サブクラス
サブクラス?
聞いたこともない、、
思うに極々稀なのか、本人が隠してるか
あるいはみんな気づいていないだけかも知れない。
考えてみると、司祭が職決めをやっているから、司祭が職業鑑定もしてるが、司祭クラスで覚えるスキルは人の職業と関係無いだろうな、そりゃ。ゆえに、覚える職業鑑定のスキルも低位だろう。
それでメインのクラスしか分からないのでは無いだろうか?
もしかして高レベルの鑑定士クラスというクラスがあるならば、分かるのかもしれない。
改めて確認すると、今のクラスは
商人lv3
サブクラス:転職代理人lv2
となっている。
lv1ではないということは、前世の引継ぎだろう。しかし、意外とレベルが低い。。
あんなに社畜、、もとい労働時間が長かったとしても、業務歴が6年程度であればこんなものだろうか。
そもそもレベルについても聞いたことが無い。
司祭のスキルは、ほんとうにメインのクラスを知るだけなのだろう。
ってか、人の10年分、それこそ過労死するまで働いてこれじゃ、定年まで働いてもlv10にもならないんじゃないか?えぐすぎるだろうこの世界。。
そして重要なのが
転職のスキル
これは、この世界のバランスを崩しかねない気がする代物だ。
とはいえレベルが簡単には上がりにくい以上、簡単な活用は難しいだろう。
まずは自分に実験だ。
農民になるって言ってでてきた以上、商人だと怒られるだろうからなあ。。。
家路の途中にある空き地に立ち寄り、早速使用してみる。
チェンジクラス!
スキルレベルが低いためか、選べる職業もわずか5つに限られるのだが、メイン職業を農民にすることに無事、成功した。
もちろんlv1からだが。。
注目すべきは、先程までの商人のスキルがなくなっていることだ。
つまりサブクラスの転職代理人を変えると、二度と戻れなくなるということだろう。これには注意しなければならないな。サブクラスも転職できるのかは分からないが。
現在転職が可能なのは、農民、商人、剣士、職人、魔術師の5つだ。
商人に戻れるかも一応試したが、すぐに戻ることができた。人材ビジネスなら手数料を取られるところだが、ペナルティは特にないようだ。
などと考えていると、、
「ルート!聞いたよ!就職おめでとう!!」と声をかけられた。
いつも一緒に剣を振り回して遊んでいる、2つ上の幼なじみのマイナだ。
一緒に剣士になろうと言ってたのに、農民になったので、若干後ろめたい気もしていたので、できれば見つかりたくなかった相手だが…
「なんか就職の際に光ったって!村では噂で持ちきりよ。ねえねえ、すごい職業になったの?」
「いや、残念ながら普通の農民だよ。光ったのは謎すぎるよ。いや、あ、もしかして、これから大モノになるってことかも!よく言うじゃん、すごい人が生まれた時、ピカッて光るって!」
「ルートに限ってそんなわけないでしょ!なんたって農民なんだもん。残念ね、わたしが有名な剣士になったら、サイン書いてあげるわ。精々畑でも耕しながら、感謝するのね!
……あーあ、つまんないなあ。一緒に剣士になるって約束してたのに。あんた筋も良いってパパが言ってたし、先に就職するんだから、剣士なのかなって、、」
マイナの家は、代々村の守衛をしている。なので、代々剣士なのだ。マイナの父も昔は外にでていたそこそこの剣士だったようで、よく剣の稽古をつけてもらっている。まあ有り体に言えば、娘の遊び友達を女と一緒に遊んであげているだけだが。。村の守衛は周囲に魔物が出たら討伐に行くリーダー役になるなど、人望もあり、かつ比較的村の中ではお金持ちだ。だからマイナはまだ就職をしていないのだろう。本人のへっぽこな剣の腕前のせいかも知れないが。
「うちは貧乏だからしょうがないんだよ、まあ、才能があるから、農民でもマイナのことなんかボッコボコのボッコボコだよ!」
「ふん。できるならね!返り討ちよ。というか、ちょっと大人っぽくなった?やっぱり就職すると違うのかなあ、私も早く剣士になりたい!」
「そうでもないよ。マイナがバカなだけだもんね!じゃあ就職して忙しいからまたね!」
「うるさい!バカっていう方がバカなのよ!」
危ない…たしかに前世の記憶が復活した今、言葉遣いにも気をつけなければ…うっかりいつもお世話になっております、って使っちゃいそうだもんなぁ。
家に着くと、不安な表情で父母が待っていた。
「ル、ルート、、へんな光がでたと聞いたが、、まさかお前、農民じゃなく、へんな職業についてないだろうな?」
「ルート、私、不安で…べ、別に家計のことを心配してるわけじゃないのよ。」
「大丈夫だよ、ちゃんと農民になったから。農民レベル1だよ!」
「れべる??よく分からないが農民になったなら良かった!」
「今日はご馳走ね!」
「いやー、噂で商人って聞かされたときにはどうしようかと思ったよ。剣士になっちゃったんじゃないかって不安だったし。さあさあご飯にしよう!」
「今日はルートの好きなキノコグラタンよ!」
キノコグラタンきた!大好き!だがバターをたくさん使うので、貧乏な我が家では中々ありつけない代物だ。
そういえば、なんでこんなに、俺がちゃんと農民になったかを心配してたんだろう。
父さんも農民をやって長いだろうに。
そうだ、父さんのレベルを見てみよう。レベルのことも知らないみたいだけど、子供の頃から農民で、30くらいだから、20年以上も農民をやってることになるな。
レベルも6とか7にはなっててほしいとこだけど…
こっそりアプライジングトゥルークラス!!
剣士 lv4
え??!剣士?農民じゃなく??
まさか、剣士だったの?父さん。しかもレベルひっくーー。まあ剣を振るう機会なんてないもんな…
だからうちは農作物の育ちが悪くって…あ、だから俺に農民クラスとって欲しかったのか…
って、剣士になって家が貧しくなったのって、死んだ爺さんじゃなくて、父さんのことなんじゃ??
父さん、もといバカ親父…なぞが解けちゃったじゃないかーー
「いやー本当に良かった。ルートが農民になってくれて。わが家は安泰だ。良い子に育って嬉しいなあ。」
「ほんとよね、あなたが剣士なんて、とても言えないわね」
「しっ!!!」
「あ!!」
「あ…、、」
「馬鹿!なに聞かせてるんだよ!母さんのあほ!」
「うるさい!どうせそのうちバレるんだから良い機会じゃない!」
「あーそういうことなら、お前も農民じゃないのを今話そうか!」
アプライジングトゥルークラス
魔術師lv5
母よ、お前もか…だからうちは貧乏だったのか。他の家が農民クラス二人の、あるいは他の家族含めてバフがかかっている。それがないとしたらそりゃ貧乏になるわけだ。
「良いじゃない!その方がかっこいいんだから!夢くらい見ても!でも火起こりなり、風を吹かせて洗濯物干したり、日頃便利なんだから、剣士よりマシよ剣士より!」
「なんだと!剣士はカッコいいんだよ!たまに魔物討伐に参加して活躍してるだろ!農家にするには惜しいって言われるんだぞ。」
父母よ、お前らはアホだが、分かる、分かるぞそのロマン。でもせっかくめでたい日なんだから喧嘩くらいやめてくれ。
「父さん剣士だったの?すごーーい!かっこいい!!!」
「そうだろそうだろ。マイナのとこの親父いるだろ、今はあいつの方が腕も上だが、昔は俺の方が強かったこともあるんだよ」
「え、そうなの!教えてよーー」
「あ、ああ、農民だって自衛くらいできた方が良いからな。よし、明日から教えるから、明日は早起きするんだぞ」
「母さんは読み書きを教えてよ!魔法も使えるようになりたいなーー!」
「魔法は農民には無理かも知れないわね。でもたまに覚えられる人もいるらしいし、まずは読み書きからね、さ、キノコグラタン食べましょう。」
こうして、転職代理人クラスを持つ俺の第二の人生が始まったのだった。