異世界検証 1
「では始めましょうか。この世界が何なのかの考察を」
榊センセは黒板の前に立つと、講義を始めた。
セージ達は思わず手をたたく。
「まぁ…、仮説は幾つかありますが、まずは一つ目」
センセは指をパチッと鳴らすと、お馴染みのステータスウィンドが目の前に現れた。
「私達のいた世界との大きな違いは、このステータスウインドです。誰もその仕組みを知らなくても、この世界の住人なら、当たり前に使えてしまう技術です」
「まぁ、便利なら誰も気にしないしね…」
ディックがお茶を飲みながら言う。
「この世界では皆、生まれた時から有る当たり前の常識なので、誰に聞いても何時から有るなんてわかりません。生物に”どうやって呼吸するの?”と聞く様なものです」
「なるほど」
セージはとりあえず頷いた。
「ですが、我々にとっては異質な物、もしこれが当たり前に存在する世界が有るなら…そこは、 ゲームの中だけです」
「?」
「これは、まぁ極論なのですが…、」
いったん言葉を区切ると話し出した。
「我々に有る唯一の共通認識は、自分がすでに死んでいると、言う事です。…ですが、死んだ後、自分の体がどうなったかを知る者は誰もいない…」
「つまり?」
「つまり、私達が死んだ後、何者かが脳みそを取り出し、何かの機械に繋ぎコンピュータの作った仮想現実の世界で第二の人生を歩んでいる…。”ゲームみたい”で無くこの世界はゲームそのもの。肉体を捨て、このバーチャル空間で永遠に生きていけるかという、夢の実験。」
「確かに極論だけど…、まぁ、納得は出来るはな」
「……、」
しばらく考え込んでいたセージが口を開いた。
「話の内容は半分も理解でき無かったが…、たぶん違うと思う」
「ほう…、それは?」
センセの反応にセージが言葉を選んで話し出す。
「シズだよ」
「姉さんが?」
「俺は静が死んだ後も、葬式から仮想までずっと見ていたぞ。脳みそなんて取り出してなかったし、俺が許さん!」
「なるほど、 そういった実証があるとありがたいですね。これでこの仮説は完全に却下できます。さすが、寿命でポックリ行った人は言う事が違う」
センセは手をたたきながら言った。
「その呼び方やめろ」




