シズの日常
宿に帰ったシズの日常です。
ジョギングを終えたシズは寝泊まりしている宿へと帰り、浴場へと向かった。
シズがこの宿を選んだ理由は2つあった。
一つはこの宿にはこの地域では珍しく浴場がある事、そしてもう一つはさらに珍しく女性専用の宿だという事だった。
服を脱いだシズは浴室に入った。
まだ朝も早く当然誰もいない、中には石造りの大きめの浴槽と水瓶があり水が並々と注がれていた。この地域は水源が豊富なため水はいくら使ってもタダである。
だが、朝から広い浴槽を占領する気にもなれない貧乏性のシズは、入り口の脇に幾らか置いてある、赤いくずのような魔石をひとかけらとると、水瓶の前に行き
「炎よ…」
小さく呪文を唱えると魔石は赤く光りだした、それを水瓶の中に入れるとやがて湯気が立ち始め丁度いい温度になった。それを桶にすくうと肩にかけた、
「はぁ、魔法って便利…」
体を洗い身支度を整えた静は一回の食堂の中にある厨房に向かった。
鍋に水を汲みコンロに乗せる、下に薪をくべ魔石を置き呪文を唱えるとマキが燃え始めた。
さらにする事が無いシズが野菜を切り始めた所で、厨房にぞろぞろとメイド服姿の女性たちが入って来た。この宿の従業員たちである。
「何だい、またお客さんが一番かい」
声を掛けたのは大柄の女性、メイド長でも宿の主でも無いが”おかみさん”と呼ばれている。
「すいません、する事が無くてつい」
実際に静はこの3日間で、ただ見てるだけから下ごしらえまでするようになっている。仕事の全てをマスターするのも時間の問題だろう。
「お客さんなんだからゆっくりしてればいいんですよ」
そう言って近づいてきたのはシズと(外見の)年の近いショートカットの従業員の子だった。
「貧乏性なのかジッとしていられないんですよ」
「ふぅん、じゃあさ」
少女はクスリと笑うと、ある提案をした…。




