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異世界冒険記 ツワモノどものファンタジア  作者: マサオカ
第二話 冒険者の塔
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ダンジョン第一層

ダンジョン第一階層、最初のクエストが発生します。

 ダンジョン入り口の、巨大なゲートをくぐると中はそれ以上の広大な空間が広がっていた。

 ダンジョンのメインストリートと思われる入り口からまっすぐ伸びる巨大な回廊、天井は高く両脇には魔石と思われる明かりが点々と光っていてダンジョンの奥まで照らしている。そして、回廊沿いに無数にあるアーチ状の入り口が口を開けており、本当の迷宮への入り口となっていた。

「光よ」

 ファウナは小さめの魔石を取り出すと軽く呪文を唱えた。魔石は光を放ちながら浮かび上がり2メートルほどの高さで浮いていた。回廊の明かりだけでは薄暗かったダンジョンが若干明るくなる。

「さぁ行くか、ここをまっすぐ行けば転送エレベーターだ」

「今日は一回をウロウロするんじゃないのか?」

「誰がそんな事を言った?」

「?」3人は奥へと歩き出した。

 回廊はどこまでも長く、入り口の大きなゲートが遥かかなたの小さな光の点になっても向かう先が見えなかった。

「大きな」

 想像はしていたが、想像以上の巨大さにセージはぽつりと漏らした。

「まぁ数百年かかっても攻略されていないダンジョンだからな、上の階層はほぼ攻略が完了したが、下はまだ半分といったところか」

「そういえばセージさんは鎧はつけないんですか?たぶんセージさんのアイテムBOXに神様からもらった鎧が入っていると思いますよ」

 リーゼが歩きながら訪ねてきた。確かにセージは刀を肩からぶら下げているだけで鎧等は全く身に着けていない。

「油断してると~どこから襲われるかわかりませんよ~」

「油断はしてないよ。ただ俺みたいな小心者は逆に鎧とか着けると、その分安心して隙が出来るから…」

 瞬間!抜刀!、

 一瞬、セージは刀を抜いたかと思うと何事も無く鞘に戻した。

 ガッ!次の瞬間ゴブリン型のモンスターが切り裂かれて床に転がった。

「何も着けずに気を張っていた方が安全なんだ」

「すごい…」

「ゴブリンか、こんな広い通路でも油断していると、暗がりから足元を切りつけられるからなぁ」

 ファウナが足元を照らしてみるとゴブリンはすでに消え魔石だけになっていたが、床には血痕らしきものが残っていた。

 セージは二人を見る、二人は何とも無い。血痕はまだ新しい、光を当ててみると脇の通路へと続いている様だった。


「行ってみましょう」

 珍しくリーゼが先導する。脇道から少し入るとそこには黒髪、黒コート、そして刀を握った少年が、通路の隅でへたり込んでガタガタ震えていた。足から血を流している。

「おい大丈夫か?」

「セージさん、ここは私が」

 駆け寄ろうとするセージを止めて、珍しくリーゼが歩み寄る、彼女はヒーラーとしては優秀なので当然の行為なのだがセージは少し違和感を覚えた。


「どうかなさいましたか?冒険者様」

 リーゼは両手を合わせ、やさしく微笑みながら近づいた。ファウナのライトの光で後ろから照らされ、まるで後光を浴びたかのように登場した彼女は、暗がりでいきなりゴブリンに足首を切りつけられ、命からがらここまで逃げてきてガタガタ震えて泣いていた彼には、まるで天使か女神が現れた様に見えた事だろう。

「うう…、うう」

 少年は泣き崩れた顔のまま固まっていた。無理もない、みっともなく泣き崩れていた所に突然の美少女の来訪である。しかも元の世界では家に引きこもっていた彼には異性とまともに話すボキャブラリーも無かった。

「どちらまで行かれるのですか?」

 リーゼは前かがみになって訪ねる、大きな胸がたわむ、童貞には刺激の強い光景だ。目が上と下をぐるぐる回る思考が回らなくなっていく。

 少年は喋る代わりにカードを見せた、あの32階まで行けるカードだ。リーゼの口元が少し笑った気がした。

 だがすぐにキラキラとした美少女オーラを発し

「まぁ、勇敢なのですね。ですが冒険者様、そのお怪我では32階にたどり着く前に死んでしまいます。まだこの辺りには恐ろしいモンスターがうようよいますよ」

 少年はモンスターという言葉にビクビクッと反応する。

「ああ、そういえば私共はダンジョンの入り口まで戻れるカードを所持しておりました。よろしければそのカードと交換しましょうか?」

 少年は悩んだ、このカードは本人は気付いていないが、ダフ屋に相場の5倍で買わされた物だった。だが、カードを交換すればこの美少女と仲良くなれるかもという悲しい打算も働いた。

 交換は成立した。


「やりましたよ~、一番安いカードが32階行のチケットになりました~」

 少年が消えるとリーゼはいつもの調子で戻って来た。

「おまえなぁ」

「そんなに怖い顔しないで、どうせ街に戻れても心が折れて二度とダンジョンに行こうとは思わない筈ですから、宝の持ち腐れですよ」

「それにダンジョンの入り口付近には常駐の神官がいるからすぐに怪我の治療もして貰えるだろうよ。割増料金だがな」

「はぁ…」


 セージは呆れながらも先へ進むのだった。


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