出会いと再会
「「あ」」
セージア達がいつもの様に”りんご亭”に入るといつもの様にメイド服姿のシズと、テーブルでパンケーキを頬張っていたファウナの二人が同時に声を上げた。
「よっ、姉さんたちまた会ったね」
セージ達の後ろからディックがひょっこり顔を出して言った。
「知り合いか?」
「この前チョットね」
二人はこの前のいきさつを軽く説明した。
「あ~!ファウさんずる~い。いつの間におシズちゃんと仲良くなったんですか~!」
リーゼがどさくさにシズに抱き付いて言う。
「わたしとも仲よくしてぇ~!」
「コラ!抱き付くな!そして胸に顔をうずめるな!」
「通り魔?」
シズとリーゼがじゃれ合っている(!?)横で、ファウナがさっき聞いた話をしていた。
「じゃあさっき見たあれかなぁ」
セージ達も先ほど見た死体の話をした。
「まぁ、殺されてるのはチンピラやゴロツキ、お世辞にも善人とは言えない物たちだがな」
「じゃあ通り魔は人知れず悪をくじく正義の味方かい?」
ディックは先ほど頼んだクリームソーダを飲みながら言った。
「だがどんな理由があろうと殺しは殺し、狂った殺人鬼であることに変わりはない」
セージはカフェオレを飲みながら言った。
りんご亭ではアルコールは出さないが、セージはもうアルコールは飲まないと誓っていた。
「セージさんは銃を持った敵なんてヘーキですよね」
リーゼはまだ、シズの腰に抱き付いたままだ。
「俺も銃の事は素人だぞ」
セージは大戦時兵役に就いたが、一発も打つ事無く爆弾で吹き飛ばされていた。
「え~?異界人の方はみんな銃に詳しいのではないんですか?」
「そんな分けないだろ」
「銃の事が知りたいのかい?」
突然、横から声を掛けられた。
振り向くとそこには、ごっついアーミーブーツに迷彩色のズボン、腰のホルスターに拳銃を入れ、更に防弾チョッキを着込み、顔にはサバゲ―用のゴーグルを掛けた黒髪の少年がいた。
「・・・」
セージ達はあっけにとられた。怪しい…怪しすぎた。現実世界でも怪しいが、異世界では浮きまくっていた。
「え…と君は?」
「僕はリトー、今銃の話が聞こえたけど、少しは力になれるぜ」
「そ…その腰のは…?」
セージは腰にぶら下がっているそれについて聞いてみた。
「これかい、これはコルト・ガバメント!、1911年にアメリカ軍に採用された軍用銃で、正式名称”M1911”・・・・~ 」
…どうやら自分のテリトリーの話題に吸い寄せられたオタクの様だった。セージはテキトーに流した。
「で、どうする?銃を持った危険な通り魔が街をうろついている。正義の冒険者としてほおっておく事は出来ないだろう!」
珍しく積極的なファウナに違和感を覚えながらも、正論なのでセージはとりあえず納得したが、リーゼは」
「あれぇ?ファウさんにしては珍しく積極的ですねぇ」
リーゼのツッコミにファウナは視線をそらした。セージは
「ギルドから賞金でも出ているのか?」
ファウナは更に露骨に視線をそらした。
「おいこら」
どうやら正解らしい。
「いいじゃない、ここでダラダラしているくらいなら行ってきなさい」
ようやくリーゼを引き離したシズが、ダメ亭主を追い出すように言った。
「あははは、面白そうじゃないですかぁ」
リーゼは何処までものん気だ。
「わかったよ!やってやらぁ!」
かくして、通り魔探しが始まった。




