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異世界冒険記 ツワモノどものファンタジア  作者: マサオカ
第六話 バック・トゥ・リベンジ
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砂漠・二人 セージの場合

 ザルード砂漠に有る、もう一つのダンジョン、カルド遺跡。


 太陽が真上に上がるころ、セージ達はこの遺跡に到着していた。

 魔石の発掘で冒険者と共に発展し、大きな街となったザイアとは違い、こちらは人の姿も無く、辺りは砂の海に埋もれた、かつて建造物だった残骸の数々…、ここはやがて砂の海に沈んでいく文字通りの過去の遺跡だった。


 二人は何処かに有るだろうダンジョンの入り口を探して奥へと進む、進むにつれて原型をとどめた建造物が増えていく、かつては大きな街でもあったのだろうか…。

「こんな時でも無ければゆっくりと見て回れたんだがなぁ…」

 セージは遺跡を眺めながらぽつりと感想を漏らす。

「おいおい、俺達に世界の命運がかかってるんだぞ!ここからは気を引き締めていかないと!」

 イクスが意気揚揚と言う。

 先ほどまで干乾びたミイラの様だったのだが、休憩して水を飲んだためか、それとも未知のダンジョンに近づいてアドレナリンが分泌され興奮気味なのか、今はやたらと元気だ。


 やがて二人は、かつて神殿だったか、ひと際大きな建造物の奥にダンジョンの入り口らしき大きな洞穴を見つけた。

「ここが入り口か」

 ダンジョンの入り口を前に、イクスはこういうのに憧れていたのか興奮もマックスだ。だが、セージは先ほどから何か別の事を考えている。

「よし、どちらが先に杖を見つけるか競争しよう」

 突然、セージにしては珍しく妙な提案をしてきた。

「競争…?」

 興奮気味だったイクスもセージの意外な提案に驚いた。

「そうだなあ…、じゃあ勝った方は負けた方の持ち物から、何でも一つ貰えるってのはどうだ?」

「え?何でも…」

「じゃあ~行くぞ~、よ~~~い…ド~ン!!」

 イクスの考えがまとまらない内にセージが勝手に始めてしまった。イクスは訳が分からないまま押される様にダンジョンの中に駆け出した。


 そして、入り口にはセージだけが残った…。

『ご主人様!ご主人様!』

「なんだよ」

 突然、魔石が喋り出した。

『まさかまさか、負けたら私をあげるつもりじゃ無いでしょうね!』

 魔石は、イクスが”やがて女の子になる石”にやたらと興味を示していたのを知っている。

「魔石は魔力が安定供給できればいいんだろう?異界人はみんな魔力が高いって聞いたぞ?」

『安定供給です!すぐ死んじゃう様な人はダメなんです』

「どうかなあ…、ああいうのが意外と長生きするんだぞ…」

 とか話しているうちに、いつの間にかセージは神殿の外に戻ってきていた。

『ご主人様?…ダンジョンは?』

 魔石は状況が分からず聞き返した。

 だがセージはそれには答えず上を見上げると。


「おい!いるんだろう?出て来い!!」

 

「フハハハハ!!さすが先生だ!気付いてたのかい?」

 神殿の上から声がする、次の瞬間、黒い影が地面に落下した!!

 砂煙の中から現れた巨漢の大男は見間違えるはずも無い。

 ガイロウだった。

「ハハハ!確率二分の一、大当たりだぜ!今日はツイてる!」

 セージと対峙したガイロウは上機嫌だった。逆にセージは静かに燃えていた。


「力に吞まれた哀れな男…、お前を正しく導けなかった、すべては俺の責任だ!」

「ハッ!考えが古いんだよ爺さんは、便利な物は積極的に取り入れて、より強く!より高みへ!それが力だろう!」

 セージは魔石のついたデバイスを取り出す。

「求めるのは力だけか……。やるぞ」

『待ってました!待ってました!』

 魔石はうれしそうに答える。

「武装!!」

 魔石から噴き出した炎がセージの全身を包むと、中から赤いドラグギアが現れる。

「今度こそ!お前の根性叩き直す!」

「やっと本気になったな!セイジ!!」

 

 ガッツ!!!


 双剣と大剣が激突する!

「ハハハ!!」

 ガイロウが押し返そうと力を込める!

 

 ゴォ!!

  

 セージのヨロイからジェットの様に炎が噴き出し、ガイロウを押し返す!

「そうだ!その力だ!!」

 ガイロウが大剣を振る!!だが武装したセージもパワーでは負けていない!

「どうだ!楽しいだろう!自由に力を使うのは!!」

「お前は何も分かっていない!目的も無く振るう力はただの暴力と教えたはずだ!!」

 セージは大剣を払うと上空へ飛ぶ!

「もっとだ!もっと本気を出せ!!」

 ガイロウの周りに幾つかの光弾が現れると、空中のセージに向かって飛んで行く。

 魔法弾だ!だがセージは空中でさらに加速して振り切ろうとするが、魔法弾はセージを追って何処までも飛んで行く。

 セージは後退しながら刀で魔法弾を切り飛ばす!

「こんなコケオドシ!!」

 セージのヨロイには飛行能力は無い。ヨロイの節々から噴き出す炎で、強引に姿勢制御をしているのだ。

 魔法弾をおとりにガイロウが現れる!

「どうした?ガキをかばって俺を引きはなそってか?もっと戦いを楽しもうぜ!!」

「何処までも力におぼれたか…!」


 大地を空を貫き、縦横無尽に二人の戦いは続く…、

それを見ている影があった…。イクスである。

 ダンジョンを奥まで進んだ所でさすがに”何かおかしい”と異変に気付き戻ってきたのだが…、

 出るタイミングを完全に失い、物陰で隠れて見ているのである。

「ああ~そうじゃない!そこは横一線で吹き飛ばすんだろ!」

 何やら勝手な事を言いながら、それでも彼の頭の中での一人脳内シミレーションでは始終圧倒的バトルを行っているのだろう…。


 だから気付かなかった……、後ろから近づく影に……。


「きぁぁぁぁぁっ~~~!!」

 突然の悲鳴に振り向くと、イクスが鳥のような怪物に捕まり捕獲された野ウサギの様に大空を舞っていた。

 ヴォルフやボアの様に異界人の体をベースにモンスターの魔石を埋め込まれて改造された”スレイバー”と呼ばれる改造獣人である。

「ちっ”ファルケ”か、余計な事を……」

 ガイロウは舌打ちしながら言った。彼にとっては杖の探索よりも、セージとの決闘の方が重要だった。

 ガルドは鋼鉄の隼の頭に腕は大きな翼、人と鳥型を融合した怪物だ。その足の鋭いカギ爪に捕らえられたイクスは勢いよく上空まで連れ去られ、

「クェッー!杖を出せー出せー!!」

 そのまま全力で上空に放り投げられた!!

「うぁぁぁぁぁ~~~~~!!」

 イクスはプロペラの様に回転しながら空を舞う!

 遠心力がかかり、裾の長いローブが、ズボンが!体の外へと引っ張られる!!

 ガシ!!

 落下の寸前!ズボンのベルトを捕まれたイクスは再び上空に連れ去られ…、

 投げられた!!

 バッ!!!


 とうとうローブが遠心力に負け、空に舞った!!

 ズボンも膝までずり落ち、風前の灯火だ!

 さらに掴んでは投げ、掴んでは投げ、ローブの下のシャツもずり上がり、やがてはズボンどころかパンツまでも空に舞い、全裸で空を飛ぶ事になってしまう。このままでは彼が異世界で築き上げるはずだった”クールな魔術師”というキャラが崩壊してしまう。


 ―――そんなものは初めから無かったが―――

 

 その時、幸か不幸か別行動中のヴォルフから通信が入った。

「大将!やったぜ杖を手に入れたぜ!」

 何やら興奮気味にヴォルフは喋っていたが、今のガイロウにとってはどうでもいい事だ。それはこの戦いの終わりを意味する。

 その証拠にガイロウのすぐ横に”転移ゲート”が出現した。ガイロウにそんな魔法は使えない”ダスト”である。あの黒ローブが、早く帰って来いと、無言の圧力をかけて来たのである。

 ガイロウは舌打ちをした。


 その時、セージは姿勢を低く、居合切りの姿勢を取ると空中のイクス救出のためファルケに向かって一気に飛び上がった!。

「ハァァッ!!」

 だが一瞬遅くセージが届く前に、ファルケはぐったりしたままのイクスを捕らえたまま、空中に空いたゲートの中に消えてしまった。


「残念だが勝負はまたお預けなようだ。世界が終わるまでに()()()()は戦える事を祈るぜ」

 そう言うとガイロウもゲートの中に消えてしまった。

「しまった……」


 セージ一人がその場に残されてしまった…。

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