宿屋にて2
夜はまだまだ続きます
薄明りの中、セージは目を覚ました。
どうやら部屋に運ばれてベッドの上に寝かされたらしい。これでも生前は酒豪だったのに……、セージは自己嫌悪になった。
『あの程度の酒で酔うとは……』
しばらくは酒は控えようと思った。そういえば枕が少々生暖かいような気がする。
「お目覚めになられましたか?」
上からリーゼの声がする。セージは理解したどうやらリーゼに膝枕をされていたらしい。
「何のつもりだ?」
セージは何事も無く起き上がると動じる事もなくそう聞いた。
「何って、介抱して差し上げていなんじゃないですか」
リーゼはニコニコとしながら、少し前かがみになりながら言った、見れば彼女は先ほどまでの法衣をつけておらず薄着だった、前にかがむと大きな胸がより一層大きく見える。
「な・ん・の・つ・も・り・だ・?」
もう一度、同じ事を聞く、
「あら、女の子の口から言わせる気ですか~」
リーゼはいたずらっぽく唇に人差し指を当てて答える。部屋に薄着の女の子と二人、しかも金髪巨乳のとびきりの美少女である。童貞なら鼻血を出して倒れ神に感謝するシチュエーションである。だが、
「な・ん・の・つ・も・り・だ」
「誘惑しています」
リーゼはにっこりしながら言った。
セージは黙って立ち上がった。
「正座!説教!」
「え~何で~、大抵の童貞異界人はこれで落ちるのにぃ~」
「バカ者!孫ほど年の離れた小娘に欲情するか~!」
「え~~!」
そしてリーゼを正座させたまま老人の説教が始まった。”わしの若い頃”から始まり、女のたしなみや今どきのまでくどくどと、説教は2時間以上に上った。
ちょうどセージたちの向かいの部屋にファウナ達がとった部屋があった。今はファウナが一人寝る支度をしていた。
リーゼが「任せてください」とセージを連れて向かいの部屋に入って2時間ほどがたった。
「大丈夫かね」と心配しかけた時、ドアがゆっくりと開いた。
そこにはリーゼが長時間の正座でプルプルと痺れた足を扉で支えるようにして立っていた。ハァハァと肩で荒い息をし、幾分かやつれた様にも見える。
――ファウナは察した!
ほんのり上気した頬、又にまだ何か挟まっているかのようなぎこちない足取り、え?まさか……!?
「なかなかのハードプレイでした…まさかセージさんがあんなテクニシャンだったなんて…」
リーゼは上気した頬で、痺れる足を引きずりながらベッドに倒れこむと、満足した顔で寝てしまった。
「え?あの…、そうなの?え?え?」
残されたファウナは、一人おろおろしながら……その日の夜は更けていった。