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1.オープニング

「 おお~ 伝説通り聖女様が降臨されましたぞ! 」

「「 おおー!! 」」


 眩いほどの光が天を割き、その光から生まれ出たように異国の衣装をまとった黒髪の女性が聖なる泉に降り立たれた。



 その表現、実際はかなり違うんですが・・・

私は今、腰まで水に浸かった状態、それも頭からずぶ濡れになっている。



 確かに私は慌てていた。昨年の受験日に不覚にもインフルエンザにかかってしまい大事な大学共通テストを受けられず、その他の大学入試試験もことごとく落ちた私は、頑張って都内の予備校に通っていた。そして、受験日が迫ってきた今日、予備校の詰め込み授業を終えて家路につく地下鉄に乗り込んだのは最終電車に近い時間だった。


 毎日寝る間を惜しんで勉強をしていた私は、吊り革につかまり立ったままで不覚にも熟睡してしまった。終点駅の一つ前で降りる予定だったのに、目を覚ましたのは終点駅に到着するアナウンスを聞いた時。


( やばい 乗り越した )


 このとき落ち着いて行動すればよかったと後になって散々後悔したけれど、その時の私は慌てていた。もう誰も乗っていない車両から、扉が開くと同時に一目散にホームに降り立った・・・そのつもりだったのに・・・


 扉の向こうは真っ暗な空間で中心に金の粒子が渦巻いているのが見えた・・・までは記憶している。その後は真っ逆さまに落ちていた。そして、着地したのが綺麗だとはちっとも思えないこの泉の中心地点だった。


 まあ、頭から落ちなくてよかったとは思うけど(もし頭から落ちていたらかなり重傷を負っていた)、特撮のヒーローが現れる時のように池の中に両足着地して自分の頭を越えるほどの水しぶきが上がって今に至る。


「 聖女様 」

「 聖女様 」


 口々に泉のほとりを取り囲む人々が手を叩いたり拝んだりしながら歓声を上げているのを、私は無感情に見つめていた。拝む暇があるなら、足首までヘドロに沈んでいる濡れ鼠状態の私を助けてほしいわ。


「 聖女様をこちらに 」


 先頭に佇む白髪ロン毛でロン髭?のお爺さんが杖を私の方に向けて、そのように仰った。どうして尊敬語を使うのかといえば、そのお方は他の人とは違う法王みたいな服装を身に着けているからだ。


 命令されてゾロゾロと私の浸かっていた泉に入ってくる人たちは、日本では見たことのないお揃いの騎士服を着ている。それもかなり良く作られたコスプレだと、その時は関心して見ていた。

泉の中から助け出された私は、もちろん腰から下は泥だらけ上半身も泥が飛び散っていて白いフリースジャケットがドット柄になっちゃってる。


「 ようこそお渡りいただきました。聖女様 」


 法王チックのお爺さんが恭しく私に頭を下げてきたので、


「 あ、あの。私は 睦月むつきひめというものです。聖女じゃないです 」


と、否定と自己紹介をしてしまった。



ありふれているけど、思いつくまま・・・

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