武装
怪物に捕らえられたシズ達、果たして二人の運命は?
「何あれ?!」
縛られたシズとファウナの二人は、地上から伸びた触手に10メートルほどの高さに吊り下げられながら、サードが変形したバケモノを見ていた。
それは触手と同じく、地面から突き出した大きなムカデの様な胴体に、大きく開いたワームのような口からドロドロとした唾液を垂れ流し、頭部の中央にあの金メッキのイケメンフェイスがちょこんとくっ付いている。見るも無残な姿は、人の持つ醜悪な内面を形にした様だった。
「グフェッグふぇぇぇっチカラだ力がみなぎる~~」
サードの意識はすっかり怪物に呑まれ極度の興奮状態にあった。
「ずいぶんと大きくなったな……」
「まだ人の心があるのならこんなことはすぐにやめなさい!」
あきれた声のファウナと逆に、凛とした声でシズは言った。
「うるさい!俺に指図するなぁ!ここはなぁ!俺だけが一番正しくて!俺だけがチヤホヤされる!俺のための俺の世界!何をしようと俺の自由だ!」
「そんなわけないでしょう。…いつまで夢を見ているんですか!」
シズは凛とした声でバッサリと言い切った。
「!!!……」
メッキ男は図星を刺されて一瞬怯むが、だがすぐに目の前の少女が、今自分の触手によって身動きが取れない事の気づく。
ちょうど、両腕と腰のあたりを触手でグルグル巻きにされているので彼女の大きな胸が強調されていた。
メッキ男は鋭い鎌のようにとがった腕の一本を彼女の胸元にそ~~っと伸ばしブラウスのボタンを一個、外した。
「あ」
「変態!」
シズは動じず。隣で同じく縛られていたファウナが大きな声を出した。
「うへぇっうへへ……」
メッキ男は気付いてしまった。今なら目の前の少女を好きにできると。爪の先で上から順番にブラウスのボタンをもう一個外す。白い素肌がさっきより広がる。
さらにもう一個と外していく。
「グへぇっぐへへ……」
怪物の額に張り付いている金仮面の縁から何か液体が垂れている。どうやら、よだれを垂らしているようだ。
さらにもう一個外す、深い胸の谷間が見えた。
「ぐぇぇっふぇっぇ……!!」
金仮面の鼻の穴から蒸気が噴出する。鼻息だ、かなり荒い!
さらにもう一個、ついに胸を抑える白い布地があらわになった。
「ひょ~~~~~!!」
歓喜に満ちた奇声を上げ、サンドワームの様に開いた大きな口から幾つものねっとりした触手がシズの胸に向かって伸びる。彼の興奮はマックスだ!
だがシズは動じない、じっとチャンスをうかがっている。
「ハッ!ハッ!」
長年、引きこもっていた彼に当然女性経験は無い……。今まで空想の産物だった本物の女体が目の前にある。興奮を抑えつつ、荒い鼻息、流れ続けるよだれ。よく見ようとゆっくりとデカい頭の中央の金仮面を近づける。そこから震える手(触手)をゆっくり伸ばしていく。そしてあと少しの時!
「ピキャ――!」
突然彼女の胸元から飛び出した何かが、触手を弾き飛ばした。
「ぎゃ~~!」
顔を傷つけられサンドワームが後退する。
そこに居たのは、パタパタと羽をなびかせ空を飛ぶ白い竜の子供だった。
「これは……?」
「フェアリアだ!実体化したのか?」
ドラゴンクラスの魔石は異界人一人分の魔力を与えると稀に再び実体化する事がある。シズの物はすでに異界人一人分の魔力を吸収していたが、ドラゴンに進化する時にその半分ほどを消費し、その後シズ自身が身に着けているうちに幾らか回復し、実体化した様だった。
「肌身離さずと言われていたもので……」
「て、言うか何処にしまってた!?胸か!?挟めるのか!?ちくしょ~~!」
ファウナは自分の胸と比較しつつ、興奮気味にツッコんだが、息を整えると
「よ、よし!とにかく”武装”だ!アイテムボックスからサークレットデバイスを取り出して……」
「アイテムボックス・コール・サークレットデバイス!」
何もない空間にデバイスが現れ、子竜がそれをキャッチっする。
シズは手を使わずに、声だけで使って見せた。
『やっぱ使いこなしてやがる……』
「武装!!」
シズがデバイスに向かって叫ぶと、子竜が咆哮を上げ! みるみる大きくなっていく!やがて2メートルくらいの白竜になると、翼の羽ばたき一つで二人を縛っていた触手を吹き飛ばした!
空に投げ出されたシズの周りに鎧のパーツが現れ、次々とシズの体に装着されていく!最後に翼の形に変形したドラゴンが背中にドッキングし、完成した!
それは白い翼を持った純白のドラグギアだった。




