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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

ある魔法使いの旅路

チートスキル、カウンター成功率+30%

作者: 大貞ハル

他の話に出てきたお師匠様こと武闘家のお姉さんの話がふと浮かんだのででっち上げ、もとい書いてみた。

「やあ、あんたが例の凄腕冒険者かい?」

ガタイの良い冒険者が声をかけてきた。

隊商の護衛の冒険者だ。

チェーンメイルや革鎧を着込んでいていかにも強そうな感じだ。


「凄腕と言うのはどうかと思うけども、よろしく」

こちらはと言えば、身長は高い方だがさほどムキムキでも無い外観に動きやすさを重視した装備だから馬鹿にされているんだろうとは思うがいつものことだ。


「武器も持たずに何しにきたんだ、ねえちゃん」

他の護衛の冒険者が割り込んできた。

「私の得物はこいつだよ」

手首の防具がガシャガシャと変形してガントレットになる。

「なんだ?」

「格闘家か、珍しいな」

「遠距離系の職種に比べたら出番は少ないかもしれないけど、まあ、直接殴れるような相手が来たら任せてくれ」

防具を元に戻しつつそんな話をした。


隊商のリーダーに挨拶をすると、どうやら自分が最後だったようで程なくして出発となった。


隊の構成は馬車が4両、護衛の馬が4頭、それ以外の護衛は徒歩なので進みはゆっくりだ。

まるで何かに怯えるように進んでいく。


騎乗している連中は、この隊の護衛を普段から引き受けているチームらしく、徒歩のメンバーも入れて10人、増援は自分だけらしい。なるほど凄腕とか言われるわけだ。


しばらく行くと斥候が何かを見つけてきたらしい。

「例の盗賊の犠牲者と思われる遺体が…」


現場では遺体が路肩に寄せられていた。

迂回する道もなければ運ぶわけにも行かないから通れるようにして後で街の役人にでも報告するのだろう。

「太刀筋から考えて1人だけど、変ね」

「そうだな。あまり筋が良いとは言い難い…」

武装した冒険者がなすすべもなく倒されている。

なにかあるのは間違いない。


「どうします?」

「どうします、じゃねえんだよなあ〜」

打ち合わせをしようとしたら、どこかから声がした。

「俺の目について生きて帰れる分けはねえんだよ」

さほど強くもなさそうな冒険者崩れみたいなのが、道の脇から出てきて意気がる。


刃渡り1mほどのショートソードを抜いて襲いかかってくるのを見て、前に出る。

「面倒なので私から行かせて貰いますね。そもそもこいつのための増援でしょうし」

「順番なんて決めたって意味ねえよ、どうせ全員死ぬんだからよおー」

暴漢がいきなり超加速する。

展開したガントレットで去なす。

「何ーっ」


「加速系のユニークスキルか」

「まだまだこんなもんじゃねーぞ!!」

ますます速度を上げるがお互い攻撃は決まらない。


「なるほど、これじゃ普通の冒険者には、ちと荷が重いかな?」

「な、なんなんだてめぇ」


「凄い、どうなってるんだあれ」

「と言うか、ガントレットでショートソードとやりあうってどうなってんだ」


この世界にはいくつかのルールがあり、武器のリーチはその外観に左右されない。

それはガントレットと言えども例外ではなく、見た目よりもリーチはかなり長い。

ただ、少なくともこの戦いではあまり意味のないことではあるが。


「割とめんどうだし、私もチートスキルを使わせてもらおうかな」

「なにーっ」

「私のユニークスキルは『カウンター成功率+30%』だ」

「ふざけろ、それのどこがチートだばーか」

そう言って攻撃を仕掛けるが、今度はするりとソードがすり抜けるように外れ、ガントレットの拳が右の頬に突き刺さり顎が砕け、飛び散った骨や歯が左の頬を突き抜けて飛び出していく。

「な、なんはー」


この世界の成功率+補正はいくつか種類があり、身体能力としてのスキルで上げられる上限が+30%、防具や武器で上げられる上限が+40%までである。


ただし、ユニークスキルはその制限に含まれない。


「ぐおおお」

横薙ぎに斬りつけようとするが、するりと通り抜けてしまう。

この世界のカウンター成功率合計100%とは、同種の矛盾が生じるスキルで対抗されない限り確実に攻撃を躱し、反撃できることを意味する。


当然の事としてガントレットを付けた拳が鳩尾にねじ込まれ内臓を突き抜けて背骨にまでダメージを通した。


「くはっ、か、たかがカウンターが、なんで、こんな(意訳)」

通常のオートカウンターは通常攻撃の数%から50%程度の威力しかない。


「私のレベルは99、攻撃力6900だ」

「な、なんだ、99?(意訳)」

「お前みたいな奴がレベルギャップ開放とか知らなくて当然か。どの神殿に行ったって相手にされないだろうしな…。つまらないスキルを持って生まれたのがそもそもの不幸か」

「…」

観念したのか、話す力も無くなったのか、それきり話すことは無かった。



「…正直予想以上だったな」

「ほんと、レベルギャップ開放どころか、俺たちなんかようやく20台だからな」

レベルギャップは30、50、75の3回だ。


「まあ、レベルが高ければ良いってもんでもないし…」

「いやいや、また何かあったら頼むよ」

「ああ」


今回の犯人も余計な力を持っていたが故だ。

明日は我が身にならないように心がけることを誓うのだった。



終わり

スキルについては、もうちょっと練った方が良かったかなと言う気もしなくもない。

成功率補正ってあんま聞かないよね(オイ

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