表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
26/30

25話

 長月高校では、毎年毎年新一年生恒例のレクリエーションキャンプというものが存在し、クラスメイト同士の自己紹介ついでに、もっと仲良くなろーぜ的な行事がある。


 教師の一言、それでは四人一組になってくださーいの言葉と同時に、京介は席を立って最近仲良くなった晃の元へ向かおうとしたがーーー


「………?」


 立ち上がったまではいいが、袖が引っ張られているようなので、歩くことが出来ない。


「………ちょっと花果さん?この手はなんですか?」


「なに、キミが別のところに行かないようにしっかりとキープしているだけさ」


 グイッ!と女子から考えられないくらいの力で引っ張られる京介。


(……力強くね?全く動けないんだけど……)


「それに、どうせ四人なんてすぐ集まるんだから、何もわざわざ探す必要なんてないじゃないか」


 は?と思った直ぐに、どん、と軽く京介の肩を叩く音。


「よろしくねー、高木くん」


「よろしくお願いします、高木さん」


「………おいおいおいおい」


 女三人に男一人。勿論、嫉妬の視線が突き刺さりである。


 視線に物理法則が通用するのなら、きっと京介は五回ほど圧死しているだろう。


(いづれぇなぁ……)


 ちくちくちくちく、京介に突き刺さる嫉妬視線。さっきから背中が痒くて仕方がない。


 基本、まだ男子も女子の壁が少しある中、基本的に男四人か、女四人で組んでいるところが多い中、異性がいるのは京介達の他に、入学式初日に、四人を遊びに誘ってきたイケメンくんの所が男一、女三の割合なのだが、まぁあちらはイケメンなので仕方ないと諦めている。


 しかし、京介はそこそこかっこいいものの、長月三大美女と呼ばれている人達を独り占めは許さねぇ!という嫉妬の視線が話し合いそっちのけで京介に送られている。


 当然、その中には晃の視線もあった。


(……俺は空気、俺は空気、俺は空気………)


 京介は目を閉じて、女子三人の話し合いを聞いているだけの役に徹している。


「高木さん、ここどう思います?」


「あぁ、いいんじゃないか?」


「高木くん、バスの席順どうする?」


「あぁ、いいんじゃないか?」


「…………京介。高校卒業したら、ぜひ私の右腕として木更津の糧となれ」


「あぁ、いいんじゃーーーーーいや、それは良くねぇわ。うん、全然良くねぇわ」


「ちっ、もう少しで言質取れるところだったのに……」


「花果さん?俺の進路勝手に決めるようにするのやめてもらいます?」


「ならば、きちんと私たちの会話の輪に入れ。さっきから適当に相槌しおって」


 この、と言われて軽く足をつつかれる京介。ごめん、と一言謝ってから三人に何の話をしているかを聞いてみる。


「それで、今は何を話してるんだ?」


「勿論、誰が高木くんの隣に座るかどうかを決めてるんだよ!」


「一人で」


 当然、そんな余裕は無いため全員に却下された。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ