幼馴染のお姉さんは僕の誕生日プレゼントを頂きました
俺の前には
ニコニコ笑顔の綺麗な女の人がいて,俺の腕は大きな胸に挟まれているということはなく,
普通に手錠をかけられていた。路上で。
これは,ある日の放課後に戻る
いつものように眠い7限目の授業を終えて,家に帰る準備をしながら幼馴染の
長澤佑と話していた。エッチなこととかエッチなこととか
エッチなこととか。いい感じで盛り上がってきたときに佑は急に黙ってしまった。
そして,申し訳ない顔をして
「すまん。今日,姉ちゃんの誕生日だってこと忘れてたわ。何にも誕生日プレゼント買ってねえよー。殺されるよー。」
「いや,別に殺されることはねえだろ(笑)」
「マジで殺されるぞ。俺,去年も買うの忘れたんだが,3万とられた上にクラスラインに
俺の変顔写真,あげられたんだぞ?」
「まさかの生活面で殺されるのか」
「助けてよー,かなえもーん。姉ちゃんがいじわるするんだよー」
「ドラ●もん見たくいうなって。俺,奏太だし」
「ってかお前は誕生日プレゼント買ったのか?」
「買ってないよ。もうそろそろお姉さんとも関わりなくなってきたし。
あの人も僕に興味ないし」
「何回も言ってるけど,姉ちゃんはおまえのこと絶対に好きだぞ。あれは乙女の顔だ。
俺は知ってるぞ,アニメとかでよく見る顔だ!」
「わかったって。そんなしょうもないこと言ってないで早く誕生日プレゼント買って来いよ」
佑のお姉さんとは佑と同じように僕が幼稚園のころから関わりがある。家が近いこともあって,よく三人で遊んでいた。そのころから,正直言うと僕はお姉さんが好きなのだ。
でも,お姉さんと僕は年が6つ離れていて,大きくなっていうごとに遊ぶ回数も徐々に減っていき,今ではほぼ喋りもしない。
そして,僕はまだお姉さんのことが好きなのだ!
しっかりお姉さんへの誕生日プレゼントは買ってある。今日こそ,お姉さんにこの思いを伝えるぞー!
そんなことを考えていた時期もありました。
でも,計画を行動に移すということは難しいことです。夏休みの宿題を早めに終わらせようとしてもなかなか終わらないように。筋トレのメニューとか決めても午前中から午後,
と実行する時間が延び,結局次の日に2倍やると決めるも出来なくなるように。
僕はお姉さんに誕生日プレゼントを渡すことができなかった。僕はチキンだった。
それを実感して,一人ベッドで泣いていると窓がコンコンと叩かれた。
いわゆる幼馴染イベント!期待で胸をいっぱいに振り向いて,視界に入ってきたのは
泣きながら僕の家の窓にへばりつき,「お願いだから,外にいる姉ちゃんに誕生日プレゼント渡して~」という
旗を持った佑だった。僕は佑を僕の部屋の窓から突き落とし,外に向かった。
「お姉さん,ごめんなさい」
「何に対して,謝っているのかな?」
「だって,いかにも怒っている雰囲気出てるから」
「勘違いだよ?」
「だって,本職の警察官の制服着てるじゃん」
「そんなことどうでもいいよ。話があるんだったら,早くして‼」
「あのー,誕生日おめでとうございます!これ誕生日プレゼントです。
開けてみてください」
「ありがとう。...ネックレス。ありがと」
どういうこと?何でお姉さんつけてくれないの?今はつけるノリでしょ!
そう思いながらも「どういたしまして」といった。すると
「それで?」
「それでとは?」
「他にはないの?」
え?まだ僕に何かたかるの?そのネックレス結構高かったんだけど。
「何か,もの言いたげな顔してるね?」
「だって,僕のプレゼントに納得してないように見えたから」
「はぁー。もういいわよ。このヘタレくん。
今からヒントを渡してあげるから,私が行ってほしい言葉を考えて言いなさい」
「は,はい」
「一つ,奏太君は18歳になりました。
二つ,私に彼氏はいません。答えは?」
「what’s?」
「もういいわよ。三つ,ここに婚姻届があります。そして,私の名前が書いてあって
私と奏太君の両親から署名ももらっていて,あとは奏太君が名前を書くだけです!」
「つ,つまりは―...僕と結婚するってこと?」
「正解よ。奏太君」
そう言って,抱き着こうとするお姉さん。そんなお姉さんを止めてなぜそのようなことになっているのか聞くと
「だって,私は奏太君のこと好きだもん。しかも,昔プロポーズされたし」
「してないよ!だって,僕は勇気が出なくてずっと困ってたんだよ?」
「覚えてないでしょうねー。だって,あの時奏太君,寝ぼけてたから。
急に起きたと思ったら私に抱き着いてきて『お姉さん,大好きだよー』って言っくれたから。
それまで,6つも離れた奏太君を好きになっている自分が気持ち悪いと思ってたんだけど,それで,私も好きになっていいって思えたのよ。あと,私のこと好きだったって認めたよ?」
「そうだとしても,今はもうお姉さんのこと好きじゃないかもしれないじゃん。なんでそんなに自信があるのかわから...」
そういう前にお姉さんは僕にキスをした。一瞬のようで長いキスだった。
「奏太君が私のことを好きっていうオーラが出ているから。あと,もし好きじゃなくなってたら私のこと好きにさせるだけだから」
「怖いよ!」って,お姉さんを引きはがそうとするときにお姉さんの手をひっかいてしまう。
「ごめんなさい」
「公務執行妨害で逮捕しまーす。」
「職権乱用だよ!?」
そして,手錠をかけられて町内を回られた挙句,「君の童貞が私の誕生日プレゼントだ」とか言って
一晩かけて美味しく,いただきいただかれました。
次の日,僕の不甲斐なさと幼稚化していたことに謝罪すると,お詫びにと言って
またいただかれました。