朝の広場
今回はセージとリーゼ二人の冒険です
朝の中央広場は屋台も出店もまだ準備の真っ最中だった。
そんな人々の合間を抜け、リーゼは冒険者風の者達が集まって所を見つけた。
その中にセージを見つけると、リーゼは何か思いついた様に一呼吸置くと
「セージさ~ん♪」
デート待ち合わせの彼女の様に、爽やかに手を振りながらかけて行った。掛けるたびに大きな胸が揺れ、周りの冒険者達の視線が一心に注がれる。
リーゼは自分の容姿についてよく知っている。だから周囲のこの反応は当然予測できる。だから周囲と違い、一人”ゲッ?”と言う反応をしているセージに興味がわくのである。
「おはようございます」
「おはよう……、いや、まさか本当に来るとは思わなかった」
リーゼの普段の朝を知っているセージは絶対寝坊すると思っていた。
「やだな~、私は遠足の日には早起きするタイプです」
そう言うセージはまた日の出とともに起きて軽く鍛錬してきたんだろうなぁ……と、リーゼは思った。……だがその前に、
「まずはその荷物、アイテムボックスにしまっちゃいましょうか」
リーゼはセージのすぐ横に置かれたでっかい荷物を見ながら言った。
「あ…うん」
周りには、若い冒険者達が集まて来ていた、おそらくセージ達と同じクエストに参加する者達だろう。 その中から、明らかに明らかにベテランであろう一人の大男が、
「よぉ、”片手鬼”の兄ちゃん」と声を掛けてきた。
「あれ?、この前の」
それはこの前ダンジョンで一緒になった、ベテラン冒険者のギムレットだった。ちなみに片手鬼というのはギルドがセージに付けたあだ名である。
「兄ちゃんが来るとはなぁ、これ、新人研修用のクェストだぜ」
「オレ、新人、コノセカイハジメテ」
「ああ、そうだったな。兄ちゃんは何かもうベテランみたいに見えてたぜ。あと、姉ちゃんも今回は助かったぜ、うちのヒーラーが今回、都合が悪くなっちまってよぉ」
「いえいえ」リーゼは笑顔で会釈した。
「まぁ強い奴は大歓迎だ。俺は今回このパーティの隊長。つまり引率役って事だ」
「なるほど」
セージは新人クェストと聞いていたので納得した。
「兄ちゃんには、まぁ色々頼むと思うが……、さしずめ、……”アレ”を気ぃ付けて見ていてくれや」
と、指さした方向には、一人壁にもたれて孤高を気取っている冒険者がいた。
銀髪に整った顔立ちだがどこか不自然で、派手なフルプレートアーマーを着て、背中には大きな剣を背負っている。間違いなく異界人だ。
?、…何処かで会ったっけ?。セージは不思議なデジャヴュを覚えた。つい最近何処かで見た顔なのだがよく思い出せない。
「あれはあれですよ、転生の時に顔まで変えちゃったパターン」
「顔?」
「転生の時に言うんですよ神様に、『イケメンにしてくれ~』って、でもほらハンサムの顔のイメージってだいたい決まっているでしょ。神様も面倒だから、だいたい三パターンほどのイケメン顔をランダムに張り付けているみたいなので。セージさんが見かけたのも似た顔の別人かと」
「その話だとこの街にも同じ顔が結構いる事になるぞ」
「でもあの人達、同じ顔同士道ですれ違っても気づかないんですよね~、鏡、基本的に見ない人達だから」
そして気味悪がるのは周りの人達だけと補足。
「やだな~あんまり拘り合いたくないな~」
リーゼは露骨に嫌な顔をした。
「嬢ちゃんの気持ちも分かるが、俺が隊長である以上、このパーティから死人を出すわけにはいかねぇからな」
クエストに参加する若手冒険者二十人ほどが揃うと、ギムレットが馬車の前で号令をかけた。
「よ~し、揃ったなヒヨッコども。クェストの内容を話すぞ。ここから東に行った所にある森で最近、モンスターの目撃が増えている。おそらく、近くにまだ発見されていないダンジョンの入り口が顔を出したからだと思う」
冒険者達がざわつく、まだ発見されていないダンジョンなら、お宝とかも手付かずかもしれない。冒険者なら誰もが夢見る光景である。
「静かに!いいか?我々の仕事はあくまでもダンジョンの発見までである。ダンジョンの捜索はその後、別の冒険者が引き継ぐこととなっている」
今度は、え~、という声が上がる。
「欲を出すなよ。簡単な仕事でも欲を出せば死ぬ。受けた仕事を確実にこなし、無事に帰って来る事が、一人前の冒険者への近道と思え!よし、出発!」
全員が幌馬車に乗り込んだ。




