ると、澪音の目の前には、さっきとは違う、五百年にわたる映像が映し出された。
日本に限らず、ヨーロッパ、アメリカ、あらゆる文明が存在する場所に記録がある。
その中、一つだけ似たところが顕示されている。
――混沌と戦争。
無敗の勝者も永遠の隷属もなく、死歿はただ誰かが武器を振るったからだ。
「ひどい……」
残酷な映像に、澪音は思わず目を逸らした。
「なんでこんなものを見せたのか……」
「慣れさせて欲しい。それが何もしなく、世界をこのまま続けように放置するの結果――先に待ってるの未来だ」
抑揚頓挫のない口調には、言葉では表現できない悲愴感が混じた。
澪音の肩に手を置いて、アデルは続ける。
「昔、預言のできる魔法使いがいた。彼女の名が世間に伝わってた――スカーレット・ウィッチ。それが私よ。この呪われた能力を持ってるのは、一族でも私だけ」
「呪われたって? あんな素敵な能力なのに?」
「ふ……」
澪音にではなく自分に向けられ、アデルは冷笑した。
「素敵、なのか……預言の度に私が得たのは惨憺たる結果――人間の不幸、感傷、そして無限の貪欲。こんな預言が、当然のことながら、悲劇を起こした。私だけじゃなく、スカーレット一族のみんなも、殺された……」
荒唐無稽なことを聞かされたようで、澪音は目を見開いた。
「なんだって……あなた、殺されたのか?!」
「くっ、滑稽だよね、『魔女狩り』を止めた魔女が狩られてしまって……でも、私はまだ絶望しない。最後の預言に希望を見出した! 明るい未来への希望! だから瀕死の際に<夢遊>を使ったのだ」
大袈裟な台詞はアデルの完璧な演技に見えるが、この空間を満たしているのは真情の発露で、誤魔化しのない感情物質。
澪音にとって、それは遙か遠い歴史の出来事。
けど、アデルの心には、一族の潰滅を目撃した苦痛が焼き付けられた。
耐え難くとも前進しなければならない。自身が、使命を帯びるから。
「アデルさん……」
自嘲に満ちたその口調から深い共感が湧き上がり、澪音はその沈痛な言葉を無視できない。
ゆっくりと顔を上げ、小声で尋ね、
「予言の内容、教えてくれないか……?」
目を閉じると、アデルは手を胸に当て、吟唱を始める。
「五百年後の世界は闇に戻る。魔法使いと迷者に災厄が降臨する。無秩序の中で、世界に平和と変革をもたらし、天下を統一するのは、緋色魔法使い末裔と銀月騎士。だが…………………いいえ、それだけ」
預言としては直截だが、推敲すべき点がある。
五百年後の現代、未知の禍患は間近に迫る。そして――、
「緋色魔法使い末裔って、僕のことでしょうか……」
澪音は自分にしか聞こえない裏声で言った。
子供の頃から何も変わったことがないのに、今ではなぜか『魔法使い』の肩書と未来を書換える責任を課せられた。
そんなことできるか、と澪音は物憂い心に声をかけた。ただ、イエスであろうとノーであろうと、何の意味もない。
だって、本当に知りたいのは――『僕、それを必要なのか』。
――本当に、必要なのか?
歯を食いしばり、澪音はアデルの方を振り返った。
「僕じゃないと、ダメ?」
「……うん。君は、最後のスカーレットだから」
「あなたの預言、外れたことがある?」
「ないわ。それが一番心が折れる部分。預言は、必ず叶う」
今度は、アデルの答えに迷いは無い。
二人の間に信頼関係が築かれつつあるのを機に、さらに説明を加え、
「幸福は諸人に贈呈されるわけじゃない。けど、それを追求する自由は誰でも持っている。少年、この魔法を受けると、君の人生だけじゃなく、世界の未来も変える」
「つまり、ウィンウィン……ってことか。で、継承の過程ってどうなるんだ?」
「難しいことは何もない。ルビーが君と一体化して、より大きな魔力マナと新たな魔法を与えてくれる」
「魔力って、ゲームのMPみたいなものだよね?」
「魔力は魔法使いの命脈、魔法を発動するためのエネルギーで、私たちの血液の中を巡っている。体内に蓄えられる魔力量は人それぞれだけど、修練で増やすこともできるんだ」
「ちょ、ちょっと待ってよ。もし魔力が尽きたり、逆に過剰したりしたら……死んだりはしないよ、ね?」
「うーん……死亡の例もあるけど、むしろ肉体が崩壊するほうが多いかな」
アデルの言葉は、用語を完全に理解した澪音の耳にこそ、何倍にも恐怖を増幅させた。顔色が青ざめ、指先はかすかに震えている。
「じゃ、僕の体がルビーの魔力に耐えられなかったら……」
「うん、血を噴いて重傷を負うだろうね」
すなわち、生き残れる確率は五分五分――その場で命を散らすリスクも同じくらい高いというわけだ。
だが、極めて高い不確実性を前にしても、澪音の高鳴った鼓動は一瞬で静まり、緊張に硬く結ばれた表情はみるみる冷静を取り戻していく。肩をすくめ、俯いた胸から「はあ……」と長いため息が漏れる。
「ふう……」
俯いて、澪音は溜息をついた。
「ずるいっすね。僕が世界の運命を変えると言われたら、ここで断ったら最低な人間じゃないか」
「ごめん、少年……こんな不名誉な手段を使って……」
心咎めを深めたアデルに澪音はふっと、ほっとしたように微笑した。
「……僕はさ、できれば平穏な人生を送りたい。彼女を作り、この町に一生暮らす……と、思ったけど。やっぱり、魔法なんて、一度でも使ってみたい」
「えっ? ってことは……」
「うん。人生の二度目チャンス、受けます」
なぜ承諾したのか、澪音自身にもよくわからない。それはアデルへの憐愍、あるいは第六感だったのかもしれない。
選択の権利は自分に残る。断ったとしても、それは熟慮後の決断。
ただ、これまでの生活を守りたいと思っても、恬淡寡欲な人生を送っていいのかと問われると、本心を欺瞞して「はい」と答えることは無理。
賭けてみる価値はある、と澪音が思う――たとえ失敗の可能性が高い。
「茨の道を選んだら、もう逆戻の余地ないよ」
「ええ、わかっている」
意を決した。澪音は拳を握り締めながら、
「じゃあ改めて、僕、雨夜澪音、緋色魔法を継がせて、いただきます」
言った途端、ルビーが大きく揺れ始め、ぴしゃりと縛りを破って澪音の胸に飛んできた。
凸凹の表面が不思議に赤く光って、衣服を無視し、皮膚を通り抜け、人間の命脈である心臓に止まる。
続くのは継承者との融合。
激痛が一瞬で澪音を麻痺させた――『良薬は口に苦し』は知ったが、その苛烈さは想像を絶する。
「あああああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ――――ッ!」
体が熱くなると同時に、血液に暖流が入ってくるのを感じた。
夢と共振して、現実の澪音は魘されて両手で胸を押さえる。
緋色魔力が具現化し、オーロラの形で全身を包み込む。
後頸部の母斑も一変していた。そこの皮膚組織が再編成し、これまでよりも濃色の模様を作り出した――紋章の円形、緋色の地色、中央に黒羽。
「ふう……やっと……死ぬかと思った……」
苦痛はめっきり減り、顔を上げると、澪音は少し元気に見えた。
「おめでとう、少年。継承、成功……君の……未来はきっと……かっ……」
飛び散った血滴を見て、アデルは口元の血痕に気づいた。直後、全身に強烈な脱力感が襲い、胸がちくりと痛んだ。
それが何を意味するのか、アデルはよくわかる――禁術の効果と命が急速に散っていく。
もう、時間だ。
「うぅ……」
疲労状態では魔法を維持できず、数秒で水晶玉を蒸発させた。
「あっ! アデルさん!」
倒れたアデルを助け起こすと、澪音は感受した。
鼓動が次第に弱化の麗人は、吐く息は氷のように寒冷だった。体も時間の経過と一緒に透明になる。
「これは一体……」
「はぁ……はぁ……<夢遊>の効果が、切りそうだ……」
「おい、それ、まさか――」
「これが、スカーレット・ウィッチ、最後の魔法だ。どう、素敵でしょう!」
掠れた声と乾いた皮膚はアデルの命が尽きること顕わすが、彼女は最初の魅力的な笑顔のまま――自分の死期を平気で見ている病人のような。
「これでお別れだね、少年……」
「預言の後半、アデルさんは『だが』と言ったよね。言わなかった部分を、教え――っ?」
澪音は自分の唇についたアデルの指に焦点を移した。
それは、『内緒ね』のジェスチャー。
「……ごめん、全部伝えることはできない。今明かしたら、その未来が実現しない……もう一つ、スカーレット族人は、契約精霊がいる。目が覚めたら、召喚を忘れないで……」
「そんな大事なこと、先に言えなさいよ……」
「ごめんね、雨夜澪音。どうやら君に、迷惑ばかり……」
息は微弱で、魔力が切れたアデルは、澪音の懐で白い粒子になって空中に散る。
次の瞬間、バーが大きく揺れ始めた。発動者がいなくなれば、この魔法による空間が崩壊するのも当然だ。
砕けた天井とグラス破片が足に落ちる。無言のまま、黒髪少年は壁に靠れて目を閉じた。
――やばい、眠い……
同様な息苦しさを味わったのは、アデルに召喚された一瞬以来。
視界がぼやけ、微かに耳鳴りがする。
………………。
…………。
……。
ガンガン。
意識朦朧になった前、耳に入った嫌な雑音。
それは崩壊したバーからではない。確か、何ヶ月も朝の八時に始まり、身近な工事音。夏祭りと花火大会のために地域で新設する拠点だそうだ。
「――っ?!」
パッと目を開けると、最初に視界に入ったのは、脇机に置かれたゲームだった。
窓越しに朝一番の光が狭い部屋を照らす。
夜通し点灯したパソコン、あちこちの洋服とゴミ――そんな目障りなものは澪音の気分を害するどころか、どこか親近感がある。
「……なんか、あんまり変わった気がしないな」
手のひらを見つめながら、澪音はゆっくりと身を起こす。
先ほどまでの一連の出来事に、強い実感はなかった。夢の中か、あるいは現実だったのか――いまだ曖昧なまま、恍惚とした意識に包まれていた。
「それに……」
窓の外に視線を向ける。
街路では、早起きの学生たちが連れ立って登校し、近所の老夫婦は陽光を浴びに外へ出た。
いつもの日常。見慣れた風景。何ひとつ変わらない。
「やっぱり、いつも通りか……ていうか、どうやって世界を変えるのか、アデルさんが全然教えてくれなかったなぁ。はあ……」
困ったように頭を掻く澪音。
戸惑うのは、これからどうすればいいのかという不確実さだけではない。『魔法』――人生に突如として現れた未知の要素。それもまた、彼を混乱させる理由の一つだった。
ゲーム経験の長い彼からすれば、こういったRPG風の展開には『チュートリアル』がつきものだ。物語の進行方法や、新しく追加された要素の説明があるのが普通。
だが、今回は違う。
期待した導きもなければ、丁寧な解説もない。
ノーヒント、ノーサポートのスタートは、新規プレイヤーにとってあまりにも不親切だった。
それでも、現状を素早く受け入れた澪音は、そんな展開にむしろ興味を抱いた。
謎解き。それもまた、得意分野のひとつだったからだ。
「……なんか、ちょっと面白くなってきたかもな」
目の前に広がる未知の道程に、顔に浮かんだ不安はあっという間に消え、代わりに興奮が込み上げてくる。
時計を見る――午前七時十五分。
遅刻したくないなら、そろそろ家を出なければならない時間だ。
「ま、とりあえず……学校で様子見ってとこか」
そう呟きながら、澪音は制服に着替えた。
今日も、いつも通りに朝食を抜いて、家を飛び出していく。
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