終焉と始まり
「殺ったのか?」
駆けよってきたセージがまず最初に聞いたのはそれだった。
「あの姿になったらもう戻れない、誰かがやらなければならない事さ…、に、しても兄さん強いね~。俺の攻撃をあれだけよけたのは兄さんが初めてだぜ。」
ディックは先程までとは打って変わって軽いノリに変わった。
「お前……、やっぱり見た目通りの年じゃ無いだろう?」
セージの予想ではおそらく、年は半世紀以上、戦争経験者だろう、と思った。
「そういう兄さんは?」
「俺は九五歳だ」
質問に質問で返してきたが、セージは素直に答えた。
「やっぱり年上か~、よし、これからは”アニキ”って呼ばせてもらうぜ!」
ディックは手をポンと叩くと、決めてしまった様だ。
――パーティに新しい仲間が加わった――
ドォォォォン!!
突然!怪物の残骸を突き破り、魔石が上空へと飛び上がった。
「あれは?!」
セージ達が見上げるその先には……、
アイツがいた!
暗い夜空に何事も無く立っている。顔の見えない黒いローブ、手にした水晶のドクロ。
森で会ったアイツだった。
前の時の様に魔石がドクロの口に吸い込まれる様に消えた。
「魔石・レベル2、パワーレベル40」
「やはり、欲望を暴走させただけでは大した力は得られないか」
そう言ったのは、全身を漆黒の甲冑で覆った黒騎士だった。
屋根の上に立ち、こちらを見下ろしている。
「お前達は一体何だ!」
セージが黒騎士に向かって叫ぶ、腰の刀に手を掛けながら、
「そう、我らは魔王軍…」
いつからそこに居たのか、暗い道の中央に街灯をスポットライトの様に浴び、鋼鉄のピエロが立っていた。
「三人…!」
シズがセージに背中を合わせて構える。
「魔王軍が、一体こんな所で何やってるんだい?」
ディックは矢に手を伸ばしながら慎重に問う。
「当然、我らの目的の全ては……、魔王復活でございます。」
「魔王復活だと?」
さらりと答えたピエロの言葉に、一番驚いているのはファウナだった。
「喋りすぎだ。……まあいい、キサマ達が我らの障害となるのなら、いずれ近い内にまた会う事もあろう…」
そう言うと黒騎士は闇の中へと消えた。
黒フードも溶けるように夜空に消えていく。
「それでは皆様ごきげんよう…」
最後にピエロも自らの影に沈むように消えていった。
「何が起こってるんだ…」
セージはこの世界に起こりつつある異変を感じていた……。
さて、ご愛読いただいております数少ない読者様。ここまでで、書き溜めておりましたストックがとうとう無くなりました。ここからは不定期になりますが、週2~3回は更新するようにいたしますので、最後までお付き合いいただけますとありがたいです。




