決着
前回から続き、戦いが続きます。
骸骨男の光弾乱射により、辺りは大混乱だった。
冒険者達が逃げまどう中、 光弾の一つがリーゼに向かって飛んでくる。木を支えにやっと立っていた彼女にそれから逃げるすべは無い。
――やばい…死ぬほど痛いで済むかな…――
覚悟を決め目を閉じた時。
ガッツ!!凄まじい音がした。だが、痛みは無い。恐る恐る目を開けるとそこには両手の鎧で光弾を防いだセージがいた。
「セージさん!」
「このぉぉぉぉぉぉ!!」
光弾を防がれた骸骨男がセージに向かって攻撃を集中する。腹がさらに大きく開き、光弾が太い光線になり両腕で攻撃を防ぐセージをじりじりと押す。
「くっ!」
「ど~だ~!ここはボックが夢見たボックの世界!ボックが一番強く!全ての人間はボックを敬い、崇拝する!それが正しい世界だ!」
「どんな世界だろうとこの世界はもう現実なんだ。妄想に逃げ!現実から逃げ出したお前に、この世界の居場所は無い!」
セージの兜が変形し、マスクが顔を覆う。
「人は夢見た未来を叶えるため、努力し、行動する。何の代償も無く得た力など塵芥と知れ!」
鎧の全身から炎を吹き出し骸骨男のビームを弾き飛ばした!
次の瞬間、腰のパックから何枚もカードが飛び出しセージの周りを回る。それはセージが取った魔石をカード状にしたものだった。刀を振り下ろし、二枚のカードを切る。
『フレイム』『ウィンド』それぞれのカードの特性が付与され刀に炎と風が渦巻く。セージは柄を合わせると二本の刀を連結した。そして骸骨男に向かって構え、
駆け出す。と、同時に鎧が火を噴きセージの動きを加速させた!
二人の戦いを見つめる冒険者達、彼らはは思い出していた。
子供の頃、伝え聞いた物語、ある者は姫を救う騎士に、ある者は魔王を倒す勇者に憧れ、冒険者を目指した日の事を。
そして、彼らは見ていた。新しい物語が生まれる瞬間を。
旋 風 ! 強 炎 斬 !
「ぐぎゃゃゃ!!!」
炎の竜巻が骸骨男を切り刻みながら空へと舞い上げる!
骸骨は思った。
『そうだ、次に転生したら今度は一度見た技をコピーできるスキルや、そうだ、全てが分かる魔導書とかもいいなぁ。ハハハぁ~~、夢が広がるな~~』。
はたして彼に三度目の人生があったかは……それは神さえも知らぬ事である。
ドォン!!
空中で骸骨男は爆発四散して果てた。
セージは刀の連結を外すと流れる様な動作で鞘に納めた。
「セージさん」
リーゼやギムレット、冒険者達が駆け寄ってくる。
その時、骸骨男の残骸を突き破り赤い魔石が空中に飛びあがった。
「な!何だ?」
空を見上げると、突然暗闇が広がりそこに手にドクロを持ったフードの男が立っていた。
「誰だお前は!?」
刀の柄に手をかけ、セージが空に浮いている黒フードに向かって叫ぶ。
「魔石レベル2回収する」
魔石がドクロの口の中に消える。セージの威嚇を気に留める事も無く、フードの男は、暗闇の中に消えていった。
空が何もなかったように青空が広がっていた。
「セージさんあれは?」
「分からん、だが……あれは……」
全身を覆っていた鎧が消えると同時に、ぐらりと傾き、セージはリーゼの大きな胸に倒れこんだ。
「セ、セージさん?」
リーゼは支えられずセージを支えながらズルズルと腰を落とし尻を付いて座り込んだ。覗き込むとセージはすやすやと寝息を立てていた。
「まぁ、あれだけの事をやったんだ。疲れもするさ、寝かしといてやんな。」
ギムレットはそう言うと他の冒険者たちを連れて後始末に向かった。
リーゼはセージを膝枕したままそっと顔を覗き込む、それは年相応の寝顔に見えた。
「お疲れ様…、私の勇者様、」
リーゼはセージの頭をやさしく撫でながらそうつぶやいた。
その後、セージのあだ名が”片手鬼”から”赤鬼”になった事は言うまでもない……。




