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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

人間は全員二十歳になったら屠殺される世界

作者: ヒロモト

(20になったらおとなの国へ行ける)

そう言われ人間の子供達はギガス達に教育されてきた。

人間は20才の誕生日には『人間適正製造法』によって例外なく殺されるというのに。

ギガスは二足歩行の全身青い肌の猿の様な生き物。

人間よりも賢く強い。そして優しい。

2256年。人間はギガスの支配下にあった。

だが人間は優しいギガスが好きだった。

ギガスはあえて人間が子供の知能のまま大人に育てる教育をした。

人間は20になってやっと令和時代でいうところの『5~10才』程の知能を得る。

死の意味も分からないまま20才で殺される。


「アリさん。今日はどこへ行くの?遊園地?」


今日18歳になるイムは飼い主であるギガスのアリ

に連れられご機嫌である。


「……屠殺場だよ」


「とさつぅ?」


大きな浴槽の様な物の中で刃物の付いた丸太が回転している。

浴槽の中は血で溢れ刃物には肉片がこびりついている。

この中に人間を投げ込んで全身を捻りながら切り刻んで殺す。

これから殺されるというのにイムは嬉しそうだ。

知能の低いイムにとって遊園地の遊具も屠殺器も変わらない。


「人間はなぁ。増えすぎたらダメなんだ。頭が良くなりすぎてもダメなんだ。地球にとって害でしかない。お前は増やしすぎた。20まで生かしてやりたかったよ。ごめんなぁ。イム」


「だっこだ!だっこー!きゃはは!」


イムはアリに抱き抱えられた。アリが振り子のように勢いをつけてイムを屠殺器に投げ込もうとした瞬間だった。

アリの首がはねられ飛んだ。オレンジ色の血が噴き出す。

イムは得体の知らない生物にさらわれた。


「アリさーん!助けてー!こわいよー!」


「落ち着け。僕はお前と同じ人間だよ」


「嘘よ!」


イムをさらった男は中年だった。イムの見たことのない「大人」である。


「何とか間に合った。しかし何で18なのにお前はここに?さぁ大人の国へ行こう」


 ・

  ・


「大人の国」には数十人の大人達が暮らしていた。

年齢は20才から40才まで様々。


「それがヒョウの娘?」


「ああ。イムってんだ」


「なんでイムの名前知ってるの?」


「よーくきけな?」


ヒョウはイムに全てを話した。この世界のルールについて。自分の生い立ちについて。

ヒョウは屠殺を免れた『大人』だった。知能は子供ながら『死』を理解していたヒョウはギガスの国から逃げこの大人の国にたどり着いた。

ここでヒョウは武術を学び、娘であるイムを助けに来たのだった。


「俺と母さんが12才の時にお前が生まれたから俺ももう32か。大人を見たことのないお前には人間に見えなくても仕方ないか。母さんは死を理解していなかったから付いてきてくれなかった」


「おうちにかえしてー」


イムにはヒョウの言うことが理解できない。イムにとって故郷はギガスの国。父親はアリなのだから。


「ヒョンとピュンも心配してるもん!」


「ヒョン?ピュン?まさか」


ヒョンはイムが10才の時のピュンは14才の時の子供である。


「……まじかよ。だから屠殺が早まったのか。孫が二人もいんのかよ俺」


「今度産まれてくるプンの為にもごはん一杯食べるの!」


周りがざわついた。


『妊娠してんの?この子?』


「な……何とかなるよ!」


ヒョウはそう言うが国民は不安だった。子供を取り上げるなど誰もしたことがない。


「だーいすきなアリさんと私の赤ちゃん。特別な赤ちゃんなの」


「え?」


「あっ!アリさんには誰にも言うなって言われてたんだ!イムのばかー!」


『人間とギガスの子供』。それは生かすべきか殺すべきか何が正解かヒョウにも分からない。


「アリさんは強いんだよ!?頭を切られたぐらいじゃ死なないよ!?すぐに助けに来るんだから!」


「そうなのか?」


人間はあまりにもギガスについて知らない。

『人里に降りてきて人間に危害を加えた動物は殺処分される』

かつて人間がそうした様にギガス達も自分達に危害を加えた人間を殺す。


「……やるしかねぇ」


ヒョウは刀を両手に握った。



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― 新着の感想 ―
[気になる点] あらすじなんだけど こういう時は『変わって』じゃなくて『代わって』だね
[一言] 続きがきになります。
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