エピローグ
日が沈む頃、開門祭は終わった…。
観客たちも帰り支度を初め、闘技場内もギルドの人達が後始末を始めている。
セージは闘技場の壁にもたれ腰を下ろしていた。隣では静がセージの肩を借りながらすやすやと寝息を立てていた。
目の目では冒険者達が右へ左へ流れていく…。
門は空いたままだ、これから半年はこのままだという。余力の有る者はこのままダンジョンに入り、またある者は明日からの冒険に備え宿屋に戻っていく…。
セージはそんな、この世界での当たり前の日常をぼーっと眺めていた。
「けっきょく……、あれだけいた異界人で、まともに生き残ったのはあの二人だけか…まぁ、例年に比べると豊作と言えるが」
ファウナは周りを見渡しながら隣にいたディランに言った。
「確かに、あの二人は今までの異界人達とはまるで違いますねぇ。私としては彼の方もパーティにスカウトしたいところですが」
「フフッん」ファウナは悪戯っぽく微笑むと
「あーげないっ」
闘技場の中央ではまだドラゴンの残骸が残っていた。大部分は光の粒子になって消えていったがまだ半分ほどは原形を保っていた。そしてちょうど切り落とされた頭部の額の有った辺りにその赤い魔石はあった。
初めにそれを見つけたのは全身黒ずくめの魔導士(?)だった。幸か不幸か先ほどギルドで受付をすまし、今この闘技場についたばかりの異界人の彼は、闘技場の中央に横たわるドラゴンの残骸を見つけると嬉しそうに駆け寄って行った。
それは楕円形の磨き上げられた宝石のような魔石だった。
『なにこれぇ、もしかしてチートアイテムだったりする?俺の無敵伝説来ちゃたりするぅ?』
落ちている魔石に特に決まった所有権は無い、見付けたモン勝ちである。彼は喜び勇んでそれをつかみ上げた。
ジュッ!
それはまるで熱した石炭の様に熱かった。
「ぎぁぁ!!あつぅ!」
あわっててそれを放り投げると、それはあらぬ方向に勢いよく飛んで行った。
「あてっ!」
セージの額に勢いよく当たった魔石は、セージの手のひらにポロリと落ちた。熱さは全く無かった。
「何だこれは?」
「”ドラゴンドロップ”竜の魔石だ。ドラゴンを倒した者に贈られる……まぁ、勲章みたいな物だ。お前が気に入ったみたいだからお前が持ったいるといい、いいか売るなよ!。役に立つから」
額をさすりながら石を眺めていたセージに、ファウナが近づいてきて説明した。
「セージさん」
リーゼもやって来た。
日は沈み、また朝が来る。今までいた世界とは違う朝、日常が待っている。だが、セージは隣にいる静をそっと見ながら
二人ならば悪くない…そう思うのだった。
一つの戦いは終わりましたが二人の物語はこれからです。




