午後のひと時
午後のひと時、女の子たちの話題は?
ここはダンジョンを構える冒険者の街。この大通りも色とりどり様々な衣装を着た冒険者達で溢れていた。
だが、その中でもこの二人は特に目立っていた。
着物風の衣装を身に着けた可憐な女剣士と、童話に見る様な魔法使いの衣装に身を包んだ少女のカップリングはいやが上にも人目を引き、大通りの視線を独占していた。
だがシズはそんな周りの視線を気にするでも無く。
「お使い以外で昼間に街を歩くの初めてかも。ワクワクしますね。」
ファウナは思った。
—―真面に働いている異界人初めて見た!!――
「さぁ今日はおばぁちゃんがおごってあげますからねぇ~」
90歳の少女はにこやかにほほ笑んだ。
「やめろ、孫を見る目で見るな!」
だからだろうか、少し離れた所から付いてきている四人組にもさほど気づいてはいない様だった。
「見たまえ!まだ成長途中のロリボディに魔法少女の夢のコラボレーション!そんな奇跡が、当たり前に存在するこの世界に我々は経っているのだよ。同士!」
「左様、ここは正しく夢の国!友よ!」
勝手な事を喋りまくるこの三人も当然、異界人である。挟まれて付いて行くしかないサイトは心の中で…。
『違うんだ!俺はロリコンじゃ無いんだ~!』
と叫びたがったが、グッと堪えた。
だが時すでに遅く、周りからは怪しい四人組と認識されていた。
目的の場所は中央広場の一角にに有るおしゃれなカフェだった。
二人はテラス席に座り注文を済ませると、やがて注文の品が運ばれてきた。
「おおぉ!プリンに生クリームに果物まで、こんな食べ物があるなんて……さすが異世界」
「プリンアラモードって確かお前の世界から伝わったと聞いたが……」
「そうなんですか?あっ写真撮っておこ~」
シズは親指と人差し指を伸ばすと、空中にカメラのフレームの様な物が現れ、指を動かすと”パシャリ”と音がした。これで彼女のステータスホルダの中に画像が記録された。いつでも閲覧可能である。
『旦那の方は、そんな機能の存在すら知らないのに……』
ファウナはシズの順応の速さに感心した。
「そういえばセージ達、今日帰って来るそうだぞ」
「げ、つまりあの子も帰って来るんですね」
シズはリーゼが少し苦手だった。あれからちょくちょく店に来て、隙あらば抱き付いてくる。
いかなる攻撃もかわすスキ無しのシズではあるが、だが、天然と無邪気の合体したリーゼのセクハラタックルをシズは何故かかわせなかった。
「まぁ、そろそろ通信可能な所まで来てるかな……」
「ま、まさか!」
シズは慌てて周囲を警戒する。
この世界の便利な機能、ステータスウインドには通信機能がある。登録した者同士なら映像付きで会話できる。だが、有効範囲は街一つ分くらいだった。
「大丈夫だ、音声のみなら山の向こう側くらいまで届くぞ」
そう言うと慣れた手つきでウィンドゥを操作すると…
「ふぁい~、何ですか~……」
ウィンド画面から眠そうなリーゼの声だけがした。
帰り道の馬車の中、昨日の疲れからほとんどの者がうとうとと眠りこける中、セージとリーゼも肩を寄せ合ってうとうとしていた。
そんな中、リーゼからの通信が入る。
「クエストは終わったのか?リーゼ」
「たのしかったですよ~水浴びしたり……」
『一人でだよね……』
「セージさんのおっきなキノコが~……」
『キノコ~?!どこのぉ~??!』
「あたしぃ腰が抜けちゃって~……」
「抜けたって~!!?」
寝ぼけたリーゼの断片的な説明に、ファウナの顔がみるみる赤くなる。
「そしたらセージさんのがぽっきり折れて~……」
「折れた~!?!!」
赤面したファウナがのた打ち回る。
「殺す……」
かつてない殺気を帯び、シズは静かにつぶやいた。




