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15話

 即答で却下され、自販機へ移動。適当な飲み物を花果は京介へと渡し、受け取ると物凄い勢いで飲み干していった。


「おぉ……すごい勢い」


「逆に大丈夫なのか……?」


 空と花果が飲みっぷりに驚き、500ミリの飲み物がスルスルと京介の喉を伝い、胃袋へと収まっていく。


 さして、一回も口を離すことなく飲みきった京介は、盛大に「ぷはぁ!」と声を出した。


「あー……すまん、そしてありがとう。いくらだった?」


「いいよ。奢るって約束だったし、お金なら沢山あるから」


「うわぁ、ナチュラル金持ち発言うらやま」


 と、腰に左手をあて、右手を胸にやり、慎ましやかな胸を張った花果。


「すまん、時間とったな。帰ろうか」


 ペットボトルをゴミ箱に捨ててから、三人に声を掛ける京介。頷いたのを確認してから校門へ歩き始めた。


「そういえば、空と麗羅はよくあのなんちゃってイケメンを見抜けたな」


「あー……まぁ私は店員やってるから自然と人を見る目が着いちゃって………」


「私は………あんまり思い出すのは嫌なので軽く言いますと……よく、あのような視線をぶつけられますから」


「あー……納得。麗羅、綺麗だもんね」


 と、前歩く三人の二歩ほど後ろを歩く京介。すぐ様女子は女子で集まったので、会話に入りにくくなってしまった。


「そんな……私より、空ちゃんと花果ちゃんの方がお綺麗ですよ?」


「私が綺麗なのは知っているさ」


(うわっ、すげぇ堂々と言い返したぞ)


 京介が謙遜するでもなく普通に言い返した花果にびっくりした視線を投げていると、空がまたまた京介をびっくりさせる発言をした。


「……それなら、ここにちょうど男の子が1人いる訳だし、この中で誰が一番綺麗か聞いてみない?」


「……………え?」


 ついつい京介の足が止まった。


「へぇ?いい案だね空。ほら、京介。堂々と私と言っていいんだぞ?」


「…いや、待て待て待て」


 どうしてそういう経緯になるのか、そもそもこんなことする必要はあるのかと、様々なことが頭を巡るが、それでも京介の脳は警笛を鳴らしていた。


 この質問。されるのはとんでもなく危険なのだと。


「そもそも、俺が決めるのもあれだろう?それに、琴吹さんは賛同してないし…」


 と、未だに声を上げていない麗羅を見る。


「ねー、麗羅ちゃんも気にならない?高木くんが現時点で綺麗だと思う人」


「気になるよな?もちろん、私になることは決定しているが」


 と、左右か麗羅を挟み込んだ空と花果。頬を寄せ合い、冷静に見れば眼福の光景が京介の目の前で起きているが、そんな冷静になれるほど京介は落ち着いていなかった。


「えと……少し…気になります……」


 と、少し顔を右下に向けながら、頬を赤くした麗羅。まさかの気になる発言に京介は肩を落とした。


(ま、まじか……琴吹さんも意外と興味あるのか……)


 京介は諦めたかのように息を吐くと三人を見つめる。


「ほら、遠慮せずに私と言うがよい」


 花果は、まさに大和撫子といった感じだ。黒髪ストレートロングに、黒目と普通に美人で、街に出れば人目を集めることになるだろう。


 麗羅だって負けてはいない。金髪で、翡翠色といった日本人離れした容姿で、綺麗という文字がこれ程かというくらい似合う。


 空は綺麗というより、元気で可愛いというイメージの方が強いが。赤い髪をポニーテールにしているが、きっと下ろせばまた違う表情を覗かせるのだろう。


(………まずいな。クソ迷うんだが)


 と、じーっと顎に手をあて、三人を曇りなき眼で見定める京介。


「……な、なんかこうずっと真剣な目で見られると、恥ずかしいね」


「う、うん………」


「全くこれは予想外だ。私が少し恥ずかしいと思うとは………」


 京介も、見た目は整っている部類にはなるので、見つめられると何やら恥ずかしい気持ちになってきた女性陣。


 結局、誰が綺麗かは有耶無耶に終わった。

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