表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界冒険記 ツワモノどものファンタジア  作者: マサオカ
第四話 ダンジョンの街のティータイム
52/96

黒い夢

シズ達に新たな敵の影が近づきます

 ゴミ箱に頭から突っ込んだメッキ男はピクリとも動かなかった。

 

 ファウナが、シズに近づいてくる。

「殺ったのか?」

「まさか、峰打ちですよ」

「へぇ……、あれで?!」

 ファウナは、ゴミ箱から下半身だけ見えるメッキ男を見ながら言った。とても峰打ちの威力では無かった……、だが

「フフフ、ハハハハハ」

 広場に不気味な笑い声が響く、

「確かに、スピードも技の切れも悪くは無い!だが、俺の方が強いようだ!なぜなら!」

 ゴミ箱の中からメッキ男が勢いよく立ち上がった!。

「俺はノーダメージだぜぇ!」

 周囲の人々が戦慄する!素人目に見ても、シズの放った一撃は、熊でも一撃で倒す威力に見えたからである!。

 あの一撃を食らって無事だって?!信じられない!

 いや、周囲の人々が驚いたのはそんな事では無い。何故ならキメ顔で立ち上がった、メッキ男の頭部が左右に見事にひしゃげていたのである。


 おそらくあの一瞬で左右に一撃づつ入れられたのだろう。峰打ちとはいえ即死レベルの威力だ。だが、メッキ男は痛覚が無いのかホントにノーダメージなのか、平気な顔で話し出した。

「だが、落ち込む事は無い。俺なら、君たちをもっと強くしやれるぞ!」

 メッキ男は意気揚々と言ったが、ファウナはげんなりした、シズはとりあえずもう一撃入れて、試すつもりでいた。

「それでは、この一撃をかわせたら私たちを好きにしていいですよ」

 シズは姿勢を低く構えながら言う。

「ほう……」

 メッキ男は内心”ヤッホー”と思いながら答える。シズの言葉は彼にとって”OK”と大名草だった。


 次の瞬間!シズが駆け出す!今度は一直線に飛び込む!

 だが、今度はメッキ男に油断は無い!神様強化された彼の目にはシズの動きはスローモーションに見える。目を離さなければ見失う事は無い。

 シズは真っ直ぐに突っ込んでくる、。”勝った!”と思った。

 瞬間!シズが視界から消えた!

 ゴキィ!!

 突然下あごを叩き上げられた!

「ぽぎゃぁぁ!!」

 変な悲鳴を上げながらメッキ男はまたしても、空中をクルクル回りながら受け身も取れずに地面にたたきつけられた。

 周りから歓声が上がった!

――だが――。

「無駄無駄!」

 メッキ男は何事も無かった様に立ち上がった。

「言ったろう君の攻撃じゃ俺にダメージを与えられないって」

 またしても戦慄が走る!左右に歪んだメッキ頭は更に下あごから潰され、見るも無残な姿に変形していた。

 結論。痛覚が無い。


「なんか……、ごめんなさい……」

 シズは目をそらしながらとりあえず誤った。もう少し力を抜くべきだったという意味だ。

 だがメッキ男は負けを認めたのだろうと勘違いして、”そうだろうそうだろう”と満足そうにうなずいている。


「お~いこれを見ろ~」

 たまりかねたファウナが、メッキ男に大きめの鏡を向けた。メッキ男が鏡を見ると、そこには”潰れた金塊の様な頭の化け物”が写っていた。

 慌てて後ろを振り返る!

 だがそこには誰も居ない。

 再び鏡を見る!中には金塊の化け物が!

 振り返る!

 誰も居ない!

 メッキ男は気が付いた!。


――まさか、目に見えない、鏡にしか映らない化け物がここに居るのか!?――


 メッキ男は刀を抜いて戦闘態勢を取る。少女との決闘中に突然の怪物の襲撃!それをカッコよく倒して彼女たちの信頼を得る。完璧なイベントだった。

 鏡を見ながら、敵の位置を把握し、何もない空間に刀を振るう。相手は潰れた金塊頭の猫背で、ガニ股の、ゴブリンみたいなモンスターだ、位置が分かれば倒すのは訳ないだろう。


 広場の人々はしばし生温かい目で、刀を振り回して一人で踊るメッキ男の奇行を見守った。

「そろそろ気が済みましたか?」

 シズがいい加減静止する。

「危ない!見えない化け物が近くにいる!気を付けるんだ!」

 彼はまだヒーローをやっているつもりだった。

「見えない怪物など居ない、ここに居る化け物は、お前だけだ!」

 ファウナは再び鏡をメッキ男に見せた。

「・・・」

 鏡の中の怪物もこちらを見ている。恐る恐る自分の顔を触ってみる、鏡の中のカイブツも自分の顔を触っている。

 嫌な事は、見ない・聞かない・考えない。そうやって逃げてきた彼だがようやく現状を理解した。


「うわわわわぁぁぁぁ!!顔が顔がぁ!!」

 痛覚が無いので痛くも無いのだが、悲鳴を上げて顔を抑えてうずくまった。 

 今までイキっていた恥ずかしさが、周囲の声を捻じ曲げる。

『何あれ?あんな顔で恥ずかしい…』

『みっともない…』

『カッコ悪い…』 

 誰もそんな事言っていないのだが、彼の耳に聞こえない声が響く。

 彼の中の負の思念が、どんどん増幅し、脳内に暴言を増産し、自らを貶めていく。

「やめろ……俺を見るな……笑うな~~!」

 額の魔石が怪しい光を放つと、彼の中からどす黒いオーラが一気にあふれ出した!

 闇はメッキ男の体に巻き付きながら新たな体を形成していく。背中から鋭い刃物の様な長い腕が何本も伸び、胴体が天を貫く様に伸びていく。

「もぴよ~~!!!」

 奇声を発しながら、グシャグシャだった顔がみるみる元のイケメンに修復されていく……。

「きやぁぁ!」

 シズとファウナの二人は、突然地面から現れた触手に絡め捕られ空へと吊るされた。

 空中に吊るされた二人の前に、巨大な影が現れる。


 地面から生える様に空まで伸びた体はまるでムカデの様で、そこから節々に鋭い爪が付いた何本もの腕が伸び、頭部はサンドウォームの様な大きな口を開けた中から触手の様な物が何本も伸びていた。さらに幾つもの赤い目が並ぶ頭部の中央に、あの金仮面となったイケメンマスクが張り付いていた。


それは、人の持つ醜い心が形となって噴き出したようなバケモノだった……。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ