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異世界冒険記 ツワモノどものファンタジア  作者: マサオカ
第五話 暗闇の暗殺者
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武器屋の日常

新章スタート、刀を折ったセージは修理のため武器屋を訪れます。

 ダンジョン都市オリエンスの街の昼下がり、セージはリーゼの案内でギルド指定の武器屋に来ていた。


「ここか?」

「はいッ、ギルド指定ですからぼったくられる事もありませんよ」

 扉を開けて中に入ると、武器や防具が所狭しと陳列され、奥にカウンターが在り店主らしい人物が座っていた。

 長い黒ひげに、ガッチリとした体つきのわりに小柄な体格、ドワーフと呼ばれる種族である。

「いらっしゃい」

 ドワーフの店主は、ニコリともせずに行った。見慣れない客を値踏みしている感じである。

 セージは武器や防具には目もくれず店主の所まで行くと、肩にかけていた刀を鞘のままカウンターに置いた。

 店主はそれを無言で受け取るとそのまま抜いてみた。

スポ…、

 あっさりと抜けたそれは、真ん中で見事に折れていた。しかも所々刃こぼれまでしている。

「こいつは……、ずいぶんと派手にやったな」

「・・・」

 店主は半ば呆れながら、鞘をひっくり返すと残りの刀の先がカウンターに転がった。

「直り…、ます?」

 セージにしては遠慮がちに聞いた。

「兄ちゃん、あんた異界人だろ?そしてこいつは神様からもらった神様装備だ。こいつはどんなに切っても刃こぼれ一つしないし、俺達じゃ材質もよく分からない金属で出来ている。おまけにこの刀という武器の製法はここから遥か東の国の秘伝だそうだ」

「つまり・・・」

「修理は不可能だな」

 セージはガクリと膝をつきそうになった。

 ――刀が無ければ剣の道を続けるわけにはいかない。いや、いっそ自分で造ろうか?納得のいく刀を仕上げるまで、鍛冶師になるのも悪くない……。

 などと本気で転職を考えていると、

「まぁ、直すのは不可能だが、代わりの刀なら…ほら」

 そう言って二人が先ほど入って来た入り口の横を指差すと……、

 まるでワゴンセールの様にかごの中に無造作に刀がごそっと入っていた。

「…、なに、あれ?」

「だから、にいちゃんご所望の”カタナ”だよ」

 横を見ると、リーゼがどーぞどーぞと手を動かしている。セージは半信半疑のままカゴで投げ売りされてる感じの刀を一本取ると、サッと抜き放った。

 軽く振って感触を確かめる。何か不思議な違和感というかシックリ感がある。

「どうですか?」

 リーゼが聞いてくる。

「悪くない……、いや、むしろ…かなりいい」

 違和感の正体は、その刀が今まで使っていた物と全く同じ物くらい良い物に思えた事だ、不思議と握った感触も同じに見えた。

「どういうこと?」

「えと…、つまりですね」

 状況が理解できないセージに、リーゼが説明を始めた。

「前に、この世界に来る異界人の多くは、黒いカッコか派手な鎧を着ていると言いましたよね」

「ああ……」

「そして武器は?」

「刀か、大きな剣…」

「そんでもって」

「よく死ぬ……」

「はいっ、そいでもって残された武器がこうなるわけです!」

 リーゼが、ばッと手を広げる。よく見るとドアを挟んで反対側のカゴには大剣が盛ってあった。

「つまりは新古品か!?」

「ちゃんと血のりはふき取ってあるから安心しな」

 店主がつけ足した。ちなみに神様もいちいち違う剣を用意するのが面倒なので、同じ武器をコピーと、いうかクローンして用意していたりする。セージが掴んだ刀も折れたものとほぼ同じ物だったりする。

 一応納得したセージは何本か試した後、一本を選んだ。全部同じ感触なのが気持ち悪かった。

「代金は……、そうだな、にいちゃん。鎧は持ってないのかい?」

「鎧……?」

 セージはポケットからサークレットデバイスを取り出すが、

「ああ、そっちじゃ無くてフツーの鎧の方です」

 リーゼはセージの手を取るとステータスウインドを操作し、アイテムボックスから鎧を見つけ出し出現させた。

 ゴトンと音を立て、何もない空間から赤い、日本風の甲冑が現れた。

「ほう、それなら刀ともう一つ何かと交換してもいいぞ」

 どうせ今後、全く使う予定のない鎧である。セージはしばらく考えると。

「じゃあ鉄鍋と」

 別に武器も防具も要らなかったので、鍋か包丁が欲しかった。

「にいちゃんもかい!」

「?、どういうことです」

 リーゼの質問に、店主が頭を掻きながら答える。

「この前、”剣の舞姫”が来て、鎧と交換で鉄鍋と包丁を持って行ったからな」

 そう言って棚に陳列されている、女性型のマネキンボディに装備されている鋼鉄製のブラとパンツを指差した。

「おおぉ~、これはまさか伝説の”ビキニアーマー”!これをおシズちゃんに着せようだなんて神様、なんてナイスな!」

 リーゼが歓声を上げる。

「ここに”使用済み”と書けば相場の十倍で売れますよ」

「うちはそんな店じゃねぇっ!」

そう言いながら店主はカウンターに鉄鍋と奇麗なガラスの小瓶を二つ置いた。

「ポーションですか?」

「ああ、飲んで疲労回復、傷口にかければ治りも早くなる万能薬だ」

「でも、鎧一つと交換にしては、ずいぶんと太っ腹な気がしますねぇ」

 だいたいの相場を知っているリーゼが聞いてみる。

「まぁ長い事ここで商売してるが、主を無くした武器じゃ無く、武器の方を壊したのはにいちゃんが初めてだ。また来いや」


 セージはとりあえず、刀はもう壊さないようにと誓い、店を出た。


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