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異世界冒険記 ツワモノどものファンタジア  作者: マサオカ
第四話 ダンジョンの街のティータイム
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男たちの挑戦

異世界の男たちの生き様がここに

――俺は生まれ変わった!――


 サードは往来の真ん中を堂々と胸を張って歩いていた。すれ違う人々が皆振り返る。


 ――当然だ!俺は特別なのだから!――

 もはやイケメンフェイスが崩れる事は絶対に無く、完璧な容姿と絶対的な力を手に入れた彼に恐れる物など何も無かった。


「やぁ、お嬢さん良かったら俺とパーティを組まないかい?」

 ファウナとシズの前に再び現れたサードは、パーフェクト・イケメンフェイスでそう言った。

 困ってる美形をほおって置けない、そんな乙女の心理を見事についた完璧な作戦だった。


 だが……

「え……と、あの……」

「なんというか……」

 二人の反応は何故かもじもじとはっきりしない。

 サードは、――あまりの美しさに、ついに魅了してしまったか…――と思ってニヤリとしたが。

 それは”突然現れた美形にうっとりしている”というより、”街を歩いていたら何か、奇怪なモノを見た~”と、言う顔だった。

 寝ぐせもなく完璧にセットされた髪、切れ長の目、引き締まった顎、ニヒルに決めた口元、まさに完璧な彫刻の様な美形だった。

 そう彼の顔は、その()()()()()()髪の毛一本に至るまで文字通り、”金メッキ”で固められていた。正に彫刻その物だった。

「どうしたんだい?恥ずかしがることは無いんだよ」

 サードは決め顔で言ったつもりだが、金メッキで完全固定された彼の顔は、口パク一つしない。ただ額に張り付いた赤い魔石だけがゆらゆらと輝いていた。

 異世界に来て色んな生き物に会ったつもりのシズも、この生き物は初めてだった。それはファウナも同様で、さすがに対処に困っていた。

 だがそれを、”突然イケメンに話しかけられてドキドキしてる”と受け止めたサードは、さらにグイグイ来た。

 どんなにシズの胸元をじろじろ見たり、ファウナに「おにぃちゃん」と呼んでもらえることを想像して鼻の下を伸ばしても、メッキフェイスは完全固定で崩れる事は無い!イケメンのままだ。

 特に実害があるわけでは無いので、さすがのシズも扱いに困った。ファウナの方は生理的にそろそろ限界らしく、そろそろ魔法で吹き飛ばしそうだった。


 その広場でのやり取りを、サイト達四人組は少し離れた所から見ていた。

 彼女が、()()()()()に絡まれている。

 彼女を救うべくサイトは一歩前へ出ようとすると、メガネがスッと肩に手を置いてそれを制止した。

「やめたまえ、我々は闇に生きるいわば闇の住人。光を求めれば、イカロスのごとく日に焼かれ地に落ちるだろう…」

「左様、所詮我らは脇役、スポットライトを求めてはいかぬ」

 メガネとチビが何かカッコイイ中二用語で止めようとするが、サイトは…

「ああ……、分かっているよ」

 クールに決め、そう言うと前に歩み出た。――俺は違う――と、心の中で思いながら…。


「やめたまえ」


 多くの人々が行きかう中央広場で、シズとファウナはその声に振り向く、そこには、マントをなびかせた三十代のオッサン、サイトが立っていた。

「なんだお前は!」

 いい所を邪魔されたメッキ男はサイトを睨みつけた。

「いけませんねぇ~、そんな乱暴な態度では女の子は口説けませんよ~」

 サイトは、シズ達とメッキ男の間に入りながら紳士的に言った。

「なんだと~!」

 メッキ男は、言葉荒く今にもつかみかかりそうな勢いだったが、サイトには秘策があった。

「仕方ありませんねぇ、…どうやら少し、お灸が必要なようですね」

 そう、力で解決するのでは無く、大人の余裕を見せつけ相手を退散させる。

 ステータスウィンドを調べているときに見つけた、彼だけが知っている”スキル”その名も――

「特殊スキル”威圧”!!レベルMAX!」


「ああ……”威圧”スキルか……」

 少し後ろでその言葉を聞いていたファウナが、やれやれという感じでぼやいた。

「なんです?それ」

「ああ、この世界には魔法の他にスキルと言う特殊技能も存在する。こっちはステータスのレベルだけで誰でも使えるのだが、便利な物もあるけど、使えない物も多くてな」

「それで”威圧”と言うのは?」

「え~と、顔がちょっと怖くなるだけで全く使えない。後、一晩くらい元に戻らない。」

「MAXで使うと?」

「たぶんスッゴイ怖くなる」

 だいたいこの世界では、小さい子供がにらめっこの時に使い、後で親にこっぴどく叱られ、もう二度と使わないと学習するレベルの物である。

 だがこの世界に来たばかりのサイトにはそれを教えてくれる人はいなかった。

 そして二人が見ている前でサイトの顔がみるみる三倍くらいに膨らみ、さらに顔がどんどん怖く変形し、おまけに角が生え、それはまるで般若の様な顔になった。

 確かに、怖い……めちゃめちゃ怖い…が、

 だが本人はその変形に気付いていない。

 サイトはただ相手をすくみ上らせるものと思っていた。彼が思うに……、


 スキルを使うと、メッキ男はすくみ上り、腰を抜かせて這う這うの体で退散していった。

「あの……、ありがとうございます」

 シズ達が駆け寄るが、このまま振り向けば彼女たちを”威圧”してしまうかもしれない。

「いえ、大した事ではありませんよ…」

 サイトはそのまま振り向かずに立ち去る。少女達は、黙ってそれを見送った。


 翌日、いつもの様にりんご亭に行くと、

「あ、いらしゃいませサイトさん♡」

 シズがいつものメイド服でにこやかに挨拶をする。――ふっ、どうやら名前を憶えられた様だ、――

 そして、食事を終えると、テーブルにそっとコーヒーが置かれた。

「これは……?」

 頼んでいない、と、言おうとした時、シズがサイトの耳元でそっとささやく。

「昨日のお礼です。みんなには内緒ですよ」

 そう言うと、かわいくウィンクをして去って行った。

――ふっ、どうやら俺と彼女の新しい関係が始まったみたいだ――サイトはコーヒーを飲みながらそう思った。

 ・ ・ ・ ・


 バキィ!!!-


 そんな妄想を打ち砕く様にメッキ男の拳がサイトの顔面にめり込んだ!!。


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