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3.【魔術の知識】

「お主が来たのは確かこの辺だったと思うが…


コンフィーネは、ランプの灯りを照らしながら僕と出会った場所を探していた。

彼の話では、出会った場所には空間が歪むきっかけがあり、人と出会う時には、その世界に関わる「何か」も流れてくることがあるんだそう。


「何も見当たらんな。もしくは流れてしまったか…


コンフィーネは、キョロキョロと辺りを見渡す。

暗い闇とランプの光が僕達を照らすだけで何かが見える様子もない。


「そのランプ、どうやって灯りが点いてるの?


ーふと、疑問に思った。

暗闇、次元の狭間、ここに流れてくる物だけで生活するにしても、ランプはおじいさんが必要な時には必ず点いて、必要のない時には勝手に消える。

なんだか不思議な物を見ているようだった。


「ふむ…このランプにはわしの魔力を込めていてな。ランプが点いてほしいと思うように念じれば、ランプが自然と点き、必要ないと思えば自然とランプが消えてくれるのじゃ。


「凄い!それって僕でもできる!?


「それは、ちと難しいかもしれんのう。

 ランプを点けるにも必要な原理があって、それを生み出さなければ光ることはないのだから。


「なにそれ?とにかく光ればいいってことじゃないってこと?


「まぁ、そういうことじゃ。


ーよく分からないけど、そういうことらしい。


だけど僕には、オモチャのような仕組みで興味が沸いた。


「ちょっと僕もランプを光らせてみたい。


「ほっほっほ。まぁ、そう簡単ではないが、何事も興味がなければできぬからな。

 やってみたければ、やってみるといい。


おじいさんは、そう笑顔を見せると僕にランプを手渡し、ゆっくりとランプを消した。

ランプに込めた魔力を消したのだ。


ーランプが光るイメージ…ランプが光るイメージ…


僕はランプが辺りを照らすイメージを浮かべランプに念を込めた。



………。




……………。





……………………ダメだぁ。






ー光らなかった。


「魔力を込めるとは、そう簡単なことではないのじゃ。物事にはそれが起こすための事象がある。

それを作り出すことが大事なんじゃ。


「事象?


自慢気な物言いでおじいさんは説明し始めた。


「火を見たことはあるかね?


「もちろん。何でも燃やす火でしょ?知ってるよ!


「ランプを灯すにはまず火を点ける必要がある。幸いにもここには空気があり酸素が溢れていることが救いだが、火を生み出すことができれば、ランプに火を点けることは可能じゃ。


「火…なるほど。


ー火



ー火



ーうっすらとランプが光り、そして…消えた。


「今、点いた?


「おぉ…


コンフィーネは、目を丸くして驚いたようにランプを見つめた。


「なかなかセンスが良いのう。

 お主は魔術師の素質があるかもしれん。


「魔術師?


ーなんか格好いい響きだな。


そう感じたところで、おじいさんは次の課題を提示してきた。


「しかし、ランプが一度点いたところでそれを維持できなければ意味がない。

 ランプを点けるためには他に何が必要かな?


「さぁ?他に何かあるの?


おじいさんは笑みを浮かべながら口を開いた。


「アルコールじゃよ。


「アルコール?


「そう、ランプの火を一定に維持して光続けさせるには、アルコールが必要なんじゃ。


「そんなの知らない。アルコールって何?


おじいさんの表情が固まる。


ーそりゃあ、まだそういう知識は知らんか。


「まずはアルコールランプの仕組みから勉強せねばならんのぅ…


「えー、じゃあ、僕にはまだランプを光らせることはできないってこと?


「そうなるの。


「いいもん。いっぱい勉強していっぱい火を作って、おじいさんより大きい光が作れるランプを……


そこで、ランバートの動きが止まった。


「大きな光…いっぱい火を作って…


「どうした?何か思い付いたのか?


ふと閃いたようにランバートはランプに念を込めた。


「いくよ!!


ーその瞬間、スパークするようにランプの光が照らし出し、そして消えた。


「こら、やめぃ!!ランプが壊れるだろ!!


「疲れたぁ…やっぱりダメかぁ。


「お主というものは…一体何を考えておるんじゃ。

 そんなに火を生み出したところで、点いては消え、点いては消えるの繰り返し。それは、ランプが点いたことにはならんのじゃよ。


「そういうことじゃないんだけど…


ー何を考えているんだ、この子は…


不思議そうにランバートを見るコンフィーネ。


「ところで、魔術師って何?


そんなことを聞いたら、おじいさんは呆れたように笑みを浮かべた。


「仕方ないのぅ。お主には素質があるようだからな。少しだけ魔術について教えてやる。

 それをしっかり知識として身に付けて、頑張ってランプを光らせるんだな。


コンフィーネは、ランプをゆっくりと光らせ始める。


「うん!!


ランバートがワクワクするような、にこやかな笑みを浮かべ返事をすると、二人は本来の目的も忘れ、小屋に向かって歩いて行った。


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