対決
その頃、ギムレット一行は森の中にポッカリ空いた亀裂の前に居た。
おそらくここが探していたモンスターの出入り口だろう、そして中を確認しようと覗き込もうとした時、中からリーゼを抱えたセージが飛び出してきた。
「な、何だ?!」
一瞬、見慣れない赤い鎧が飛び出し驚いたが、すぐにそれがセージだと分かった。
「なんだ兄ちゃんかい」
「おう、隊長」
セージはリーゼを下ろしながら言った。リーゼはセージの肩を借りて何とか立てるまで回復していた。
「リーゼを頼む」
「それは構わねぇが、一体何が……?」
状況が分からないギムレットがセージに問うが、
「敵が来る」
そう言いながら先ほど出てきた亀裂の中を覗き込むと
「逃がしませ~~~ん!!」
そこには壁面をゴキブリの様に這い上がってくる骸骨男が見えた。そしてその勢いのまま勢いよく亀裂から飛び出すと、カエルの様に四本足で着地した。
「な、何だ!」
通常のモンスターとは違う禍々しい鎧を身にまとった骸骨の化け物の出現に、若い冒険者達に動揺が走る。
骸骨男はなぜか満足そうだ。”注目されている”、”特別に見られている”、彼の求めていたものだった、だが、それを遮るようにセージが口を開く。
「もう一度聞く、元に戻る気はあるか?」
「なぁ~~にをバカな事をワザワザせっかく強くなったのにぃ弱くなるバカはいないだろ~~。ボックはお前らとは違うんだよょ~~~!!!」
そう言うと何処からかデカい大剣を二本取り出し両手に持つ。骸骨男はニヤリと笑う。
「はぁぁぁぁ!」
セージの背中から炎が吹き上がり、それを勢い良く引き抜くと二本の刀が出現した。
「なにっぉぉぉぉ~~~!」
それを見た骸骨男は興奮し、背中に力を入れる。すると背中から二本、大剣を持った腕が出現した。計四本、大剣を持った腕を振り上げ圧倒的優位になったと思った。が、セージは二本の刀を構えると切りかかった。
また一気に間合いを詰めてくる!だが骸骨には秘策があった。
四本腕を利用した無限の突き攻撃!
「突き!突き!突き!突き!突き!突き!突き!突き!突き!突き!突き!突き!」
ハリセンボンの様に四本の腕を振り回し突きを繰り出す。まさに死角無しの無限の攻撃!だがセージは迷わず懐に飛び込むとそのまま四本の腕を一瞬にして切り落とした。さらにそのまま骸骨男の前でクルリと身を翻す。鎧がその動きをサポートする様に各部から火を噴きセージの動きに加速をつける。
ゴスッ!!
側頭部に強烈な回し蹴りを食らい骸骨男が吹き飛んだ。
両手を失い顔面をボコボコにした骸骨男にセージは切っ先を向けて言う。
「違う……か、確かにお前は最初に会った時から他の連中とは違っていたよ」
褒められてると勘違いした骸骨は『そうでしょうそうでしょう』とうなずくが、
「ああ、この冒険に集まった若者たちは皆、未来に夢を抱き、今日という日を全力で生きている。だが、お前は夢も無く現実も見ていない!」
「夢ならありますぅ~~~!!毎日だらだら過ごして片手間に魔王を倒して、女の子にモテモテになって楽しく生きるという!!!」
「加藤よ、それは未来を夢見る”夢”じゃない、ただの妄想だ!」
「んなぁぁぁぁ~~~!!」
図星を刺されて骸骨が怒り狂った。
そして怒りのパワーで腕を四本まとめて再生する、さらに胸から光弾を滅茶苦茶に打ち出し始めた。
「うひゃひゃひゃひゃ!!」
無差別に打ち出された光弾は木々をなぎ倒し、地面を砕く、周りで見ていた冒険者達は逃げまどうしかなかった。そしてそれは骸骨男を”自分は強い”と増長させた。
「みぃ~~たか!!ボックはお前らモブとはちぃがうんだ~~~!強いんだぁぁ~~!」
狂った骸骨男があたり構わず光弾を乱射し始めた!




