対決!飛竜
セージ達の前に新たなるモンスターが現れます。
外と同じくらいの時間にダンジョンの中にも朝は来る。
天井の明かりが、ご丁寧に徐々に明るくなっていき辺りを照らしていく。
セージがいつもの朝の鍛錬を終えて野営地に戻ってくると、珍しく身支度を終えたファウナとリーゼが待っていた。そしてどういう訳かディラン達にギムレット達もいた。
「どうしたんだ?」
一同の只ならぬ様子にセージは答えを待つ。
「おお兄ちゃんか、いい所に帰って来てくれた。まぁ、ちょっと来てくれや」
連れられるままセージ達は森を抜け、草原の手前までやってきた。
「身を隠して、あそこです」
林に身を隠すように、ディランが指さした先、草原の真ん中あたりに何やら青く光る”塊”が見えた。
「なんだ?」
セージは塊を凝視してみた。目、腕、塊の中に何か生き物のパーツが確認できる。
「何かが丸くなっている?」
「あれは、進化中のモンスターだ」
隣で見ていたファウナが言った。
「翼の様な物も見えます。おそらくあれはAクラスモンスターワイバーン、それが進化するとなると……」
ディランは、いつになく神妙な面持ちで言った。
「どうする?撤退も手だが」
ギムレットが提案する。当然である今回は威力偵察で完全なパーティメンバー出来ていなかった。
「あーでも無理みたいですよ」
リーゼがそう言った時、青く光る塊の中からゆっくりと長い首が顔を出した、やがて殻を割る様に大きな翼が広がっていく。
「グォォッォォン!!」
咆哮が轟いた。それは鳥の様な翼をもった純白のドラゴンだった。
「きれい……」
シズが思わずつぶやいた。純白のドラゴンはとても幻想的に見えた。
翼を広げたドラゴンがゆっくりと浮上する。まるで上昇するVTOL機の様だ。
「来るぞ~!!」
ギムレットが叫ぶ!瞬間全員が四方に散った。
ドラゴンがジェット機の様に突っ込んできた。セージ達の横を通過すると衝撃波の様な風を舞い上げ上昇していった。
ドラゴンはさらに旋回を始めた。
「くそぅ来やがれ!」
セージは刀を抜いて身構えた。
ドラゴンがまた突っ込んでくる!セージも同時に飛び出す!
「でぇやぁぁぁぁ!!」
助走をつけ一気に飛び上がり、ドラゴンに切りかかるが、わずかに届かずセージの刀は空を切った。
「セージさん無理ですって相手は飛んでるんですよ」
リーゼが離れた所から声を掛ける。
「だがな……」
上手く逃げられるかわからないし、あれをこのまま放置しておくことも出いない。
セージはドラゴンをよく観察する。ドラゴンは壁に沿ってグルグルと旋回していた。
「そうか、ここはあいつにとっては狭すぎるんだ」
ドラゴンはダンジョンの外壁に翼をこする様に旋回していた。このダンジョンがどんなに広くてもあの、巨大化してしまったドラゴンには狭いのだ。
進化したばかりでまだ自分の体をうまくコントロール出来ていない。倒すなら今だと思った。
同じ所を回っているのなら、行動が予測できる。
セージはドラゴンの出現方向に向かって刀を構えた。やがて予想通りにドラゴンが飛んできた。
「でやぁぁぁぁ!」
セージはドラゴンに向かって駆け出して行き、全力で飛び上がり一気に刀を振り下ろす。
スカ……、
だが、今度も一歩届かず刀は空を切った。
ゴォン!、爆風に吹き飛ばされセージはそのまま元の所に戻って来た。
「くそぅ、もう一回!」
立ち上がり、セージはまだやる気だった
「無理に決まってるだろう!あんなのにどうやって勝てるっていうんだ!出来っこない!」
そう叫んだのはクーノだった。
「おい少年、無理とか出来ないとか軽々しく使うな。限界は他人が決める事じゃない、自分が無理と感じた所が限界なんだ!だから簡単にあきらめず、あがいて見せろ!」
売り言葉に買い言葉、彼はセージに勝ちたかったがドラゴンに突撃する勇気は無かった。だからせめてセージがドラゴンから逃げ出せば、彼も限界のある人間だと思いたかった。だから諦めさせたかった。
「何をどうしろっていうんだ!空を飛んでんだぞ、剣だって届かない、ちょっと考えれば分るだろ!」
「ならもっと考えろ!この世界は魔法だ何だと非常識な事がいっぱいある!だから!……、そうか魔法か」
セージは少し考えると。
「ファウナ!あれ…、あの鎖を出すやつ使えるか?」
「鎖?、ストリングか?。ふふ~ん任せろ!私なら一度に六本まで出せるぞ」
珍しく頼られたのがうれしかったのかファウナはどや顔で言った。
「二本でいいから、どのくらい伸ばせる?」
「五十メートルくらいかなぁ、でもアレには届かんぞ」
「いや、それで十分だ。静!」
「分かったわよ!」
シズはセージが何をしようとしているのか察したのか、立ち上がった。




