27話
(服はこれくらいで大丈夫だな。あと足りないものは……)
二泊三日のレクリエーションキャンプ前日の日曜日。京介は最終確認として、必要なものリストという題名で配られたプリントに目を通しながら、スーツケースの荷物を見ていく。
(うし、大丈夫だな。そしてそろそろーーー来たか)
ピンポーンと呼び鈴が鳴り、事前に誰が来るか把握していた京介。腰を上げ、玄関の方へ向かい、ドアを開けるとそこには予定通り、今ではすっかり見慣れた金髪の少女ーーーー
「こんちは、琴吹さん」
「こんにちは、高木さん」
ーーー琴吹麗羅がそこに立っていた。
なぜ、こんなことになっているのかは、一昨日の放課後まで遡る。
「もうすぐレクリエーションキャンプですね」
「そうだな」
とあるスーパーにて、夜ご飯の材料を買うので着いてきてくれませんか?高木さんの意見も聞きたいのでと誘われ、もう既に、麗羅が京介の夜ご飯を作るのが確定している言い方に、何も疑うことなく二つ返事で了承した京介。気付いた時にはあれ?と思ったが、まぁ美味い夜ご飯食えるからいっかなーと思ってしまっていた。
結構侵食されている。それは、京介が無意識のうちに感じている麗羅から漂う懐かしさが原因なのだろうか。
とまぁ、話は置くが、野菜コーナーで食材を物色していた麗羅がポツリと喋る。
「しばらくお家を空けないと行けませんから、掃除をきっちりしないとダメですね」
「そうだな」
「なので、高木さんのお部屋、日曜日に掃除させていただきますね」
「そうだーーーん?」
思わず頷きかけたが、麗羅の中では既に決定事項。まぁ一人よりも二人の方が早く終わるかと考え、結局そのまま頷いたのである。
「今日はそのままここで料理の方を作らせてもらいますから、材料持ってきちゃいました」
と、体の前で持っているビニール袋を揺らす麗羅。京介は1つ頷くと、それをひょいと持ち上げる。
「了解した。とりあえずいらっしゃい。これはキッチンに置いておくな」
「あ……はい」
くるり、と京介が後ろを向いたタイミングで、麗羅は頬を赤く染める。
(はうっ!きょーくんのさり気ない優しさ!カッコイイ!)
その行動に、胸を貫かれていた。
三秒ほどやられたが、すぐさまふるふると首を横に振って、お邪魔しまーすといって、部屋の中に入った麗羅。
(最近、なんだか空ちゃんと花果ちゃんの動きが怪しいから、ここら辺で一気にきょーちゃんの心をグッ!と掴むのよ私!願わくば……えぇ!ラッキースケベよ!ラッキースケベすれば、きょーちゃんも流石に私の方に意識が…………)
自分からラッキースケベを祈っていた。




