7話
「さて、それじゃあ次はどこへ行こうか」
「えっと……少し待っててください」
無事、素敵(?)な出会いを経験を先程のお店でした京介達。結局買ったのは猫のストラップだけだったが、それなりに楽しめた。
麗羅はバッグからゴソゴソと先程の雑誌を取り出すと、指でなぞりながらどこへ行こうか考えている。
「……そうですね、次はここに行きましょう!」
と、麗羅が指さしたのは、この街一番の大きさを誇るデパートであった。
そう、イ〇ンである。
「……へぇ、地元のとは大きさも規模も違うな」
「そうですね……私の住んでいたところよりも大きいです」
先程のお店から歩いて20分。まるで従者のように麗羅の一歩後ろを歩きながら着いたのは、京介の記憶にあるイ〇ンとは段違いの大きさのイ〇ンだ。
フードコートや、ゲームセンターだけではなく、映画館もあり、中にはスーパーもある。確かに、日用品を揃えるのにはいい場所だろう。
「最初はどこ行くんだ?」
「えっと……そうですね……まずは服からでいいですか?」
「仰せのままに」
案内板を見ながらキョロキョロと視線を動かしながら、ピシッと指を指したのはユニ〇ロだった。
「その前に、琴吹さんちょっと耳」
「?はい、なんでしょうか」
ひょいひょいと手招きをする京介に、はてなマークを浮かべながら近づく麗羅。京介はそのまま麗羅の耳に口を近づけた。
「顔を動かさないで、視線をゆっくりと右にずらして」
「!……」
思ったよりも京介の声が艶めかしかったので、少し肩が揺れたが、言う通りにゆっくりと視線を向ける。その先には、チャラチャラとした格好の男が三名、こちらを見ながらヒソヒソとしていた。
「あれは………」
「恐らく、琴吹さんをナンパしようとして、あわよくば強引にでも関係を持とうとしている輩だな………」
京介は、昔から人の視線というものに敏感だった。記憶を失い、様々な人に同情や心配の視線を向けられていた京介。気づけば人の視線に敏感になっていた。
一瞬、背筋がチクチクするような視線を感じた京介は、ちらりと視線を向け、格好と下卑た視線を麗羅に向けているのをすぐさまに察知した京介。
どうやら、男避けの仕事は充分に果たせそうだ。
「これからは離れないようにしよう。トイレとか行きたくなったら、君は女子トイレに隠れてて。流石に女子トイレには入ってこれないだろうから」
「そうですね。それが一番です……あの、高木さん」
「ん?」
「その……連絡先、交換しときませんか?そしたら、どのタイミングで出ればいいか分かりますから」
「………そうだな。その方が安全だ」
「!」
そのセリフに、麗羅は心の中でガッツポーズをした後に叫んだ。
案内板から離れ、先程の男達に背を向けるようにして、連絡先を交換してるのをバレないようにしながら無事にLI〇Eの交換を終えた。
「毎日連絡します!」
「……そんな毎日するネタがあるのか?」
「あります。今日の夜ご飯の感想はどうだったかとか………」
「それって今日から二日くらいしか出来なくない?」