11話
レジェンドメイドなる謎の先輩との邂逅(顔みただけ)から数十分。一同はようやく長月高校に辿り着いた。
正門入口には、『長月高校入学式』と煌びやかに装飾してある立札が立ってあった。
「あ、あそこじゃない?クラス表の紙」
「ん?」
空が指さした先には、壁に張り紙貼られてあり、そこには少し生徒が集まっていた。まだまだ入学式が始まるまで時間があるので、いる人数も少人数である。
「あぁ、多分あれだな」
「私、見てくる!」
「あ、空さん!?」
ビューン!と効果音が付きそうなほどに走り去っていく空。その後ろ姿を見て、元気はつらつだなぁと思った京介。麗羅の方を向くと、たまたま視線があったので、二人して苦笑いをしてから空の後を追った。
「あった?」
「いや~……まだ見つけれられない……」
むむむ、と言いながら手を額に当てて目を細める空。既に一組の方は見終わったのか、既に二組の方へ移動していた。
(それなら、俺は反対側から見るか)
と、空から少し離れ、五組の方から見ていくことに。麗羅も一瞬で空と京介を見て、どちらに行くかと悩んだが、結果的に京介の後を追った。
1クラス40人の計五クラス。今年の倍率が10倍だったので、受験志望者は2000人はいた事になる。恐るべし、レジェンドメイド。
「………あ、赤井さんいた」
空の名字はあから始まるため、比較的簡単に発見できた。
「ほんと?……あ、いたね」
ススス、と寄ってきた空のために半ぽズレてから場所を開けた京介。それに気づいた空が笑顔で「アリガト」と言った。
「あ、麗羅ちゃん発見……あ、高木くんもいたよ!」
「お、てことは奇跡的に全員同じクラスか」
どういう因果か、偶然にも全員同じクラス。
「一年間、これからもよろしくね、高木くん、麗羅ちゃん」
「はい、よろしくお願いします」
「まぁ、ボチボチよろしく」
空がペシッとなんでやねんと突っ込んだ。
上級生から校舎に入る時には、造花に安全ピンの着いたものを付けてもらい、空、麗羅が横に並び、二歩後ろくらいに京介が歩いて着いていく。二人の会話をBGMに、京介はどうやって友達を作ろうかと考えていた。
(共通の趣味……とは言っても、俺は中学の時に少し卓球部にいたくらいだしな。運動の話は無理だし、後は趣味のゲームくらいしかないのだが……)
卓球の方は、諸事情により三ヶ月で辞めることになり、趣味のゲームというのも、モン○ンとかの大衆に知られているものじゃなくて、ゴッ○イーターとかテイ○ズシリーズの、その界隈では人気はあるものの、一般にはあまり知られていない系のやつをやっている。
(ラタトスクの○士……好きなんだけどなぁ……あまりテイ○ズ知ってる人少ないんだよなぁ……中学の時とか一人しか知らなかったし)
「あ、ここだね」
物思いに老けること数十秒。空の言葉で現実に戻ってきた京介は、ちらりと視線を上に向ける。そこには、『1ー5』としっかり書かれた札があった。
ガラガラと空が扉を開け後ろからひょっこりと教室を覗き、中を覗く。
まだ6人しか来ておらず、中はシーンとしていた。しかも、そのうちの半分は腕を枕にして熟睡していた。
(……え?なんのために早く学校に来たの?)
と、寝ている奴を見ながら、空達の後ろを着いていきながら、席順を見た。
(俺の席……げ、隣のやつ熟睡してんじゃんかよ)
席的には後ろなのだが、如何せん、その隣が腕を枕にして寝ていた人物だった。
(女子か………名前は……木更津?どっかで聞いたことあるような………)




