4話
(………What!?)
と、心の中でネイティブ(なつもりの)発音で叫んだ。
京介の目の前にいるのは、昨日の夕方も見た、夕焼けに負けずに綺麗な金髪と透き通るような碧眼の少女の麗羅だった。
呑気にぱちくりと思考がショートしている中で、麗羅の言葉が聞こえる。
「その、相談なんですけど……」
「………ソウ、ダン……?」
ソウダン……あぁ、相談ねと少しばかり脳内が平常に戻り掛けの頭で必死に頭を回した。
今日の彼女の格好は、今の季節ピッタリ目の白無地のワンピースに軽く肩にカーディガンを掛けていた。京介の目には格好は素朴だと言うのに、麗羅が着ていることで、まるでドレスのように輝いていた。
それに何となく目線を逸らしながら……性格には、目ではなく、おでこを見ながら頑張って平静を保った。
「その、私…今から日用品を買いに行きたいんですけど」
うんうん、日用品ねと頷く。
(……え、でも別にそれなら一人で行けば良くね?)
と思った京介は悪くない。しかし、次のセリフを聞いた瞬間、京介は大いに納得し、話を理解した。
「私…昔から、男の人に声を掛けられ事が多くて……」
「……………あぁ」
納得した。ものすごく納得してしまった。
つまりアレなのだ。麗羅一人で出かけると『ナンパ』に出会うため、男避け兼荷物持ちとして付いてきてくれないか?というお願いなのだ。
(なんか物凄く納得してしまった)
改めて、京介は一瞬だけ麗羅のことを見た。髪は透き通るような金髪で、言わずもがな綺麗。目も碧眼で、あまりの日本人離れしたその美貌。しかも、本当に高校1年生なの?とでも言いたいほどに、少し発育の良い体。これを見て放っておくなという方が無理である。
「その、良ければ一緒に付いてきてくれませんーーー」
「いいぞ」
「ーーーかっていいんですか!?」
言い切る前に了承した京介。
「おう……何より、琴吹さんには昨日、カレーでお世話になったし」
そのお礼だと思えば別に苦ではないし、周りを見るという目的のもと、明日あたり一人でブラブラしようかなと考えていたのだ。それが今日になって、しかも美少女とお出かけに変貌すればお釣りが沢山来るくらいだろう。
「それじゃ、準備してくるから……五分くらい待っててくれる?」
一応、着替えてはいるが、サイフに鞄にと持ってくるものがある。
「はい、お待ちしてますね」
「うん、じゃあちょっと待ってて」
と、京介がドアを閉めて消えていく。
「………やっぱり、変わってないなぁ……」
その声は京介には届かなかった。
その後、宣言通り五分で戻ってきた京介は、麗羅と共に街へ繰り出す。京介は、麗羅の護衛に努めようと一歩後ろを着いて歩いていくことにした。
麗羅の手には、この街の案内図が握られており、様々な場所に付箋が貼られており、相当調べたんだなぁと後ろから見ていた。
ーーー何故か、その雑誌が所謂デート雑誌的なものと分からず。
「えっと……それじゃあ、最初はここでいいですか?」
「うん、琴吹さんが行きたいように回っていいよ」
どうせ俺ついて行くだけたしと思いながら麗羅を見た。
「で、でも……その、高木さんが行きたい場所とかないんですか?」
「俺?別に、今のところはないかな」
京介はこの街初心者なため、どこに何があるかなんて全然分かっていないので、こう答えるしかない。
「そ、そうですか…」
「?」
と、何故かしゅん、と落ち込んだ麗羅。それを見て京介は首を傾げた。
(……あれ?なんか対応間違えた?)
「………ダメよ、麗羅。ここで落ち込んではダメよ……」
ブツブツと呟き、自分に喝を入れる麗羅。当然、その声は京介には届いていない。
「そ、それでは!最初はここにしようと思うんですが……大丈夫ですか?」
「ん?」
と、ばっ!と持っていた雑誌を京介の方へ見せる、それを覗き込んだ。
麗羅が示したのは、何やらオシャなインテリアとかグッズが販売していある雑貨屋のようだ。
「うん、分かった。それじゃあ行こうか」
「! は、はい!では行きましょう!」