王の間
何やら物しい扉の前で、ディラン達とセージ達、二つのパーティは対峙していた…。
「あ~~ら居たの?チビ魔法使い。小さくて気が付かなかったわ」
エルフの少女、エリエルが徴発する。
「なぁ~~んだディラン所のロリエルフか、いつから居たんだ?小さすぎて見えなかったぞ」
ファウナが徴発に答える。
「「!!」」
二人が今、まさに同時に飛び掛かろうとした時、ディランとセージが二人の首根っこをつかみ、ケンカを阻止した。
「やめろって…」
コンコン…。
セージが扉を叩いてみる。三階建て分の多重迷路の、三階分の高さの有る巨大なドアである。しかもドアノブも何もない。
セージはディランの方を向くと、こちらもお手上げと言った風に首を振った。
「何とかなるのか?」
『任せてください、まかせてください』
魔石はそう言うと同時に、扉に古代文字の様なものが一瞬現れては消えたかと思うと、
ドン!!
突然大きな音がして扉が横へと開きだした。
「引き戸だったのか…」
ディラン達パーティ一同はなぜか納得した。
『どうです?どうです?』
「お~すごいぞ~、初めてお前が”ひょっとしたら役に立つかも?”と、思ったぞ」
『わ~~い、ほめられた~~。
・・・・・
あれ?!、ほめられてない?!』
「いやぁ~~ほめたよ…」
セージはやる気なく答えると、横からシズがやって来て。
「また、”ゆかいな仲間”が増えたみたいね…」
セージには変な奴を呼び寄せるセンサーでもあるのか。シズはあきれながら言うと、
「違うぞ、この先でお祓いして貰うと大人しくなるそうだから」
『そんなひどい!しゃべるのは私の唯一のアイデンティティなのに~!』
中に入ると暗かった部屋の周囲に設置された魔石が次々と光りはじめ、部屋の中を明るく照らし出した。
そこは円形の、ダンジョンの入り口に有るコロセウムほどの広さの空間だった。ボスモンスターでも居ればさぞかし派手なバトルになるだろう。
だが、そこにはモンスターでは無く、丸い部屋の中央に黒光りする大きな岩が鎮座していた。
『あれです、あれです』
魔石が嬉しそうに言うが
「なるほど、石だけに…」
―――石の親分がいた!!―――
『違いますって!黒龍様です!眠ってるだけです!気付けに魔力をちょっと注ぐと起きると思いますよ』
「そうは言ってもなぁ~…」
セージが渋っていると、それを見ていたディックがレクスにそっと耳打ちする。
「兄さん、兄さん、どうだい?やってみるかい?」
「いや…、俺は…」
レクスが渋ると、ディックはわずかに笑みを浮かべて。
「かわいい女の子が出るかもよ」
レクスにだけ聞こえるように言った。先ほどのセージと魔石の会話で、”もっと魔力を込めれば、かわいい女の子になる!”と、言うところで彼がやけに反応していたのをディックは見逃していなかった。
レクスがピクピクと反応する。そりゃ、自分をご主人様と呼ぶ女の子が手に入るのは男子の夢だろう…。
「いや…、でも~」
尚も渋るレクスに、ディックはさらに挑発する。
「あ、やらないの?じゃ、俺がやっちゃおうかなぁ~~。どうしようかな~~、かわいい女の子が出てきちゃったら?」
ディックがわざとらしく徴発しながら前に出ようとすると、まだ未練のあったレクスが。
「あ、…待って俺が…」
乗せられて、わずかに前に出ようとしたレクスの背中をいつの間にか後ろに回ったディックが、ポン。と彼の背中を押した。
レクスは、おっとっとっ…と二三歩前に出てポンと、岩に手を付いた。
瞬間!!。一瞬にして彼の体に電流が走り、収まると岩から手が離れ解放された。
レクスはよろけながら後ろに尻餅をついて倒れた。少し痙攣しているが命に別状は無いが、魔力を結構吸われたらしい。
「やはり罠だったか…」
「危なかったねぇ」
『違いますって、ちょっと魔力をもらっただけですって』
「あんたらねぇ…」
セージとディックが冷や汗をぬぐうなか、シズが白い目で見ていた。
そして、魔力を吸った黒い岩は、次の瞬間、全体にジグソーパズルの様な光が駆け巡り、中から何かが動き出した。…




