砂漠
雲一つ無い青い空、照り付ける太陽。
薄暗いダンジョンの中からセージは突然、この青空に放り出された。
「な!?なんだ?!」
空中を何回転かした後、砂の中に突っ込んだ。
「ぷはっ!」
何とか砂の中から顔を出し上を見上げると、また何かが落ちてきた。
「わ~~~!」
セージは反射的にそれを受け止める。シズだった…。
さらに近くに、クーノとレクスも落下した。何とか状況を確認しようと周囲を見渡すと、そこは一面砂の世界だった。
突然!、太陽が遮られ辺りが暗くなる。セージはシズを抱えたまま立ち上がると隣の二人に向かって、
「おめえら!逃げろ~~~!」
そのまま全力で駆けだした!二人もそれに続く。そのまま陰から逃げるように全力で走るが、影はみるみる大きくなり。
ドォォォォォンンン!!!!
まるで隕石の様な”ソレ”は地表に落下した!セージ達は吹き飛び、辺りは砂煙でおおわれる。
しばらくの後、その爆心地の砂煙の中から出てきたのは黒龍だった。
「けほっ!けほっ!お前ら無事か?」
「あんたが来るまでは、比較的無事だったんだがなぁ~」
セージ達は砂の中から顔を出しながら言った。
「何処だここは…?」
セージは周囲を見渡しながら言った。
一面、砂・砂・砂。砂丘なんて風情の有るものでは無い。
砂漠だった…。
「ここは南の果てのザルード砂漠じゃ」
黒龍が頭の砂を落としながら言った。
「それより!他の連中は?何がどうなってるんだ!?」
セージは軽いパニックだ。突然ダンジョンから遥か彼方の砂漠へ飛ばされたのだから当然だが…。
「落ち着け!杖の力でスペースゲートを開いて、お前たちを此処へ移動させただけだ。敵の幹部連中はもっと遠くへ飛ばしてやったから安心せい!」
「だったらもう一度、元の場所に戻せるのか?」
ドラゴンは辺りを見回す。じっと手を見る…。
杖が無い…。
「あれぇっ!?」
セージ達は帰れなくなった。
「何とか、向こうと連絡取れないのか?」
セージはクーノとレクスの方を向く、二人は首を振った。
この世界の便利な機能、ステータスウィンドには通信機能があり、フレンド登録すれば、街の周囲なら画像付きで、多少離れても声だけの通信が可能である。
だがセージは、この手の操作が全くの苦手である。後の二人もその手の機能はそれほど使えていなかった。
「あ…、つながった。」
先程から一人で何かをしていたシズが、ポツリとつぶやいた…。
「おシズか!?」
突然、シズからの通信を受けたファウナは驚いた声を上げた。
オリエンスの街のダンジョンの奥。セージ達が消えた後、敵の幹部連中も消えたため、残った雑魚モンスターを一掃した後にシズからの通信が入ったのである。
シズが通信した相手はスイーツ仲間のファウナだた。
「おい!お前ら何処にいる?!ダンジョンの中か?… え?…、ザルード砂漠って…、ここから何千キロあると思っとるんじゃ~~~!!」
「セージさん居るんですか~?」
他の連中も集まってきた。
「…、なるほど、数は合います。二人は無事なんですね」
ディランはファウナの横で、砂漠のセージ達と人数確認を行った。クーノとイクスの無事を知ってホッとした様だった。
「それで、杖が無くなって、帰れなくなったんだ!」
砂漠の方では、セージがシズの横でダンジョン側と話をしていた。後の二人は女の子の横に付くことが出来ず、後ろの方にいる。
「安心せい!杖はダンジョンコアに引き寄せられる性質がある。たぶん近くのダンジョンの何処かに有るはずじゃ!」
黒龍はそんなことを言っているが、
「そんな事を言っているのだが、近くのダンジョン知らないか?」
『知るか!!』
ダンジョン側でファウナが叫んだ。
「ところで姉さんどうやって此処まで通信飛ばしたんだい?」
ディックが先ほどから思っていた疑問を聞いた。
「えっと…、ここの電波塔みたいな物をこうこう繋いでいったら…、何となく?」
シズは何やらMAPみたいな物の画像を出して説明した。
中央の黄色い点滅が現在地だろうか。その左右にオレンジの印が二つ、そこからあやとりの様にあちらこちらに有るオレンジの印をつなぎ合わせていた。
セージはうんうんと頷いてみるが、さっぱりわかっていない。後ろの二人もよく分かっていない。
ディックは一人考えをめぐらす。
―――確かセンセは、ダンジョンコアがホストになってエリア内の通信を可能にしているとか、なんとか…。つまり…
ディックはポンと手を叩いた。
「あはははは!さすが姉さん!アッタマいい~わ」
突然笑い出したディックに全員の視線が集まる。
「つまりだ。そこを中継して通信を送れるという事はだ、…そこにダンジョンが有るって事だよ。」




