巨大モンスター現る
森の中を行くセージ達、そこに新たなるモンスターが現れます。
夜が明け二日目。
セージ達はさらに森の奥へと進軍した。
森の奥に進むにしたがって徐々にモンスターの強さが上がっていき、セージとギムレットも前衛に立つことが多くなってきた。だが、昨日のセージのアドバイスが利いたのか若い冒険者達の連携も上がっていき、ここまで問題なく来れていた。
ちなみに例のカトゥーは最後尾に付いてもらった。一番強い者が後ろを守ってくれるから自分達は安心できる……とか、おだてたら快諾してくれた。
だが、やはり後ろには敵が来ないという事にそろそろ気づき始めたようだ。
そしてそれはやって来た。
「な!何だあれは!」
冒険者の一人が悲鳴のような叫びをあげた。
木々をなぎ倒しながら巨大な影が出現したそれは、全高四メートル以上は在ろうかという巨大なクマ型のモンスターだった。クマと言ってもこの世界のモンスターらしく全身は鎧の様な物で覆われ、腕にはナタの様な大きな爪が伸びていた。
「だめだ!」
「あんなのとどうやって戦えっていうんだ!」
冒険者達に動揺が走る。
セージとギムレットは前に出るべきか考えていると
「火力が要るって?どうやら俺の出番のようだな!」
後ろからドヤ顔で走って来たのはカトゥーだった。
「あ~悪いことは言わねぇ、やめておけ」
ギムレットは忠告するが、彼には秘策があった。
「ふっ、これを使う事になるとはな」
そう言うとカトゥーは左手を突き出した!その手には何かバックルの様な物が握られていた。
「あれは!」
「?……、何だ?」
セージは分からなかったが、リーゼやギムレット達は何か気づいた様だった。
「武装!!」
そう叫ぶと、カトゥーはこの日の為に考えていた”カッコイイポーズ”を決めた。だが、いくら身体強化されていても、元々無い運動神経は劇的には変わらないのでそれは何処か不思議なタコ踊りだった。
そしてその掛け声とともにカトゥーの周りに鋼鉄の鎧が出現!一瞬で装着された。
「おお凄いな」
セージは軽く拍手した。
「あれは装神器、つまり転生した時に神様からもらえる神様装備の一つです。セージさんのアイテムBOXにも入ってますよ。でもあれじゃぁ駄目ですね」
「そうなのか?強そうに見えるが」
装着された鎧は、とげとげで不格好に見えたが、強そうではあった。
「そうなんですけどね、あれはサークレットデバイス…、あのアイテムの中央にSクラス以上のモンスターの魔石をはめて初めて完全になるんですよ。まぁ、それでもそこそこは強いんですが、」
「Sクラスと言うと……」
「ドラゴンの魔石ですね、だから完全な鎧はドラグギアとか呼ばれています。逆に前者はネイキッドって呼ばれています」
「ドラゴンの魔石ってこれか?」
リーゼの説明の後、セージは無造作にポケットからこの前のドラゴンの赤い魔石を取り出しながら言った。
「だから、アイテムBOXにしまって置きましょうよ~」
だが、他の冒険者達は初めて見る魔法の鎧に歓声を上げた。
「すげぇ!」
「何だあれ!」
「ドラグギアだ!」
「初めて見た!」
その時、彼はヒーローだった。そして彼は、”異世界に来たら言ってみたいセリフベスト3”の一つを言った。
「さぁ、ここからは俺のターンだ!」
――ガッツ!……
びしっッと決めた次の瞬間、ビッグベアーの巨大な腕がカトゥーの顔面を薙ぎ払っていた。
カトゥーはクルクルと空中でコマのように回転しながら後方の期に激突した。
「お、おい大丈夫か?」
セージ達が慌てて駆け寄る。
それは普通ならば、鋼鉄をも切り裂く鋭い爪で頭蓋骨ごと3枚にスライスされて即死のダメージだった。……だが神様強化と装神器による若干の防御力の上昇により、そのダメージをなんと”頭蓋骨にちょっと傷がついちゃった”程度にとどめていた。
ゆっくりと立ち上がろうとするカトゥー。彼の顔にゆっくりと3本の切れ込みが入っていく……。
ブバッツ!!
顔面の肉が切り裂かれ、切れ込みから勢いよく血が噴き出した!!
「ぽぎゃ~~!!」
顔面を抑えながら、のた打ち回る。だが神様強化で勢いが付きすぎ、はねる度に当たりの木々にぶつかり倒し、無重力の様にぴょんぴょん跳ねながらそのまま森の奥へと消えて行った。
「あ、逃げた」
「リーゼ!追い掛けて、治してやれ!」
「え~、面倒だから放っておきましょうよ」
「放っておけないだろ。いいから行って治してやれ」
リーゼは渋々ながら納得するとカトゥーを追いかけて行った。
「さて、後はあっちだが、行けるか?片手の兄ちゃん」
ギムレットはアイテムBOXから大型魔物用の大剣を取り出しながら言った。
「ああ!」
セージも刀を構え直すと大熊と向き合った。




