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異世界冒険記 ツワモノどものファンタジア  作者: マサオカ
第六話 バック・トゥ・リベンジ
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砂漠・二人 シズの場合

砂漠の街”ザイア”


 明け方早くに出発したシズ達は日が高くなる頃には、街の入り口に到着していた。

 そして、しばし呆然としていた…。当然である。話から二人とも、ダンジョンと聞いて、砂漠の真ん中にポツンと有る寂れた遺跡だと想像していたのだが、目の前に見えるのは人々の行き交う大きな街だった。

 魔石の取れるダンジョンに人が集まり、やがて街になるのはこの世界の常識だった。

「そういえば”ダンジョンシティ”と言うくらいだからこの世界では、遺跡と街はセットでしたね……」

「そ、そうだね……」

 クーノもすっかり失念していた。この世界の住人なのに…。



 街の中は様々な露店や屋台で賑わっていた。

「今日は、年に一度のダンス大会の日なんだよ。あっちこっちの町や村からダンスチームが集まるこの街の一大イベントさ、お客さんたち良い時に来たねぇ」

 屋台の店主からパフェを受け取りながらシズはそんな話を聞いた。


「なるほど、幸か不幸かお祭りの日に来てしまったようですね……。」

 シズ達はパフェを食べながら屋台を見て回った。肩のシロも同じものを食べている…、魔法生物なのに……。

 後ろをついて行きながらクーノは、――デートしているみたい…、と思ったが、目的地にはすぐ着いた。


 目の前に見える石の巨大建造物……。だが、入り口と思しき場所には、まるでサーカスの様な巨大なテントが設置されており、”ダンス大会”の看板がデカデカと掲げられていた。

テントの中はオリエンスの街の闘技場とは違い、奥に大きなステージが設置され、それを囲むように客席が設置されている。

 もうじき始まるのかお客もチラホラと入り出している。

そしてステージの奥、この大会の賞品だろうか…、わかりやすい宝箱に入った金銀財宝が飾られていた。さらに、デジタルマネーが当たり前のこの世界で金貨がどの位の価値が有るのかわからないが、その山盛りの金貨に刺さって宝箱の中央にそびえている何処かで見た杖は……。

 探していた虚空の杖だった…。

「あった……」

 探し物はあっけなく見つかったが、ダンジョンに在るよりある意味厄介だった。

「どうしよう……」

 クーノは頭を抱える。


プラン1・・・訳を話して譲ってもらう。

プラン2・・・大会で優勝する。

プラン3・・・盗む。


 頭を抱える。どれも現実的で無い。

 シズとの二人旅、良い所の一つでも見せたいところだったが……、

 思いつかなかった。

 

 その時、いつの間にかシズが居ない事に気が付いた。


 大会会場のテントの周囲に、参加チームの控えテントが幾つかある。

 その一つのチームにある問題が起きていた。

「なんだって!?怪我!!」

「申し訳ありません!昨日の練習中に!」

チームの監督らしき男が狼狽する。本番まであまり時間が無い。腕に包帯を巻いた女性団員が申し訳なさそうに言う。

「すみません!私が早くあの!三回転ウルトラムーンサルトワイルドエクストラフィニッシュを完成させていれば!」

 女性団員は助走をつけ、駆けだし宙返りしようとする!

「三回転ウルトラ……!!」

 グキッ!!!

 派手に失敗して地面に激突した!!。

「くっ、この技さえ完成すれば優勝も夢では無いのに!」

「わ……私なら大丈夫です!こっ、この程度で……!!」

 よろよろと立ち上がり、なおも続けようとする。

「もうやめるんだ!き…棄権するしかないのか……」


「あのう…よろしかったら」

 いつの間にかそこにシズが立っていた。



 ダンス大会が始まった…。

 様々なダンスチームが、一糸乱れぬパフォーマンスを繰り広げる。

 クーノは考えがまとまらないまま奥の席でそれを眺めていた。

 やがて大会も大詰め。最後のチームのパフォーマンスが始まった。

「?」

 エキゾチックな衣装をまとった踊り子たちが踊る中、一人、どこかで見た少女が踊っていた。

「……?シズ?」

 そこには他の踊り子たちに交じって踊るシズが居た。

 やがて踊りのクライマックス、踊り子たちが人間ピラミッドを組み上げるとその最上段に向かってシズが駆けだし、3連続でバク転を決め、さらに踊り子の組んだ腕に足をかけ高く飛んだ!。

 さらに空中で回転すると見事にピラミッドのテッペンに着地しフィニッシュを決めた。

 会場に割れんばかりの拍手と歓声が鳴り響き、ダンス大会は終了した。

 クーノは何が起こったのか、ただ…茫然としたまま見ていたのだった。



「本当にこれだけでいいのかい?」

「ええ、本当に助かりました」

 シズは優勝賞品の宝箱の中から虚空の杖のみを受け取ると、劇団に入らないか?という監督の誘いを丁寧に断り、外に出た。


「お待たせしました~」

 テントを出たシズは、杖を持ってクーノのもとへ行った。 

 クーノはまだ、何が起こったのか理解が付いて行っていなかった。

「簡単に見つかって良かったですねえ」

 シズはニコニコと笑いながら簡単に言うが、確か凄く難しい事だった様な気がしたんだと、クーノは思った。

「誠司の方はハズレの様ですね」

 特に勝負していたわけでは無いが、杖を抱えてシズは意外と上機嫌だった。


「まったく大将には悪いがこっちがアタリだった様だな!」

 突然のその声に二人が振り向くと、フードを被った大男が二人立っていた。

「ハァッ!!」

 二人が勢い良くフードを跳ね上げると中から鋼鉄のオオカミ男とイノシシ男が現れた。

「ヴォルフ!!」

 ヴォルフはビシッとポーズをつけて言った!!

「もが!もが!」

 ボアはデカい肉の塊を食っている。

「いつまでも食ってんじゃねぇ!決めポーズが台無しじゃねぇか!」

 ヴォルフはボアの頭をコズいた。

「さ~て、サッサと杖を見つけてくれて礼を言うぜ。……じゃあ正々堂々そいつをもらおうかぁ!」

 ヴォルフが咆哮を上げると、地中からスケルトン型のモンスターが何体も出現した。

 辺りに居た人達が、悲鳴を上げて逃げていく。

 シズはクーノにスッと杖を渡す。

「クーノ君、これを持って先に行ってくれませんか…」

 話は分かる。ここにいても自分は足手まといにしかならない。もっともらしい仕事を与えて逃がした方が、彼女も戦いやすいだろう……。

 だが、それでいいのだろうか?彼女は強い。それでも普通の女の子に変わりはない……。クーノを逃がした後、彼女も無事に逃げられる保証は無い。

 クーノは勇気を振り絞り、ショートソードを抜くとシズの横に付くと。

「何も出来ないかもしれない……、でも僕だって…」

 震える手で、切っ先をモンスターに向ける。シズはしばし考えると…。

「……、ああ、私なら大丈夫ですよ。それに、ほら、この子もいますしね」

 シズは肩に乗ってガッツポーズをしているシロを指差して、にこやかに言った。


 がぁ~~~~~ん!!


 ちびトカゲに負けたぁ~~~!!

 クーノはささやかなプライドに深い傷を負った。だがそれを察したのか、シズはにこやかにほほ笑むと。

「ああ…、違いますよ。これは…」

 シズはシロを乗せた手を高く掲げると。

「武装」

 シロの小さい翼が巨大化し、シズを覆い隠すと同時に竜巻が彼女を覆う。翼が開くと、白い鎧で武装したシズが現れる。最後に翼が背中にドッキングして武装完了した。

「おいおいネェちゃんそいつはチョット無いんじゃ無いかい?」

 ヴォルフは鋼鉄の顔に冷や汗をかきながら言った。

「問答は無用で……」

 シズは静かに刀を構えると、一気に飛び掛かる!ヴォルフは後ろに飛び退きながら左右に居たスケルトンが飛び掛かる。

 シズは二体のスケルトンを一刀の下に切り捨てると、さらにヴォルフに切りかかる。ヴォルフは剣でそれを何とか受ける。

 周囲から遠巻きに拍手が起こる。今日はお祭りである。

 クーノは理解した。今、自分がここにいても”足手まとい”にすらならないと。

 シズはヴォルフの相手をしながらも周囲のスケルトンを撃破している。ほぼ無敵だ。クーノはこのままでは何もせずに終わってしまう。

 クーノは杖を握り締めると駆けだした。せっかくシズがくれた”役目”くらい果さないといけない。

「く!おいボア!このおっかないネエちゃんは俺が抑えるからお前はガキを捕まえて来い!」

「誰が”おっかない”ですか」

 力比べはシズが押している。

「ブォォォォォ」

 咆哮を上げるとボアは全力で駆けだした!だが、クーノが駆けこんだ細い路地では無く、その横の石の壁に突っ込んだ!。さらにその奥の建物の壁を破壊し、さらに次の壁も破壊し、ありとあらゆるものを壊し、真っすぐに突き進む!

 クーノは追っ手を撒くため、グネグネと路地裏を曲がりながら進む。……進んだはず…だったのだが、追っ手はその斜め上を行った。

突然!側面の壁を突き破ってボアが出現した!

「うぁぁぁぁぁぁ!!!」

 気が付くとクーノはボアに抱え上げられ街を進んでいた。

「アニキ、オレ、ヤッタ!」

 

 その通信は瞬く間にヴォルフの耳に届く。

「よし、出かした!となればこんなオッカナイ所は、とっととおさらばだ!!」

 ヴォルフが後ろに飛び退くと同時に咆哮を上げると、残ったモンスターが四方八方から同時に一気にシズに向かって襲いかかった!!。


「はぁっ!!」

 横一線!、円を描く様に刀を振り回すと、スケルトンが一気に四散した!。

「じゃあなネエちゃん縁があったらまた会おうぜ」

 そう言うヴォルフはすでに体の半分を、空間に空いたゲートに入れていた。

「させません!!」

 シズがジェット機の様に接近するが、間一髪、間に合わずヴォルフは何処かへと消えてしまった。


「クーノ君、クーノ君……」

 シズはステータスで通信を入れてみる。ダンジョンの近くでなら多少街から離れていても通信できるのだが、反応が無い。

「連れ去れた……」

 どうやら離れたのは失敗だった様だ。といっても後の祭りだ、止む得ずシズはセージと合流する事にした。

 と、その前に…、 

 シズは武装を解くと、屋台の前まで行き 


「すいませ~ん、クラブサンド三つください」

   


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