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異世界冒険記 ツワモノどものファンタジア  作者: マサオカ
第二話 冒険者の塔
19/96

冒険者ギルド

セージの冒険者としての日常がいよいよ始まります。

 「あ~いたいた、お~~いファウさ~ん!」

 リーゼが手をふって駆けて行く。

 冒険者ギルドの前には、遠くからでも一目で判るとんがり帽子と黒マントを着けた小柄な少女、ファウナがいた。

「コラ不良娘、昨日はどこに行っていた?」

 ファウナは木の杖でコツンとリーゼの頭をたたきながら言った。不思議なことに18歳のリーゼよりも、見た目12歳のファウナの方が立場が上らしい。

「ごめんなさい、昨日は飲み過ぎて、朝目が覚めたらセージさんと裸で抱き合ってました♪」

「・・・」

 ファウナは、今リーゼの言った言葉の意味を整理する。


ボッツ!


 すべてを理解したファウナの顔が急速に真っ赤になる。

「えっ!?つまり……、それは、えええ~~!!つまり、あうあうあう!?」

 ファウナは顔を真っ赤にしながらしどろもどろで訴えた。

「違うから。変な誤解するな!」

 後から来たセージが訂正する。この自称44歳の少女はどっちが本当の年齢かよくわからない。


 ようやくギルドの建物の中へ入ると、そこにはシズがいた。

 静はいつもの白のブラウスに着物を羽織ったような上着、帯にミニのプリーツスカートとあれ以来穿いている最強絶対領域の黒のニーハイソックスの派手目な衣装でギルド内でも目立っていたが、リーゼの派手目の()()神官服と、ファウナの、魔女っ娘ロリータファッション。

 この街でも特に派手なこの二人の衣装を見慣れてしまったセージには、このくらいのファッションが普通なのだろうと誤認していた。


[お~い、()()()ちゃ~ん」

 静が少しげんなりした顔をする、さすがのシズもリーゼは少し苦手な様だった。何しろ、あれから会うたびに抱き付いてくる。シズにそんな文化習慣は無かった。

 後ろにはシズの入っているパーティのリーダーであるディラン達も居てこちらに軽く手を振っていた。

「どうしたんですか?今日は」

「おお、聞いてくださいおシズちゃん、セージさんがようやくギルドに登録してくれる事になったんです!」

「まだやってなかったんですか」

  静は少しあきれたように言う。セージのデジタル音痴はよくわかっていた。

「いいだろ、これからやるんだから」

 セージは少し膨れながら言った。

「ささ、セージさんこちらですよ」 

 セージが案内されたのは、受付のカウンターでは無く手前の丸いテーブルだった。リーゼがトントンとテーブルを叩くと上に申込書が浮かび上がった、やはりデジタルだ。


 ―名前を記入してください―

 ―志藤 誠司(しどうせいじ)


「セージじゃないんですか?」

「お前が勝手に呼んでるだけだろ」


 ―年齢は―

 ―95歳―


「そこは16歳って書きましょうよ」

「う~ん、でもなぁ…」

 セージは静の方を見た、シズはただにこりと笑ったが、それはなぜか無言の迫力があった…、セージは16歳と書き直した。

 シズは受付の方で何かをやっている様だった。受付カウンターの反対側は、酒場の様な飲食スペースになっていた。おそらく冒険者達が情報交換や交流をするためだろう、そこにいた若い冒険者数名がシズの方を見ていた。


「あれ”剣の舞姫(つるぎのまいひめ)”だろ」

「あれが?ムチャクチャかわいいじゃん」


 何か話が聞こえた。

「つるぎの…、何だって?」

「”剣の舞姫”ですよ。ギルドがつけたあだ名ですね。ギルドの宣伝も兼ねて毎年開門祭で活躍した人に、分かりやすくあだ名をつけて宣伝するんですよ~。剣の舞姫、おシズちゃんにぴったりですよね~」

「ふ~ん…」

 セージにささやかな疑問が浮かび上がった。

「俺は?」

 ささやかな疑問だった。そして開門祭で活躍したのは間違いなくセージとシズだったので、自分にも何かあるのか聞いてみた。

「あ~、おこりません?」

 リーゼにしては珍しく歯切れが悪い。

「言ってみ」

 リーゼは人差し指をちょこんと頭の上に置くと

「片手鬼…」

「うぐっ!!」

 確かに、片手で鬼の様な形相で戦っていたので致し方なかった。

「褒められてる気がしない…」

「まあまああだ名は大事ですよ」

「ぷぷっ」

 後ろを向くとシズが笑いをかみ殺していた。

 

 ようやく申込書を書き上げたセージは受付へ行った。申込書は書きあがると同時に受付へ転送された様だった。

「よ、よろしく」

 セージは戦闘よりも疲れていた…

「はい、書類・登録料共に問題はありません。ようこそ新しい冒険者さん、こちらがあなたの位を示す認識証になります」

 そう言うと受付嬢はセージに名前の書かれた堅木のドッグタグの様な物を渡した。

「へぇ、最初は木なんだ」

「はいっ、認識証の階級は堅木・白磁と上がっていき、上は金、最上位は白金となっていますが、実際は金等級は世界に数名、白金等級は伝説に数名レベルなので、実際の最上位は銀等級となります。初めはギルドに収める魔石の量や、依頼の達成率で階級が上がっていきます。上の方へ行くと面接など審査も厳しくなりますが、まだ先の話だと思ってください。あと、ドラゴンなどのSクラスモンスターを倒しても階級が上がります。セージさんはすでに開門祭でドラゴンを倒していますが、登録前なのでノーカウントとさせていただきます」

「ふ~ん、まあいいけど」

 受付嬢のさらさらと長い説明を聞きながら、セージはおおむね納得した。

「ふ~ん、じゃあ登録後にドラゴン倒したおシズちゃんは?」

 セージはハッとしてシズの方を見た。

「ふふ~ん」

 シズはどや顔で胸元の2階級特進”黒曜”のタグをチラ見せした。


 ちくしょ~!セージは心の中で悔しがった。

 そしてダンジョンへ行く事を決めたのだった。


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