武装!!
夜の闇の中、セージの破壊した塔の屋根の上に人影があった。
黒くとがった禍々しい鎧を全身に纏い、顔も口元以外は覆われている。
その鎧の騎士は、塔の上からセージ達を静かに見つめていた。
「その欲望…、かなえてやろう」
黒騎士は手から紫色の魔石を出すと、銃オタに向かって弾き飛ばした。
路地裏では銃オタが暴れていた。と、言っても子供がバタバタと駄々をこねている様にも見えた。
そこに真っすぐ飛んできた魔石がピンポイントで額に張り付いた!
「ぐぉぉぉぉぉぉ!」
突然苦しみだす銃オタだが、その声がだんだん喚起に満ちた物になっていく。
「ぐへ、ぐへへへ…」
銃オタの体が徐々に巨大化して行く、それは彼の中の欲望が外へとあふれ出ていくようだった。
「あ、あたしこの先どうなるか何となくわかる~」
リーゼが予想した通り、銃オタの体が変形していき、体のあちこちから彼の欲望の象徴、銃口が飛び出した。
「マテバ!デザートイーグル!M40!MG42!ドラグノフ~!」
気持ちのいい顔で銃の名前を叫び続け、その銃がどんどん体から生えてくる。顔はすでに硬質化し鋼鉄の様になっていた。
煙を上げて現れた、変形を終えたその姿は、全身から銃を生やした人間要塞だった。
セージとシズが前に出る。デバイスを取り出し武装しようとすると、ディックがそれを制した。
「こいつは俺が殺るよ。こいつはもうダメだ、こいつは人を殺っちまった。血の味を覚えたケダモノはまた同じ事を繰り返す」
「ぐへへへ、銃こそサイコー、この世界で銃を使える俺こそが世界サイキョ~」
怪物銃オタは完全に自分に酔っている。
「やれやれ、坊やがどれだけ中に詳しいかは知らないが、所詮はオタクはオタク」
懐からサークレットデバイスを取り出す。
「教えてやるよ所詮、趣味じゃぁ本職には勝てないって事を!」
デバイスに緑色の魔石をはめる。そして前に突き出すと。
「アームズアップ!」
叫ぶと同時に大地を割って巨大な黄金の角を持つ鋼鉄の牛が出現する!
出現した鉄牛は角を張り上げ、ディックを上空に放り投げる。鉄牛はそのまま後ろ足で立ち上がり人型に変形すると、胸のあたりが大きく開いた。
ディックは空中でクルリと一回転するとそのまま空いた胸にすっぽりと入った。
『コンプリート』
マシンボイスが武装の終了を告げる。
それは、その背中に巨大な角を装備した姿は、鎧というよりパワードスーツに近かった。
「そんなのも有りなのか~!?」
思わず叫んだセージに
「アリなのさ!」
武装したディックは親指を立てて言った。




