闇
異界人街の奥、借家の一室に彼らは居た。
丸いテーブルを囲むように三人が並んで座り、皆一様にステータスウィンドを覗いている。
そこにいたのは”メガネ””チビ””デブ”の三人だった。”りんご亭”常連で ”ロリ”をこよなく愛する三人はここに住んでいた。
三人は仕事中だ。と言っても彼らは冒険者じゃない。前に男がプレイしていた”ソシャゲ”の様な物、ステータスの通信機能を利用してこの街の中だけで配信されているゲーム、”どきどきシスタークエスト”はここで作られていた。
内容は主人公が冒険しながら女の子(妹)たちと出会い絆を深めていくオーソドックスな内容で、当然女の子はガチャ(課金)で得るものである。
ステータスの機能をフル活用して作られた画期的な物であるが、この世界の住人にそういった”形のない物に”金を払う者はいなかった。
すなわちターゲットは、こういった物に金を出す事に全く抵抗のない異界人だった。
「総統、新たな登録者です」
総統と呼ばれたメガネは掛けているメガネをクイっと人差し指で上げると、
「ならば、どきどきシスタークエストの虜にして差し上げなさい。”どき!真夏の水着祭り”の開催だ!」
「はっ、限定水着ガチャを実装します」
この世界に来に来て、宿屋に引きこもった異界人はする事が無いので必然的にステータスウィンドをいじり出す。そしてこのゲームを見つけるのだ。
そして、所持金を早くに擦り潰して、異界人狩りに捕まるのだった。
この世界に来た異界人の特徴は大きく分けて三つ。
一つは、神様強化による、体力身体機能の向上。
二つ目も、神様強化による、体力・肉体の強化。
最後が、神様強化しなくても転生した異界人が基本的に持っている高い魔力。
さて、捕まった異界人がどうなるかというと。
”奴隷として強制労働”
…それは無かった。 何しろ転生して一か月近く、何もしなかった連中である。やる気が無いのだ。だから強制労働させてもすぐにだらけて使い物にならないのだ。
ではどうするのか?残るは”頑丈な体”と”膨大な魔力量”だけである。
なので、その魔力量を有効に使うために、機械に繋がれて魔力電池にされる事が多い。何しろ頑丈で死ににくいので何もしなくても、このオリエンスの街の三分の一のエネルギーを三年間も賄えるのである。
そしてもう一つの使い道が…。
オリエンスの街の外壁近くにその店は在った。
店の前に豪華な馬車が止まる。見た目が派手なわけではない、作りが丁寧でお金の有る者の物だとわかる。そこから恰幅の良い中年の紳士が下りた。
「今日は良い品は入っているかね?」
中年の紳士は、店の前まで出迎えに来ていた店主にそう言った。
ここは奴隷商、“品”とは、奴隷の事である。
異界人の最後の使い道それは、どんなになぶっても壊れない、ただ頑丈な体だけを利用した、”しり穴奴隷”だった。
紳士は”男色系”だった。
「なに、無いだと?」
「申し訳ありません、今朝方全て…」
「全部か!?」
驚く紳士に奴隷商の店主は申し訳なさそうに言った。なんでも今朝方来た客が全ての異界人奴隷を、相場の倍の値段で買い取って言ったのだそうだ。
新しい奴隷の入荷を待ってきた、男色系紳士は残念そうに帰っていった。
その、すべての異界人奴隷を買い取っていった客は、ひょろりと背が高く全身を黒いローブで覆い、右手に水晶のドクロを持っていたそうだ…。




