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異世界冒険記 ツワモノどものファンタジア  作者: マサオカ
第六話 バック・トゥ・リベンジ
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冒険へ

「なぁ、俺たち何やってんだろうな?」

 ジャガイモの皮を剥きながらレクスがぼやいた。

 ダンジョン地下三十二階層、森林エリア。ここはダンジョンの中とは思えない木々が生い茂る森の中で、昼も有れば夜もある。

 そして、このエリアでは逆に場違いな、森の中にぽつんと置かれた巨大な鋼鉄の扉の前に、銀の鷹団のベースキャンプがあった。

 この扉こそ、下の階へと続く三十三階層への入り口なのだが、ディラン達精鋭部隊がこの入り口から下の階へと旅立ってから一時間ほど、クーノとレクスの新人二人はテントの前でジャガイモの皮を剥いていた。

「何って…、ジャガイモの皮むきだろ」

 クーノは、ぼーっと皮を剥きながら言った。

「そうじゃなくて、俺たち冒険しに来たんだよな?」

 クラン・銀の鷹団の方針は”来る者拒まず””去る者追わず”で実力もピンキリで、全員が実力者というわけでは無い。

 第二班はすでに周辺にモンスター狩りに出かけているので、野営地に残って居るのは警備に数名、残りはその他の雑用…、つまりは戦力外である。

 というわけで新人二人は、食事の準備をしているのだがレクスは不満そうだった。クーノの方は納得はしていないが、実力差は理解していた。

「新人は雑用って言われたんだから仕方ないだろ」

「でもあの子は、行ったじゃないか」 

 ”あの子”とはシズの事である。今年入り立てのド新人であるが、当たり前の様にダンジョン攻略に行ってしまった。


「なんだ…、静達居ないのか。」

「せっかく会いに来たのに残念ですねぇ~」

 突然背後から声を掛けられ、クーノ達は慌てて飛び退いた。そこに居たのはセージ達だった。

「お、お前ら…なんで?」

 クーノはまだ状況が理解できないようだ。

「なんでって、冒険者が冒険するのは当たり前だろ?」

 ディックが代わりに説明した。さも当たり前のことの様に。

「知り合い…か?」

 少年と子供?そして少女二人という変なパーティ構成に面食らいながらレクスが聞いてきた。

「あ、ああ…、まあ」

 クーノはあまり認めたくなかった。

「静達はあそこか?」

 セージが森の中に不自然にそびえ立つ鋼鉄の扉を指差して言った。

「じゃぁ…行くか」

「ち、ちょっと待て~!あそこは下の階へと続く階段で、モンスターも強くなって高ランク冒険者じゃないと…」

 そこまで言いかけてクーノはハッとした。このセージは、たとえ自分が絶対無理と思う所へ行っても平気で帰って来そうな気がする。自分が出来ない事を簡単にやってのけそうな気がする。

「まあまあセージさん、せっかく食事をご馳走してくれると言うのですから、食べてからでも!」 

 リーゼが煮えている鍋をかき混ぜながら言った。

「言ってねぇよ!」

 クーノが叫んだ。

「まったく、私はもう少し上の階で楽に稼ぎたいんだがなぁ」

 ファウナがブツブツ言っている。

「仕方ないだろ、この先に行かないとコレが止まらないらしいんだから」 

『そんなひどい!私は壊れた目覚ましじゃ無いです。役に立ちます。何でも出来ます。とっても便利なお役立ちアイテムです。』

「な、何が喋ってるんだ?」

 レクスが驚くのも無理はない。うるさく喋っているのは、サークレットデバイスにはめ込まれた竜の魔石なのだから。

「ああ、昨日の夜からブツブツとうるさくてなぁ、で、試しに魔力を込めてみたら…、もっとうるさくなった」

「私のせいじゃ無いぞ」

 ファウナがそっぽを向きながら言った。

『ちょっと自由に喋れる様になっただけです。もっと魔力があれば人型にだってなれますです。』

「つまりは、もっとうるさくなるのか。行くのやめようかな…」

『そんなぁ、”黒龍様”が待っているのです』

「せっかくのダンジョンからの()()()だ。行かない手はないぜアニキ」

 鋼鉄の扉を見つめながらディックは行く気だ。

「まぁ…、行くけどね」

 セージは扉へ向かう。ディック、ファウナ、リーゼが続く。

「ま、待て!行くのか?!」

 クーノは問う、この先は上級冒険者しか行けない所。誰も見た事の無い冒険が待っている場所。

「お、俺も!」

―――連れて行ってくれ…!と、言いかけて言葉を飲み込んだ。パーティが違う、これでは守ってくれと言っている様なものだった。

「?、何か言ったか?」

 セージは聞いてくるが、何かを抑え込むように下を向いているクーノを一瞥するとそのままとをくぐって行ってしまった。


 後には、クーノとレクスの二人が残された。

 クーノはまた見送る事しか出来なかった。セージやシズとドンドン差がついて行く気がした。だが今の自分では足手まといでしかないことも分かっていた。

 それがもどかしかった。

「何、難しい顔してんだよ」

 レクスがクーノの肩にポンと手を置き言う。

「行きたいんだろ。行こうぜ。俺もついて行ってやるからさ」

「レクス…」

 クーノの気持ちは決まった。二人は扉絵と向かうのだった。

 …だが、クーノは気づいていなかった。…と、言うより彼がこの街に来てからセージ、シズ、凄い異界人しか見ていないため()()()していた。


 ―――異界人はすごいと!―――


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