殺し屋
その黒フードは、闇の中にぽつんと立っていた。
殺気だけがじわじわと伝わってくる…。
両手には先ほど投げた物と同じナイフを握っている。殺意が無いわけはないだろう。
突然!、黒フードが動く!
一瞬にして間合いを詰め、セージの懐に入ると手にしていたナイフを突き出した!
「くっ!」
かろうじてセージは攻撃をかわすが、黒フードは続けてもう片方の手のナイフを突き出す!
近づくと意外に小柄な黒フードだが、セージにピッタリと食いつき、刀を抜く隙を与えず連続攻撃を繰り出してくる。
セージは後退しながら間合いを取ろうとするが、黒フードは離れない。
セージは防戦一方となった。
「わわ…なんだか強いですよ。あの、通り魔」
予想外に苦戦しているセージにリーゼが不安そうな声を上げた。
「そうみたいですね…」
シズは冷静に見ていた。
「あの…助けにとか、行かないんですか?」
「まぁ…、助けてとか言ってきたらね」
シズは傍観を決め込むつもりか、セージが絶対言わないようなことを言ってきた。リーゼはここは自分が説得するしかないと思い、
「セ~ジさ~ん!、おシズちゃんが『踏んでくれ~俺の頭を思いっ切り踏んでくれ~』と言ったら助けてくれるそうですよ~」
「「いうかぁ~!!」」
シズとセージは同時に叫んだ。
――その一瞬、黒フードの視線が右にそれた気がした。セージもそれにつられ少し視線がそれる…。何かがキラリと光った気がした。
バンッ!!
二人が飛び退いた瞬間!先ほどまでいた場所が破裂したように見えた。
小さい土煙が上がっている。地面にも何か小さい穴が開いている様に見える。
弾痕だ。
つづけて二発目が地面をえぐる。
「狙われてる!お前ら物陰に隠れろ!」
シズたち三人は慌てて建物の陰に隠れる。
セージも物陰に隠れ周囲を確認する。黒フードはいつの間にか何処かへ消えていた。
何処かに狙撃手がいるはず…。セージは脳をフル回転させ見えない敵を探す。
――建物の陰にはいない――弾痕は二発とも地面に――上か!――
セージは物陰から飛び出し、周囲の建物の屋根の上などを確認する。
――暗くてよく見えない――
周囲に全神経を集中する。
バンッ!
三発目、セージは何とかかわす。どうやら敵は何としても、ここでセージをしとめる気らしい。だが、方向は分かった。屋根よりも、もっと上。
だが見えない。
セージは上を指差し大きく叫ぶ。
「ファウナ!明かりだ!上~!」
「なんだ!?おお…!分かった!」
セージの言っている事をだいたい理解したファウナは、物陰から飛び出し、”ライト”の呪文を唱える。手のひらにソフトボールくらいの光球を出し、ふわりと上に放り投げると。
「てやぁ!!」
杖をバット代わりに、光球を上空に叩き上げた!
光の球は建物の屋根を超えたあたりで四散し、辺りを大きく照らした。
光が消えるまでの数秒間、セージは周囲を見渡し狙撃手を探す。
ダンジョンの大きな塔ほどでは無いが、周囲を見渡せる位置に建っているひと際高い鐘のついた塔に一瞬キラリと何かが光るのをみえた。
「そこか~!!」
セージは懐から素早くサークレットデバイスを取り出すと
「武装!」
一瞬にしてセージの体が炎に包まれ、ドラグギアへと武装が完了する。
そのまま背中から刀が飛び出すと、それを左手でつかみ、クルリと持ち方を変えると、
「てぇぇぇやぁ!!」
槍投げのように、塔へ向かって全力で投擲した!!
手から放たれた刀は炎を吹き出すと、ミサイルの様に加速して飛んでいき、塔のてっぺんに激突した。
「よしっ!」
刀の命中を確認したセージは、鎧の全身から炎が噴き出すと同時にジャンプし、塔へと向かって飛んで行った。




