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異世界冒険記 ツワモノどものファンタジア  作者: マサオカ
第六話 バック・トゥ・リベンジ
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異変

東の森の奥深くにあるダンジョン。

 

 その最深部にガイロウとダストはいた。この二人は通路の脇に大きく開いた亀裂から見える、大きな構造物を見下ろしていた。

 近くには捕らえられたクーノとイクスも居た。その必要も無いと判断されたのか二人とも拘束はされておらず、クーノは杖を取り上げられた以外何もされていないが…、

 イクスは…、上はボロボロのシャツ一枚でズボンは膝までずり落ち、そして、まるでジェットコースターを百回ハシゴした様な顔で呆けていた…。

「一体何があったらこんな姿に…」


「こいつを起動させればいいのかい?」

 下に見える構造物は青白く怪しい光を放っていたがまだ動き気配はなかった。


 クーノはこの二人をわずかに離れた後ろから見ていたが、何を話しているのかは聞き取れなかった。

 突然先程まで呆けていたイクスが、スクっと立ち上がると、ズボンをはき直しスタスタとガイロウの方へ行った。

 クーノはまだ呆けているのかと思った…、が。

「おい!お前達!何を企んでいるのか知らないが!この俺、ガっ!!」

 言い終わる前にガイロウにぶん殴られた!。

 何の警告も無く…、それは、まるで目の前にちらついたハエを叩き落とす程度の動作だった。


 彼の”汚名返上”機会は不発に終わった…。

 イクスはボールの様に弾みながら洞窟の奥へと跳ねて行った。

「イクス!」

 クーノは慌てて追っていった…。


 ガイロウは手にしていた虚空の杖を構造物に向かって投げ入れた。杖は空中で静止し、クルクルと回るがそれ以上は何も起きない。

「おいどうなってるんだ!?」

 ガイロウはダストを睨みつけるが、ダストは無表情なまま

「コノ遺跡二、コアハ無イ…魔力ガ不足シテイル」

 短くそう答えた。ガイロウは、「ああそうか…」と頷くと、先程イクスが飛んで行った方へ歩き出した。


「おいイクスしっかりしろ!」

 クーノはイクスを揺さぶってみる。顔がひしゃげている以外は命に別状はなさそうだった。


「おお~生きてたかぁ~、よかったよかった」

 ガイロウは何事も無かった様に現れると、いきなりイクスの首根っこを捕まえて引っ張っていった。

 すっかり戦意を喪失したイクスは足をバタバタさせてわずかな抵抗をするが全く取り合ってもらえない。

 やがて裂け目の前まで戻ってくると、そこに何の躊躇も無くイクスを投げ入れた。

「わ~~~~~~~~~!!」

 虚空の杖はイクスを捕らえる様に両手両足を拘束し、まるで十字架の様に貼り付けられた。

 次の瞬間、イクスの体に電流の様な物が流れ魔力を吸い取り始め、頭上のオブジェが光りはじめ、その魔力を全部下の構造物に流し始めた。

 イクスは苦しんでいたが誰も気にしていない…。

 下の構造物が光り始めた。

「何が起こるんだ……?」

 洞窟全体が揺れ始め、クーノは壁に手を付きながらなんとか亀裂の所まで戻ってきたが、二人はすでに消えていた。


 ゴゴゴゴゴゴゴゴ……


 更に遺跡全体が揺れ出した…。下を覗くと、イクスを張り付けにした杖が下の構造物を引っ張って上へと上がって来ていた。

 このままでは洞窟が崩れ下敷きになってしまう。クーノは意を決して上がってくる構造物に向かって飛び降りた。



 砂漠が夕日に染まるころ、武装したセージは地表すれすれをジェット機の様に疾走していた。

 背中のスラスターを全開に、時折地面を蹴って、徒歩でまる一日ほどかかった道程を三十分ほどで走破した。

 やがて出発した砂漠の真ん中にある渓谷が見えてきた。そこには黒龍と、先に戻ってきていたシズが居た。

 滑り込む様に停止すると、武装を解いて一息ついた。

「ふー、やっと着いた」


 それから二人はお互いの近況を話し合った後、二人同時に出た言葉が


「何やってんだよ!」

「何やってんのよ!」


 だった。

 

 場所は変わり、オリエンスの街の巨大ダンジョン。その中を行く銀の鷹団とファウナ達の所にシズからの通信が入った。


「え?失敗したの!?」

 シズからの通信を受けたファウナは、信じられないと言った声を上げた。この二人に任せておけば”たぶん”何とかするだろうと、丸投げしていたので予想外だった。

  

「ああ、そうだ! だから今度はそっちに来るかもしれないから…、ギルドに…、で、今どこ?」

 セージはシズの出したステータス画面からオリエンスに居るファウナに向かって怒鳴っていた。シズが買って来たクラブサンドを食べながら…。


「え?一層に着いた所って?」

 オリエンスのダンジョンは巨大である。しかも最下層ともなれば普通に戻ってくれば何日もかかるのだが、各階層には転移エレベーターが在り、それを使えば 一気に第一層まで戻ってくれるはずである。

 セージの計算では昼頃には街に戻っているはずだった…。

「いやぁ~それがせっかく持ってきた食材を余らせるのも勿体ないので、昨夜は遅くまで宴会を……」

 リーぜによると銀の鷹団は長期遠征のために多めの食料を持って来ていた様で、それをリーゼが勝手に調理し、酒樽を開け、宴会を始めた様だった。

 目覚めたのは昼過ぎだ。

「いやぁ~最後のビンゴゲームは盛り上がったね~」

 ディックがのん気に言う。

「そうそう、まさか一等の賞品が……、ぷぷぷぷ…」

「ぷぷぷぷ…」


「お前ら!人が大変な時に何やってんだ~!!」

 セージの怒鳴り声が響いた。

 

 その時、通信の向こう側で異変が起こった。

「気を付けてください!!」

 ディランの声で銀の鷹団の戦闘組が、警戒姿勢を取る!

 先程まで静かだったダンジョンの中に緊張が走る。ダンジョン第一層の大回廊、その横にずらりと並ぶ側道から無数のモンスターが現れた。

「どういう事だ…」

 ドワーフのベイルドが疑問に思うのも無理はない、現れたモンスターはどれもこの階層に現れるはずの無い強力なモンスター達だった。

「こいつはマズイな」

 ディックも矢を構え、戦闘態勢を取った。

 何かが起こり始めている…。全員がそう感じた。


「な!なんだ!!」 

 東の森に一番違い宿場町。

 突然の大きな揺れが収まった頃、大慌てで見張り台に上った駐在兵は、森の遥か上に浮かぶ巨大建造物を目撃した。

 


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