新しい朝
第2章始まります
朝、オリエンスの街に日が昇る。
あれから3日ほどたっていた。
そして老人の朝は早い。志藤誠司、享年95歳、こちらでの年齢は16歳だが、長年に渡り刷り込まれた習慣というものがあり、ほぼ日の出と同時に目が開く。
本来なら、道場の掃除に朝稽古とやる事は一杯あったのだが、こちらの世界に来てからはあまりやる事が無い、とは言え起きない訳には行かず、セージは体を起こそうとするが……。
右手が重い。
生前、戦争で右手を失ったセージは死ぬまで方腕で生活していた。こちらの世界に来て新たに右腕を得たが、今はまだ困惑している状況である。それでもその手をまた失う訳にはいかなかった。
右腕を何かに持っていかれる感覚に襲われてセージは慌てて布団をはね上げた!
…そこには、リーゼがセージの右腕に抱き付いてスヤスヤと眠っていた…、全裸で。
「なにをやっとるかぁ~~!!」
「いたいいたい!」
リーゼの頭をグリグリ攻撃しながら問い詰める。
開門祭の後ファウナ達からオリエンスの街で使っている自分達の家に一緒に住まないかと誘われたのだが、必要以上にこの二人と拘り合いたくなかったセージは別に宿をとってそこに寝泊まりしていた。
「なぜここに居る」
「え~とぉ……、昨夜近くで飲んでいまして、それでウチに帰るよりこっちの宿の方が近いなぁ~と」
「鍵かけてあったよなぁ確か!」
「やだな~、そんなのあたしが持ってる盗賊スキルにかかれば…」
「お前、神官って言ってなかったけ?!」
セージは諦めた。こいつはこ~ゆ~奴だ、身体は成熟しまくっているのに言動に子供っぽい所がある。 セージは簡単に身支度を済ませると入り口脇に置いてあった愛刀と同じ長さの布を巻いたものを肩に担ぐと、ドアノブに手をかけ
「俺が帰って来るまでに家に帰れよ」
リーゼは「は~~い」と布団から手だけ出して見送った。
今一つ不安だったが、セージは宿屋の外に出、朝の空気を思いっきり吸い込むと
「さぁて、今日は東の方にでも行ってみるか」
朝のジョギングを始めた。




